逆流性食道炎が疑われる方へ:症状・原因・治療・検査の考え方を専門医が整理― 消化器内科・内視鏡専門医の視点から ―
- 2025年1月24日
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更新日:3 日前

逆流性食道炎はよくある症状ですが、放置してよい場合と、検査が必要な場合があります。
このページでは“受診の目安”を整理します。
「胸やけ=逆流性食道炎」と思い込んでいませんか?
「胸やけがする」
「喉がつかえる感じがある」
「ゲップや酸っぱい感じが続く」
こうした症状から、「逆流性食道炎でしょう」と自己判断される方は非常に多いのが現実です。
しかし実際の診療では、
逆流性食道炎
非びらん性胃食道逆流症(NERD)
機能性ディスペプシア
咽喉頭逆流症(LPR)
などが症状だけでは区別できないケースが少なくありません[1,2]。
このページでは、逆流性食道炎を「正しく疑い」「正しく評価するための全体像」を整理します。
逆流性食道炎とは何か(定義)
逆流性食道炎(GERD)とは、
胃酸や胃内容物が食道へ逆流し、症状や粘膜障害を引き起こす状態を指します[1]。
大きく2つに分かれます
びらん性逆流性食道炎(内視鏡で炎症が見える)
非びらん性胃食道逆流症(NERD)(炎症は見えないが症状あり)
→ この違いが、治療反応・検査判断・経過観察に直結します。
逆流性食道炎でよくみられる症状
典型症状
胸やけ
呑酸(酸っぱいものが上がる感じ)
ゲップが増える
非典型症状(要注意)
喉の違和感・咳
声がれ
胸痛(心臓との鑑別が必要)
なぜ逆流が起こるのか(原因)
逆流性食道炎は、胃酸が多いから起こる病気ではありません。
主な要因は:
下部食道括約筋のゆるみ
胃の動きの低下
食後すぐ横になる習慣
肥満・姿勢・腹圧上昇
食事内容(脂質・アルコール)
→ 生活習慣 × 体質 × 胃の機能の組み合わせで起こります[2,3]。
「様子見でよい」ケースと「評価が必要」なケース
比較的軽症で様子を見られることが多い例
食後のみの軽い胸やけ
生活改善で軽快する症状
体重減少や貧血を伴わない
医療機関での評価を勧めるサイン
症状が数週間以上続く
薬をやめると再燃する
飲み込みにくさ、胸痛を伴う
40歳以上で初発
胃カメラは必要?
結論から言うと、全員に必要ではありません。
ただし以下の場合は重要です:
警告症状(嚥下障害、体重減少、貧血)
薬が効かない
他疾患との鑑別が必要
逆流性食道炎の治療の考え方
治療は3本柱
生活習慣の調整
薬物療法(PPI/P-CAB)
必要に応じた検査・再評価
※ 薬の使い方・期間については、以下で詳しく解説しています。
他の疾患との関係(重要)
逆流症状を訴える方の中には、
機能性ディスペプシア
咽喉頭逆流症
が背景にあるケースも少なくありません[4,5]。
逆流性食道炎は「診断の整理」が最重要
症状だけで決めつけない
炎症の有無で考え方が変わる
治療反応を見ながら再評価する
逆流性食道炎は、
「治し方」より先に「正しい位置づけ」が重要な疾患です。
迷った場合は、消化器内科での相談をおすすめします。
症状が続く場合や、「様子見でよいか迷う」段階でも構いません。
消化器内科・内視鏡専門医が整理します。
参考文献
Vakil N, et al. The Montreal definition and classification of GERD. Am J Gastroenterol. 2006.
Katz PO, et al. Guidelines for the diagnosis and management of GERD. Am J Gastroenterol. 2022.
Kahrilas PJ, et al. Mechanisms of reflux disease. Gastroenterology. 2013.
Tack J, et al. Functional gastroduodenal disorders. Gastroenterology. 2016.
Vaezi MF, et al. Laryngopharyngeal reflux. Gastroenterology. 2016.






