Nodular-gastritis
鳥肌胃炎
鳥肌胃炎とは
鳥肌胃炎は、内視鏡で見ると胃の粘膜が鳥肌のように凸凹している特徴的な病態を指します。この状態はリンパ濾胞の過形成により、小さな隆起が形成されるために生じます。主に若年層、特に女性に多く見られます。
鳥肌胃炎はピロリ菌感染の一形態であり、その内視鏡所見から未分化型胃癌のリスクが高まるとされています。しかし、過度に心配する必要はなく、鳥肌胃炎もピロリ菌感染の一つの側面に過ぎません。注意が必要な点は、未分化型胃癌が進行する前に鳥肌胃炎が存在する場合、胃がんのリスクが高まることです。胃粘膜の萎縮が進む前に検査や治療を行うことが重要であり、早期の対応が悪性度の高い未分化型胃癌の発症を予防する鍵となります。
鳥肌胃炎の症状
鳥肌胃炎には特有の症状がなく、一般的な慢性胃炎の症状が現れることがあります。ヘリコバクター・ピロリ菌に感染した場合、慢性胃炎の典型的な症状である胃もたれ、胃痛、吐き気、胸やけなどが発生しやすいとされています。ただし、鳥肌胃炎ではこれらの症状が特に出やすいと言われています。
しかし、鳥肌胃炎を患っている場合でも症状が全く現れないことがあり、その場合は胃カメラ検査(胃内視鏡検査)を受けない限り気付かれません。ピロリ菌感染のリスクがある家族がいる場合は、症状の有無にかかわらず胃カメラ検査を検討することがお勧めされます。気になる症状や疑念がある場合は、お気軽にご相談いただくと良いでしょう。
鳥肌胃炎の原因
鳥肌胃炎の主な原因は、ピロリ菌感染です。ピロリ菌感染は特に若年層で見られ、この感染が鳥肌胃炎を引き起こす一因とされています。ピロリ菌感染が陽性の若年層で行われた調査では、鳥肌胃炎の有無によって比較された結果、鳥肌胃炎がある方は60倍以上の高い確率で胃がんが発見されるという報告もあります。
ピロリ菌は通常の細菌が胃酸で死滅する中でも生き残ることができる特異な病原菌であり、その特性が鳥肌胃炎の原因となります。ピロリ菌は胃酸を中和する能力を持ち、また粘液中に潜むことで胃酸の影響を受けにくくしています。感染すると、胃粘膜に持続的な炎症を引き起こし、胃が慢性的な炎症状態に陥ります。
鳥肌胃炎は、このピロリ菌感染によって胃粘膜が萎縮する前に、リンパ組織がピロリ菌に対して過剰な免疫反応を引き起こすことで発生します。この過形成されたリンパ組織が胃内で小さな袋状の集まりとして観察され、内視鏡で胃粘膜が鳥肌のように見えることから「鳥肌胃炎」と呼ばれています。鳥肌胃炎は胃がん発症のリスクが高まるため、注意が必要です。
鳥肌胃炎の治療法
鳥肌胃炎の治療は、主にヘリコバクター・ピロリ感染によるものであり、ピロリ菌の除去が基本です。治療には、2種類の抗生物質と胃酸分泌抑制薬が組み合わされた飲み薬が使われます。この治療薬は1日2回、1週間服用します。ただし、抗生物質の副作用で下痢が起こることがあるため、下痢予防として整腸剤も1週間併用されます。
治療薬の服用期間が終了しても、除菌が100%成功するとは限りません。除菌の成功率が低下することや肝炎のリスクを避けるため、アルコール摂取は控える必要があります。治療薬の服用後、1か月以上の期間をあけ、ピロリ菌が残っていないか確認するために尿素呼気試験法(呼気検査)などが行われます。
初回の呼気検査で除菌が失敗した場合、ピロリ菌が抗生物質に耐性を持っている可能性があるため、抗生物質の種類を変えて2回目の除菌治療が行われます。2回目の治療も同様に1週間の服用期間が設定され、治療後に再び検査が行われて除菌の成功判定が行われます。胃カメラ検査で鳥肌胃炎が確認され、ピロリ菌感染が陽性だった場合、この治療は保険適用で最大2回まで受けることができます。