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健康診断の要精密検査は会社負担?費用の仕組みと確認先を解説

  • 23 時間前
  • 読了時間: 13分

会社の健康診断の結果表に「要精密検査」の文字を見つけて、そのまま引き出しにしまっていませんか。便潜血が陽性だった、胃のレントゲンで所見があった、肝機能の数値に印がついていた——理由はさまざまでも、多くの方が同じところで足を止めます。「この後の検査は、会社が払ってくれるのか、自分の財布から出るのか分からない」という迷いです。


分からないことは、たいてい後回しにされます。1ヶ月、2ヶ月とたつうちに、結果表の存在そのものを忘れてしまう方も少なくありません。この記事では、要精密検査になったあとの二次検査の費用がどういう仕組みで決まるのか、会社の健診にはどこまでの義務があるのか、そして今日から何をすればいいのかを、順番に整理します。読み終えるころには、「とりあえず何から確認すればいいか」がはっきりしているはずです。


平日に働いている会社員の方にとって、健診結果への対応は「気になってはいるが、仕事の合間になかなか動けない」ものになりがちです。忙しさに加えて費用面の迷いが重なると、腰が上がりにくくなるのも無理はありません。まずは費用の仕組みを知ることから始めましょう。



「要精密検査」の通知、そのままになっていませんか

健診結果が郵送や社内配布で届いたとき、多くの方は総合判定の欄だけをさっと見て、A・B・Cといった記号や「異常なし」の文字を探します。そこに「要精密検査」「要再検査」と書かれていると、続きを読む前に手が止まってしまう。これは自然な反応です。


厄介なのは、この通知が「病気です」という診断ではなく、「詳しく調べる必要があります」という一次スクリーニングの結果にすぎない、という点があまり伝わっていないことです。便潜血検査は大腸からのわずかな出血を拾う検査で、痔が原因のこともあれば、ポリープやがんが原因のこともあります。胃部のレントゲンや肝機能の数値も同じで、「異常の疑いがある」段階であって、「病名が確定した」段階ではありません。


症状の重さへの不安だけでなく、「次にかかるお金がいくらで、誰が払うのか分からない」という実務的な迷いも、動けなくなる理由のひとつです。費用が分からないことが、受診をためらう理由になることがあります。会社の健診という枠組みの中で受け取った通知だからこそ、「これも会社の負担のはず」と考えてしまい、実際にはそうではないと知って身構えてしまう方もいます。この費用の不透明さが、様子見という選択につながっています。


なぜ「要精密検査」になるのか

消化器領域で要精密検査になりやすい所見には、いくつかの型があります。

便潜血陽性は、便の中に目に見えない血液が混じっていないかを調べる検査で陽性が出た状態です。陽性の原因は痔からの出血であることもあれば、大腸ポリープや大腸がんが隠れていることもあり、便潜血の検査結果だけでは区別がつきません。この点は当院のブログ記事「便潜血陽性の通知が届いたあなたへ」でも詳しく取り上げています。


胃部の所見は、レントゲン(バリウム検査)や問診で胃の形や粘膜の様子に気になる点が見つかった状態を指します。胃炎や胃潰瘍のこともあれば、ポリープやがんが背景にあることもあり、内視鏡で粘膜を直接観察しないと判別できません。


肝機能の数値異常は、AST・ALT・γ-GTPといった血液検査の項目が基準値を外れている状態です。脂肪肝や飲酒の影響であることが多い一方、他の消化器疾患が関係している場合もあるため、追加の検査や経過観察が案内されます。


いずれも、精密検査を受けてはじめて「心配なかった」のか「早めの対応が要る」のかが分かります。判定の文字だけを見て不安になるより、次の一歩を決めるための材料が要精密検査の通知だと捉えるほうが、実際の行動には近道です。


どの所見であっても、精密検査の内容は一律ではありません。便潜血陽性であれば大腸カメラでの観察が中心になりますし、胃部の所見であれば胃カメラでの直接観察、肝機能の数値異常であれば追加の血液検査や腹部超音波検査が案内されることもあります。健診結果表に「消化器内科受診」「大腸内視鏡検査を推奨」といった具体的な指示が添えられている場合は、その指示が受診先を選ぶときの手がかりになります。



会社の健康診断には、法律上どこまでの義務があるのか

会社が毎年みなさんに健診を受けさせているのには、法律上の根拠があります。労働安全衛生法にもとづき、事業者は労働者に対して医師による健康診断を実施しなければならないと定められており、常時使用する労働者を対象に1年以内ごとに1回の実施が求められています。厚生労働省もこの制度の周知資料の中で、事業者の実施義務であることをはっきり示しています。


つまり「健診を受けさせること」そのものは会社の義務であり、その費用は基本的に会社が負担する仕組みで運用されています。問題はその先です。健診の結果、要精密検査や要再検査と判定された場合の受診勧奨についても、会社には一定の役割があります。全国健康保険協会(協会けんぽ)は、要治療・要精密検査と判定されたにもかかわらず医療機関を受診していない従業員に対して受診を勧めることは、会社の努力義務であるとの案内を出しています。


ここで注意したいのは、「受診を勧める義務」と「受診にかかる費用を負担する義務」は、別の話だという点です。会社には従業員へ声をかける努力義務はあっても、その後に発生する精密検査そのものの費用まで会社が持つと一律に決まっているわけではありません。この違いが、費用への不安の正体です。


会社が健診を実施する目的は、労働者の健康状態を把握し、必要に応じて就業上の配慮を行うことにあります。健診結果を会社(産業医や人事担当)に共有する仕組みが整っている企業も多く、その延長で「要精密検査になったことは会社も知っているのだから、費用も会社が対応してくれるはず」と考えてしまいがちです。しかし、会社が把握しているのはあくまで「受診が必要な状態であること」までで、実際に医療機関で受ける検査・治療にかかる費用は、健康保険制度の枠組みで扱われるという点は分けて考える必要があります。



二次検査(精密検査)の費用は、誰が負担するのか

健診そのものと、要精密検査のあとに受ける二次検査とでは、性格が異なります。定期健康診断は、病気の有無にかかわらず全員が受ける予防的なチェックで、この費用は会社(あるいは加入している健康保険組合)が負担する形で運用されるのが一般的です。


一方、要精密検査で案内される二次検査は、異常の疑いがある部位を詳しく調べ、治療が必要かどうかを判断するための医療行為という位置づけになります。このため、二次検査は保険診療として扱われ、マイナ保険証(または資格確認書)を使って受診し、年齢や所得に応じた自己負担分(現役世代であればおおむね3割)を窓口で支払う形になるのが一般的な仕組みです。健診自体が原則無料あるいは低額であるのに対し、二次検査からは通常の保険診療と同じ扱いに切り替わる、という理解が実態に近いといえます。


ここで「会社が持ってくれるはず」と考えていた方ほど、窓口で自己負担分の支払いを求められて戸惑うことになります。ただし、これは「会社が一切関与しない」という意味でもありません。会社によっては福利厚生の一環として二次健診の費用を補助する制度を設けている場合がありますし、加入している健康保険組合が独自に二次健診の助成制度を持っているケースもあります。制度の有無や補助の範囲は会社・健保組合ごとに異なるため、一般論だけでは「あなたの場合どうなるか」までは分かりません。


つまり、二次検査の費用は「保険診療として自己負担が発生するのが基本」としつつ、「勤務先や健保組合の制度によっては補助がある場合もある」というのが、現時点で言える範囲になります。断定できない部分は、確認するしかありません。


もう一点、マイナ保険証(または資格確認書)を使わずに受診した場合との違いも押さえておくとよいでしょう。保険診療として扱われる二次検査は、保険証を提示して受診することが前提です。健診結果表を持たずに受診しても保険診療自体は成立しますが、健診結果表があれば、どの所見に対する二次検査なのかが医師に伝わりやすく、検査の進め方をスムーズに相談できます。受診の際は、健診結果表と保険証をあわせて持参することをおすすめします。



「会社負担かどうか」を確認する3つのステップ

費用の仕組みが分かったところで、実際に動くための手順を整理します。


1. 勤務先の人事・総務担当に、二次検査の費用補助制度があるか確認する

「要精密検査になったのですが、二次検査の費用について会社の補助制度はありますか」とたずねるだけで構いません。制度があれば案内してもらえますし、なければ「自己負担になります」という回答が返ってくるはずです。どちらの答えでも、迷いは晴れます。


2. 加入している健康保険組合の窓口やウェブサイトを確認する

協会けんぽに加入している場合は協会けんぽの支部、会社独自の健康保険組合に加入している場合はその健保組合が窓口です。二次健診費用の補助制度を設けている組合もあるため、健診結果表や、加入先の健康保険組合・協会けんぽの公式サイトの窓口案内から確認できます。


3. 健診結果表に書かれた「指示内容」と「対象項目」を読み直す

「要精密検査」とだけ書かれている場合もあれば、「大腸内視鏡検査を推奨」「消化器内科受診」のように、より具体的な指示が添えられている場合もあります。何を調べる必要があるのかが分かれば、受診先の科も決めやすくなります。


この3つは、いずれも電話一本、あるいはウェブサイトの確認だけで済む作業です。「会社負担かどうか分からないから動けない」という状態は、実は数分の確認で解消できることがほとんどです。


確認の結果、補助制度がなく自己負担になると分かった場合でも、それは「損をした」ということではありません。もともと二次検査は保険診療として扱われるのが基本の仕組みであり、想定どおりの結果だったと捉えれば十分です。むしろ、「いくらかかるか分からない」という状態のまま受診を先延ばしにするよりも、「自己負担は何割で、目安はこのくらい」と分かった状態で医療機関に足を運ぶほうが、気持ちの上でも動きやすくなります。



二次検査を先延ばしにするとどうなるか

費用の不安で足が止まっている間も、体の状態は止まっていません。便潜血陽性の原因がポリープであれば、時間とともに大きくなっていく可能性がありますし、胃の所見や肝機能の異常も、原因が特定されないまま経過観察の機会を逃すことになります。


先延ばしにしたからといって、状態が悪化すると決まっているわけではありません。実際には、精密検査を受けた結果「心配のない所見でした」という方もおられます。ただ、心配のない所見だったと分かること自体が、今後の生活の安心材料になります。逆に何らかの対応が必要だった場合、早い段階で見つかるほど、選べる治療の幅は広がりやすくなります。要精密検査の通知は、「今のうちに確認しておいたほうがよい」というタイミングを知らせるサインだと捉えていただくのがよいと考えています。


もうひとつ見落とされがちなのが、時間の経過そのものが持つ意味です。健診を受けた時点と、精密検査を受ける時点との間が空けば空くほど、健診結果は「今の体の状態」から遠ざかっていきます。半年後、1年後に思い立って受診した場合、結果が同じとは限りません。費用の確認に数分かけることと、体の状態を数ヶ月放置することは、本来つり合わない話です。



くりた内科・内視鏡クリニックでの二次検査(胃カメラ・大腸カメラ)について

当院は京都市下京区・阪急大宮駅から徒歩2分の場所で、胃カメラ・大腸カメラを中心に診療している内科クリニックです。便潜血陽性や胃部の所見、肝機能異常などで要精密検査となった方の二次検査として、胃カメラ・大腸カメラのいずれにも対応しています。


胃カメラは、口からの経口内視鏡に加え、鼻からの経鼻内視鏡も選択できます。大腸カメラは鎮静剤を使用した検査にも対応しています(ご希望の方は事前の診察でご相談ください)。検査当日にポリープが見つかった場合は、日帰りでの切除まで対応できる体制を整えています。


費用の目安は次のとおりです(3割負担の場合の概算)。


大腸カメラ(鎮静剤使用を含む)

内容

3割負担の目安

検査観察のみ

7,000円〜8,000円

ポリープ切除(日帰り)を加えた場合

18,000円〜34,000円


上記は検査・鎮静剤・ポリープ切除の手術費用のみの概算で、初診料・検査前の診察料・検査前に服用する下剤の費用などは別途かかります。生検(組織検査)を行った場合は、観察のみに比べて3割負担時で4,000円〜11,000円程度が上乗せされます。


胃カメラ

内容

3割負担の目安

観察のみ

6,000円程

生検+病理組織検査を加えた場合

9,000円〜12,000円程


上記は概算の金額です。事前検査は別途料金となります。


窓口でお支払いいただく実際の金額は、検査内容や保険の負担割合によって変わりますので、来院時にご確認ください。


初めての方は、まず外来を受診していただき、症状や健診結果の内容をうかがったうえで、必要な検査をご案内しています。健診結果表をお持ちいただければ、判定内容に沿った検査の進め方をご説明できます。健診結果の見方から検査当日までの流れ、費用の目安まで順を追ってご説明していますので、要精密検査の通知だけを持って来院いただいて構いません。



あわせて読みたい記事

便潜血陽性について詳しく知りたい方は、当院のブログ記事『便潜血陽性の通知が届いたあなたへ』もあわせてご覧ください。便潜血以外の所見も含めた考え方を知りたい方は、当院のブログ記事『健康診断で「要精密検査」と書かれた方へ』をご覧ください。本記事が費用の仕組みを中心にまとめているのに対し、これらの記事は症状ごとの考え方を中心に扱っています。あわせて読んでいただくと、「なぜ要精密検査になったのか」と「その後どう動けばよいのか」の両面が分かる構成にしています。検査ごとの費用をさらに詳しく知りたい方は、当院のブログ記事『胃カメラ検査の費用はいくら?保険適用と自費の違いを専門医が解説』『大腸カメラの費用ガイド|ポリープ切除をした場合の自己負担額』もあわせてご覧ください。



まとめ

会社の定期健康診断は、労働安全衛生法にもとづく会社の実施義務であり、費用は会社が負担する仕組みで運用されています。一方、要精密検査のあとに受ける二次検査は治療方針を判断するための医療行為として扱われ、保険診療の自己負担が発生するのが基本です。会社や健康保険組合によっては二次健診の費用を補助する制度がある場合もあるため、「会社負担かどうか」は一般論では決まらず、勤務先の人事・総務や加入している健康保険組合に確認するのがいちばんの近道です。


確認そのものは数分で終わります。その数分を後回しにして、結果表を引き出しにしまったままにしないでいただきたいと思います。気になる所見をそのままにしていませんか。まずは確認の連絡から、始めてみてください。



e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第66条(健康診断)・第66条の7(保健指導等) https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057


厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう〜労働者の健康確保のために〜」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf


全国健康保険協会(協会けんぽ)鳥取支部「【事業主様・事業所ご担当者様へ】従業員へ健診後の再検査・精密検査の受診勧奨を行ってください」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/tottori/cat040/2022071506/


全国健康保険協会(協会けんぽ)「健診について(被保険者)」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/health_promotion/health_checkups/insured/001/index.html


 
 

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