top of page
六地蔵の内視鏡クリニック.jpeg

Information

お知らせ・院長ブログ

膵癌早期診断の最前線:くりた内科・内視鏡クリニック院長 栗田亮の専門性と最新医療

  • 執筆者の写真: くりた内科・内視鏡クリニック
    くりた内科・内視鏡クリニック
  • 6月26日
  • 読了時間: 13分

更新日:8月5日


ree


膵癌早期発見の重要性:なぜ今、早期診断が求められるのか

膵臓がんは、その早期症状の乏しさから発見が難しく、進行が速いことで知られています。そのため、他の多くのがんと比較して予後が極めて不良な疾患とされています。しかし、この厳しい現状を打破し、患者さんの命を救う唯一の道は、病気を「早期」に発見することにあります。

ごく早期の段階、例えばステージ0(上皮内癌)やステージIa(微小浸潤癌)で膵臓がんを発見し、適切な治療を行うことができれば、5年生存率は飛躍的に向上します。2012年の日本膵癌登録データによると、ステージ0の膵臓がんでは85.8%、ステージIaでは68.7%という高い生存率が報告されており、早期発見がいかに患者さんの命運を分けるかを明確に示しています。


早期発見が困難な理由の一つとして、ステージ0の膵臓がんは全症例の約1.7%と非常に稀であり、そのうち症状があるのはわずか25%に過ぎないという現状が挙げられます。つまり、多くの場合、症状が現れた時にはすでに進行していることが少なくありません。この事実は、従来の「症状が出てから診断」というアプローチの限界を示唆しています。膵臓がんの予後を改善するためには、単に診断技術の向上だけでなく、診断アプローチそのものの変革が不可欠です。当院は、この「症状がない段階」での早期発見にこそ、膵臓がん克服の鍵があると強く認識し、リスク因子を持つ患者さんに対する積極的なスクリーニングや、微細な間接所見を見逃さない高度な画像読影能力が、今後の膵臓がん診療の中心となるべきだと考えています。これは、従来の「がんを見つける」という視点から、「がんの兆候を見つける」「がんになるリスクを管理する」という予防的・早期介入型の医療への転換が求められていることを意味します。


くりた内科・内視鏡クリニックでは、院長 栗田亮の長年の研究と臨床経験に基づき、この極めて困難な早期診断に特化し、最先端の技術と知見を地域医療に還元することを目指しています。膵臓がんの予後改善には、1cm以下の微小ながん、あるいは腫瘤を形成しない上皮内癌の段階で見つけることが不可欠であり、当院はこの目標を達成するために全力を尽くしています。



院長 栗田亮の専門性と信頼の証

栗田亮院長は、膵臓がんの早期診断において、その専門性と信頼性が高く評価されている医師です。その経歴は、高度な専門性と幅広い臨床経験の証であり、患者さんが安心して医療を受けられる基盤となっています。


消化器内科医としての豊富な経験と実績

栗田院長は、2002年に神戸大学医学部医学科を卒業後、京都大学医学部附属病院での研修を皮切りに、京都桂病院、大阪鉄道病院、手稲渓仁会病院など、国内外の主要な医療機関で消化器内科医として研鑽を積んできました。特に、2014年には田附興風会医学研究所北野病院消化器内科副部長、2021年には洛和会音羽病院消化器内科部長といった要職を歴任し、消化器疾患全般、特に肝胆膵領域における診断・治療の最前線で長年の経験を積んでいます。2024年にくりた内科・内視鏡クリニックを開院するまでのキャリアは、彼がどれほど多くの症例と向き合い、高度な医療を提供してきたかを物語っています。

栗田院長の経歴は、大学病院や大病院での長年の臨床経験と、医学博士号を持つ研究者としての側面を併せ持っていることを示しています。これは単なる「経験豊富」以上の意味を持ちます。臨床で直面する課題が研究テーマとなり、研究で得られた最新の知見が日々の診療にフィードバックされるという、理想的なサイクルが確立されていることを示唆しています。特に膵臓がんのような難病においては、最先端の研究成果が臨床現場に迅速に導入されることが患者さんの予後改善に直結するため、この相乗効果は当クリニックの大きな強みと言えます。栗田院長の専門性は、単なる知識の蓄積ではなく、実践と探求が一体となった「生きた専門性」であり、それが患者さんへの最善の医療提供に繋がっています。


膵癌早期診断におけるリーダーシップ

栗田院長は、消化器内視鏡分野における日本の第一人者として、その専門性が国内外で高く評価されています。例えば、日本消化器画像診断研究会や膵癌早期診断研究会の世話人を務めるなど、学会活動においてもリーダーシップを発揮しています。膵臓がんの早期診断に関する数々の論文発表も、この分野における彼の深い知見と貢献を裏付けています。


取得資格と所属学会:確かな専門性の裏付け

栗田院長は、京都大学医学博士の学位を持つ研究者であると共に、以下の専門資格と所属学会を有しています。

  • 日本内科学会 認定内科医

  • 日本消化器病学会 専門医・指導医

  • 日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医

  • 日本胆道学会 指導医

  • 日本膵臓学会

これらの資格は、彼が消化器病学、特に内視鏡診断と膵臓疾患において、最高レベルの知識と技術を持つ専門家であることを証明しています。



III. 最新の画像診断:DWI-MRIによる膵癌の「兆候」を見抜く

従来の診断の限界

膵臓がんの早期診断は、腫瘍が小さく、症状に乏しいため、従来の画像診断(CT、MRI、超音波検査など)では困難を伴うことが多々ありました。特に、腫瘤を形成しない上皮内癌の描出はほぼ不可能とされていました。これらの検査では、膵管拡張や嚢胞といった間接所見を手がかりとすることが一般的でしたが、直接的ながんの描出には限界がありました。


DWI-MRIの革新性:微細な病変を捉える新たな光

このような従来の診断の限界を打ち破る可能性を秘めているのが、拡散強調画像(DWI-MRI)です。DWI-MRIは、体内の水の分子の動きを画像化するMRIの一種です。悪性腫瘍、特に細胞密度が高いがん組織では、水の分子の動きが制限されるため、DWI-MRIでは「高信号」として描出される特性があります。この特性が、微細な膵臓がんの「兆候」を捉える新たな可能性を開きました。


栗田院長の論文解説:DWI-MRIの「高信号域」が示す早期癌の可能性

栗田院長が筆頭著者として発表した論文「High signal intensity on diffusion-weighted magnetic resonance images is a useful finding for detecting early-stage pancreatic cancer. (Abdom Radiol (NY). 2021)」は、膵臓がん早期診断におけるDWI-MRIの有用性を明確に示しています。この研究では、主膵管狭窄があるものの、明らかな膵腫瘤が認められない患者さんにおいて、DWI-MRIでの「高信号域」が早期膵管腺癌(PDAC)の検出に非常に有用であることを評価しました。

従来のCTやMRI、EUSでは固形腫瘍が認められない症例においても、DWI-MRIが高信号域を示すことで、早期PDACの診断に有意な差が見られました。この発見は、単に新しい診断ツールを提示するだけでなく、病理学的な確定診断がない場合でも、DWI-MRIの高信号域が外科的切除の適応となり得る可能性を示唆している点で画期的です。これは、従来の「腫瘤の確認と病理診断」という診断・治療フローに一石を投じるものであり、診断基準そのものの拡張を示唆しています。膵臓がんの進行の速さを考えると、確定診断を待つ間に病状が悪化するリスクを低減できる可能性があり、これは患者さんの予後を大きく左右します。栗田院長の研究は、診断技術の進歩が、治療介入のタイミングや意思決定プロセスにまで影響を及ぼす、より広範な医療戦略の変革を促すものであると言えます。


当院でのDWI-MRI活用:見えない病変を捉える力

くりた内科・内視鏡クリニックでは、栗田院長の研究成果を活かし、DWI-MRIを含む最新の画像診断技術を積極的に活用しています。特に、健康診断などで膵管の異常や膵嚢胞を指摘された方、膵臓がんのリスク因子をお持ちの方に対して、このDWI-MRIを組み合わせた精密検査を行うことで、従来の検査では見逃されがちだった微細な病変の兆候を早期に捉え、迅速な次のステップへと繋げることが可能です。



ree

IV. 内視鏡診断の進化:膵嚢胞性腫瘍から早期癌へのアプローチ

近年、健康診断や他の疾患の検査で、無症状の膵嚢胞性病変が偶発的に発見される機会が増加しています。この「偶発的発見」の増加は、医療技術の進歩、特に画像診断の普及が、新たな診断課題を生み出していることを示しています。


偶発的に見つかる膵嚢胞性病変の重要性

膵嚢胞は、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、漿液性嚢胞腫瘍(SCN)など多岐にわたり、中には将来的に膵臓がんへと進展する可能性のあるものや、すでに充実性腫瘍(固形癌)が嚢胞変性したものも含まれます。これらの嚢胞性病変を正確に鑑別し、適切な経過観察や治療方針を決定することが、膵臓がんの早期発見・早期治療において極めて重要です。これらの病変は良性のものから悪性のものまで多様であり、正確な鑑別が患者さんの予後を大きく左右します。


栗田院長の論文解説:内視鏡診断による嚢胞性腫瘍と充実性腫瘍の鑑別

栗田院長が執筆した論文「膵囊胞性腫瘍に対する内視鏡診断(充実性腫瘍の囊胞変性も含む)」(日本消化器内視鏡学会雑誌 2025年)は、この複雑な膵嚢胞性病変の内視鏡診断における専門知識を体系的に解説しています。この論文では、各腫瘍の病理学的特徴と画像所見を詳細に把握することで、鑑別診断の多くが可能となることを強調しています。特に、充実性腫瘍が嚢胞化した病態や、周囲に貯留嚢胞・仮性嚢胞を形成するケースでは、充実成分と嚢胞成分が混在するため、鑑別診断に際して細心の注意が必要であると指摘しています。これは、単に嚢胞の有無だけでなく、その内部構造や周囲組織との関係を詳細に評価する内視鏡診断の重要性を示しています。早期発見の進展は、同時に「不確実な所見」の増加をもたらすため、専門家による精密な鑑別診断と適切なリスク層別化が、今後の膵臓がん診療の質を決定づけると言えます。


超音波内視鏡(EUS)の役割:精密な診断と治療への道筋

膵臓は胃や大腸の背中側に位置するため、体表からの超音波検査やCTでは小さな病変の直接観察が難しい臓器です。

超音波内視鏡(EUS)は、内視鏡の先端に超音波装置が装着されており、胃や十二指腸の中から膵臓を直接、非常に高精細な画像で観察できる画期的な検査法です。10mm以下の微小腫瘍も比較的はっきりと描出することが可能であり、膵管拡張や膵嚢胞を認めた場合、腫瘤がなくてもEUSを受けることが推奨されています。さらに、EUSで腫瘤が発見された場合、EUSガイド下穿刺吸引法(EUS-FNA)を用いることで、病変から直接組織を採取し、がんかどうかの確定診断を行うことができます。これは、膵臓がんの早期診断において極めて重要なステップです。

当クリニックではEUS検査は提供していませんが、必要に応じて院長の教え子のいる専門施設をご紹介いたします。



V. くりた内科・内視鏡クリニックの先進医療体制

くりた内科・内視鏡クリニックは、膵臓がんの早期発見・診断に特化した最先端の医療体制を整えています。栗田院長の研究成果が、当クリニックの先進的な設備と技術によって、臨床現場で最大限に活かされています。


最先端の内視鏡システムと検査環境

当クリニックは、患者さんに最高水準の検査を提供するため、オリンパス社の最新内視鏡システムと4Kモニターを導入しています。これにより、微細な病変も鮮明に捉えることが可能となり、診断精度が飛躍的に向上しています。また、超音波検査機(エコー検査機)も最新の高精細モデルを導入しており、腹部、頸動脈、心臓など幅広い検査に対応し、膵臓の詳細な評価にも貢献します。レントゲン装置には最新のFPD(フラットパネルディテクタ)システムを採用し、少ないX線量で鮮明な画像が得られ、患者さんの被ばく線量を最小限に抑えることに配慮しています。

これらの先進的な設備は、栗田院長の研究論文(DWI-MRI、膵嚢胞性腫瘍の内視鏡診断)が示す最先端の知見を、実際に患者さんの診断精度向上に直結させるための重要な要素です。単に「良い設備がある」ということ以上の意味を持ち、研究で得られた理論的・技術的進歩が、実際に患者さんの利益に繋がる「研究成果の臨床実践への橋渡し」が、当クリニックで実現されています。当クリニックの先進医療体制は、栗田院長の専門性と研究活動が一体となり、患者さんに「最新かつ最良の医療」を提供するという明確なビジョンに基づいています。


患者さんの負担を最小限に抑える工夫

内視鏡検査は、医師の技術や熟練度によって患者さんが感じる苦痛が大きく変わる検査です。栗田院長は数万件に及ぶ豊富な内視鏡検査経験を持つ熟練医であり、苦痛を最小限に抑えた検査を提供します。苦痛軽減のため、経鼻カメラの使用や鎮静剤の選択肢を提供しています。また、検査後の腹部の膨らみを軽減するため、全例で炭酸ガス(CO2)を使用しています。炭酸ガスは空気よりも吸収が速く、検査後の不快感を大幅に軽減します。これらの配慮は、患者さんが安心して検査を受け、定期的なスクリーニングを継続できる環境を整える上で不可欠です。


総合的な消化器診療と安心のサポート

くりた内科・内視鏡クリニックは、内科、消化器内科、肝臓内科、膵臓内科、肛門内科、皮膚科、自費診療、健康診断、人間ドック、各種ワクチンと幅広い診療科目をカバーしています。これにより、膵臓だけでなく、消化器系全体の健康を総合的にサポートし、患者さんのかかりつけ医として、どんな小さな悩みでも気軽に相談できる体制を整えています。阪急大宮駅から徒歩2分というアクセス良好な立地も、患者さんの利便性を高めています。



VI. 膵癌早期診断のために:当院での受診をお勧めする方

膵臓がんの早期発見には、症状がない段階での積極的な検査が不可欠です。膵臓がんの多くが無症状の段階で進行し、ステージ0でも症状があるのは25%に過ぎないという事実は、患者さんが自覚症状を待つことの危険性を示しています。このため、当クリニックがリスク因子を持つ患者さんや間接所見を指摘された患者さんへの積極的な受診勧奨を行うことは、単なる医療提供以上の意味を持ちます。それは、公衆衛生的な視点から、膵臓がんによる死亡率を低下させるための「早期介入戦略」の一環であると言えます。当クリニックの取り組みは、個々の患者さんの健康を守るだけでなく、膵臓がんという社会的な課題に対する予防医療の推進にも貢献しています。

特に以下のようなリスク因子をお持ちの方、あるいは健康診断で異常を指摘された方は、定期的な検査を強くご検討ください。

  • 家族に膵臓がんの既往がある方

  • 遺伝性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)などの膵疾患をお持ちの方

  • 糖尿病の新規発症や悪化がある方

  • 喫煙習慣のある方

  • 慢性膵炎の方

  • 健康診断や人間ドックで、腹部超音波検査(US)やCT検査により膵管の拡張や膵嚢胞などの異常を指摘された方。


これらは早期膵臓がんの重要な間接所見となり得るためです。


定期的な検査の重要性

膵臓がんは進行が速いため、一度の検査で異常がなくても、リスク因子がある場合は定期的なフォローアップが重要です。当クリニックでは、患者さん一人ひとりのリスクに応じて、最適な検査計画をご提案し、長期的な健康管理をサポートいたします。


Table 2: 膵癌早期診断における主要検査の比較と当院の強み

検査方法

侵襲性

早期膵癌検出感度 (腫瘤形成前)

網羅性

特徴と限界

当院の強み

腹部超音波 (US)

低 (20-30mm以上の腫瘍向け) 

低 (膵臓の1/3が見えない)

安価で簡便だが、早期癌の発見はほぼ不可能。膵管拡張や嚢胞などの間接所見を指摘可能。 

まずはスクリーニングとして活用。異常時は精密検査へ。

造影CT (MDCT)

中 (放射線被ばく、造影剤)

△ (52%) 

血管や膵組織のコントラストで診断。膵実質の萎縮を捉える。早期癌自体の描出は困難な場合が多い。 

間接所見の評価に有用。

MRI (MRCP)

△ (45%) 

放射線被ばくがない。膵管を連続的に描出でき、嚢胞との位置関係を把握。早期癌自体の描出は困難。 

DWI-MRIを組み合わせることで、微細な高信号域を検出。 

超音波内視鏡 (EUS)

中 (胃カメラ使用)

高 (76%, 10mm以下も描出)

胃や十二指腸から膵臓を高精細に観察。微小腫瘍の検出に優れる。EUS-FNAで確定診断も可能。

専門施設をご紹介。

PET-CT

中 (放射線被ばく)

低 (30%) 

小さながんの感度が低い。転移が疑われる場合に弱く推奨。 

専門施設をご紹介



VII. おわりに:地域医療と未来への貢献

くりた内科・内視鏡クリニックは、院長 栗田亮の長年の経験と研究成果、そして最先端の医療機器を融合させ、膵臓がんの早期発見という喫緊の課題に真摯に取り組んでいます。

私たちは、患者さん一人ひとりの健康と安心を守るため、高度な専門性と温かい心で、地域医療に貢献してまいります。膵臓の健康にご不安がある方、健康診断で異常を指摘された方は、どうぞお気軽に当クリニックにご相談ください。早期発見が、未来を変える第一歩となります。


bottom of page