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クリニックからのお知らせ

Information

げっぷと吐き気について


1. はじめに


日常生活でよく経験する「げっぷ」と「吐き気」。これらの症状には、さまざまな原因があります。焼肉屋さんでビールなどのお酒を含め食べ過ぎ・飲みすぎた後、胃もたれと共に「げっぷ」と「吐き気」、よく経験すると思います。食べ過ぎた後だけなど一時的なものであれば問題ありませんが、長く続くことがあれば何か体に重大な問題が発生していることがあります。胃がんで胃のふくらみが悪くなった場合にもこのような症状が出ることもありますので注意が必要です。


 

2.げっぷと吐き気とは


げっぷ:発生するメカニズム(胃内のガス排出)

げっぷは医療用語では噯気(あいき・おくび)と呼ばれます。

げっぷの発生するメカニズムは、胃にたまった空気や食物を胃で消化した際に発生したガスが食道を伝わり口から出る現象です。みなさん炭酸飲料を飲んだ後などにげっぷが出た経験があると思います。げっぷ自体は生理現象ですのでそのほとんどは問題ありません。しかし、腹痛や胸やけなどの症状を伴うものや長時間続くことがあれば病院受診をお勧めします。


吐き気:消化器系からの警告信号

吐き気は何らかの原因により脳にある嘔吐中枢が刺激されることで生じます。

吐き気を起こす原因として胃潰瘍や胃がん、腸閉塞などの消化を司る臓器である消化器の異常で生じることが多いですが、それ以外でも精神的な要因でも生じますし、咳のし過ぎや脳腫瘍などの頭の病気、メニエル病などの耳の病気や薬の副作用などでも起こります。


 

3. 主な原因


(1) 消化器系疾患

  • 逆流性食道炎と胃酸逆流

  • 慢性胃炎・胃潰瘍

  • 胃がんや腸閉塞の可能性

(2) 機能性ディスペプシア

  • 過敏性胃腸の症状と原因

(3) 日常的な要因

  • 過食・早食い

  • 炭酸飲料や空気嚥下の影響

(4) 心身の影響

  • ストレスと自律神経の乱れ

  • 過度な緊張によるげっぷと吐き気の悪化



 

4. 診断と検査


胃カメラ(内視鏡検査)の役割

げっぷや胃もたれで胃カメラをする理由は、逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、胃炎、食道・胃・十二指腸がんなど上部消化管の異常を発見できるからです。胃カメラを行うことで正確な診断が導くことができますので、適切なお薬の処方や手術が必要か判断できますので、速やかな治療に繋がります。


超音波検査や血液検査で分かること

胃や十二指腸のまわりの膵臓や胆管、肝臓などの胃カメラでは見えない臓器に腫瘍ができたり、炎症が起こると、その周りにある胃や十二指腸が狭くなったり、動きが悪くなったりして食べ物の通過が悪くなり、げっぷや胃もたれが生じることがあります。腹部超音波検査でこれらの異常を発見することが可能です。また、血液検査では腫瘍マーカーの検査を行うことでがんの早期発見につながったり、食べ物が通らない影響で脱水や電解質異常が出現していないか調べることができます。


症状が頻繁に起こる場合の受診目安

先ほど述べたようにげっぷは生理現象のため誰でも起こるものですから、げっぷで病院に行く必要なんてないと感じるかもしれませんが、吐き気や胸焼け、胃の痛みなど症状が見られる時は、何らかの病気が発生してげっぷが多くなっている場合があります。放置してしまうと、その病気が重症化・進行してしまう危険があります。ですので、げっぷの他に症状がみられる時には、なるべく早く当院までご相談ください。


 

5. 治療法


(1) 医療機関での治療

薬での治療は胃酸の胃食道逆流を防ぐ酸分泌抑制薬による治療がメインとなります。胃酸を抑えることでげっぷや胸やけといった症状が緩和されますので日常生活が送りやすくなります。また、ヘリコバクター・ピロリ菌除菌治療後の方は胃酸過多気味となりげっぷや胸やけが起きやすくなりますので、こうした酸分泌抑制薬が欠かせなくなる方もいらっしゃいます。


(2) 日常生活での改善策

食生活の見直し(食事量やタイミング)

食後、特に大食の後は胃の拡張刺激が長時間持続するとガストリンという胃のホルモン分泌が促進され、胃酸分泌が増加します。また、過食により胃内容増加することで胃内圧が上昇するためより胃食道逆流が起きます。また、噛まずに早食いすると食物と一緒に空気を多く飲み込むため、げっぷの原因となります。

高たんぱく食は長時間にわたり胃に停滞しますし、高脂肪食は十二指腸からコレシストキニンというホルモンを分泌し、食道と胃のつなぎ目の筋肉を緩めるため胃食道逆流、げっぷが出やすくなります。アルコール類もガストリン分泌の促進、食道と胃のつなぎ目の筋肉を緩める作用がありますので胃食道逆流、げっぷの原因となります。コーヒーや緑茶に含まれるカフェインも強力な胃酸分泌刺激作用がありますので摂取により胃酸がたくさん出ます。香辛料の多い食事やチョコレートなども胸焼けを起こしやすい食品として知られていますので摂り過ぎにはご注意ください。喫煙習慣も食道と胃のつなぎ目の筋肉を緩めるためげっぷが出やすくなります。

姿勢も重要で、食後は最も胃食道逆流が起こる時間帯となります。食後すぐに臥位になると臥位する際に胃食道逆流が起こりやすく、げっぷも出やすくなります。就寝時姿勢に関しても頭部挙上での就寝により胃食道逆流・げっぷは起こりにくくなります。また、重いものを持ち上げるなどの力仕事やコルセット・ベルト・着物の帯・腹巻きなどおなかを締め付ける装具の着用は腹圧を上昇させ、胃食道逆流・げっぷを起こしやすくします。食直後の運動も腹圧上昇により同様のこととなりますので避けた方がよいです。高齢者における亀背や腰椎圧迫骨折も胃食道逆流・げっぷに深く関連しています。


ストレス管理と適度な運動

日常生活でストレスをためると過食の原因になりますので、ストレス管理も重要です。また、肥満もげっぷの一因となりますので適度な運動も心がけてください。


 

6. 予防のために


常日頃からよく噛んで食事をするように心がけてください。早食いも空気を飲み込んでしまってげっぷの原因となりますので、注意ください。また、なるべく食後すぐに横になるのは控えていただき、食後2-3時間は座っているようにしましょう。

アルコールや炭酸飲料の摂りすぎも症状の原因となりますので、程々にしましょう。

症状が軽いうちからの予防策も重要となります。症状が深刻になる前に手立てしていきましょう。


 

7. おわりに


げっぷや吐き気が伝える身体のサインに耳を傾ける重要性について解説しました。

日常生活でできる小さな改善が健康維持につながります。健康寿命を伸ばすために日常生活でできる改善をどんどんやっていきましょう。わからない点ございましたら何なりとご相談ください。



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