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お知らせ・院長ブログ


非アルコール性脂肪肝についてどんな病気? -飲酒はしないのに健診で脂肪肝の指摘のあった方へ-
日本における脂肪肝の驚くべき現状と警告 肝臓はしばしば「沈黙の臓器」と呼ばれます。その機能の多くを失うまで、痛みや自覚症状を発することがほとんどないためです。この沈黙の裏で、現代日本において急速に拡大し、国民病となりつつあるのが「脂肪肝」です。 かつて非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれていたこの病態は、現在、日本国民の約30%に認められると指摘されています。さらに、この有病率は増加の一途をたどり、このままの傾向が続けば、2040年には日本の人口の約半数が脂肪肝患者となることが予測されています。この驚異的な予測は、脂肪肝が単なる「太り過ぎのサイン」ではなく、将来的な肝臓病、心血管疾患(CVD)、慢性腎臓病(CKD)といった慢性疾患の爆発的な増加、ひいては医療経済全体に深刻な影響を及ぼすハイリスクな全身疾患であることを示しています。 疾患概念のパラダイムシフト:NAFLDからMASLDへ 2023年、脂肪肝に対する国際的な診断基準と呼称が大きく見直されました。従来の「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」という名称は、病名に含まれる
6 日前


「歳のせい」は危険なサイン。休んでも治らない【慢性的なだるさ】に潜む、がん・心不全の真実
プロローグ あなたの「だるさ」は、ただの疲れですか?— 30 代から 60 代にかけての働き盛りの世代は、仕事、家庭、育児、介護といった多様な責任を負い、慢性的なストレスと疲労が日常の一部となりがちです。20 代から 60代の男女の約 8 割が「なんとなく不調」を感じているという調査結果もあります。こうした多忙な生活の中で、「体がだるい」「やる気が出ない」といった全身倦怠感を、単なる「歳のせい」や「ストレスのせい」として片付けてしまう方は少なくありません。 しかし、全身倦怠感(General Malaise)は、内科医がプライマリ・ケアの現場で遭遇する主訴として非常に頻度が高く、報告によっては受診者の 20〜30%にのぼるとされます。この症状は非特異的であるがゆえに、その裏に治療すれば改善するものから、命に関わる重篤な疾患まで、幅広い原因が潜んでいる可能性があります。 医学的に倦怠感を捉える際、「疲労 (Fatigue)」と「倦怠感 (Malaise)」は区別されます。疲労は「日常生活の遂行に十分なエネルギーが明らかに不足し、全身的に弱くなった状
11月13日


胃が気持ち悪い… その不快感、放置していませんか? 胃もたれ・吐き気の裏に潜む疾患と専門医による早期診断の重要性
専門医から皆様へ:胃の不調が示すサインを見逃さない 症状を放置し、根本的な原因の究明を怠ることは、病気の進行を許し、治療を困難にする最大の危険行為です。京都市下京区で高度な内視鏡検査を提供するくりた内科・内視鏡クリニックは、患者様が抱える胃の不安を、専門的な知見と最新の技術を用いて解消し、適切な診断と治療の道筋をつけることをお約束します。 「胃が気持ち悪い」「胃もたれがある」のは胃の病気!? —症状の定義とメカニズム 「胃もたれ」とは何か?臨床的定義 患者様が「胃が気持ち悪い」あるいは「胃がもたれる」と表現する症状は、臨床的には、摂取した食物が胃の中に長時間停滞しているように感じる状態を指します。この胃もたれは、しばしばムカムカ感、吐き気、さらには食事開始直後にお腹がいっぱいになる早期飽満感、胃にガスが溜まることによる膨満感を伴うことがあります。これらの症状は、胃が本来担うべき消化・排出機能が低下していることを明確に示しています。 胃の機能不全が引き起こす不快感 胃の役割は、食べ物を一時的に貯蔵し、消化液と混ぜ合わせた後、規則正しく少量ずつ十二指
11月10日


肝臓疾患:沈黙の臓器の SOS を見逃さないでください
肝機能に異常がある・肝臓の数値が高いと言われたら… 沈黙の臓器が示す唯一の SOS この沈黙を破り、深刻な事態になる前に早期に介入するための、最も重要で客観的なシグナルこそが、定期的な健康診断や人間ドックで指摘される血液検査の異常値です。肝臓病の早期発見・早期治療の鍵は、症状が出る前にこの数値の変化を捉え、専門的な評価を受けることにあります 。 専門医からの警告:ALT 30 U/L の重要性 くりた内科・内視鏡クリニックでは、最新の医学的知見に基づいた診療基準を採用しています。従来の血液検査の基準値は「病気ではない状態」を示すものとして設定されていましたが、近年の研究により、従来の基準値内であっても肝臓の異常が潜んでいるリスクが指摘されています。 この点に関して、日本肝臓学会が 2023 年に発表した「奈良宣言 2023」は、予防医学的な観点から非常に重要です。この宣言では、ALT(アラニン・アミノトランスフェラーゼ、旧称 GPT)値が 30 U/L を超えている方は、肝臓に脂肪肝や慢性肝炎が隠れている可能性があるため、かかりつけ医などの医療機
11月9日


「膀胱炎」:たかが膀胱炎と軽視できない、最新エビデンスに基づく診断と治療戦略
はじめに:なぜ「たかが膀胱炎」と放置してはいけないのか 膀胱炎は、特に性活動期にある 20 代から 40 代の女性にとって非常に身近な疾患であり、その多くは突如として発症する排尿時の痛みや頻尿によって生活の質(QOL)を大きく低下させます。多くの患者様が「水やお茶をたくさん飲んで我慢すれば治る」「以前処方された薬があるから大丈夫」といった自己判断に頼りがちです。 しかし、現代の膀胱炎診療において、こうした自己判断は極めて危険です。不適切な抗菌薬の使用は、治療の失敗や症状の難治化、さらには将来的な治療を困難にする薬剤耐性菌の発生を助長する重大な要因となります。 くりた内科・内視鏡クリニックでは、単に目の前の症状を抑えるだけではなく、最新のエビデンスとガイドラインに基づき、正確な原因特定、適切な抗菌薬の選択、そして慢性症状の精密な鑑別診断を通じて、患者様の健康を根本から守ることを目指しています。 膀胱炎の定義と現代における課題 急性膀胱炎は、尿道から逆行性に細菌が膀胱に侵入し、急性の炎症を引き起こす単純性尿路感染症の代表例です。尿路の解剖学的・機能的
11月8日
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