機能性ディスペプシアとは?検査で異常がないのに続く胃の不調の正体と、受診・治療の考え方
- 2025年1月23日
- 読了時間: 3分
更新日:1月29日

機能性ディスペプシア(FD)はよくある症状ですが、放置してよい場合と、検査が必要な場合があります。
このページでは“受診の目安”を整理します。
「異常なし」と言われたのに、つらいあなたへ
「胃カメラでは異常なしと言われた」
「薬を飲んでも、胃もたれや胃痛がすっきりしない」
このような胃の不調が続く場合、機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)という状態が関係していることがあります¹,²。
機能性ディスペプシアは、検査で明らかな病気が見つからないにもかかわらず、胃の症状が慢性的に続く状態です。決して「気のせい」ではありません。
このページでは、
機能性ディスペプシアの定義
症状のタイプ
診断の考え方(重要)
治療・付き合い方
を、医学的根拠に基づいて整理します。
機能性ディスペプシアの定義【重要】
機能性ディスペプシアとは、胃もたれ・胃痛・早期満腹感・みぞおちの不快感などが慢性的に続き、検査で器質的疾患が否定された状態を指します¹,²。
ここで最も重要なのは次の点です。
機能性ディスペプシアは「除外診断」です
つまり、
胃がん
胃・十二指腸潰瘍
ピロリ菌関連疾患
などを胃カメラなどで否定した上で初めて診断される状態です²,³。
症状は2つのタイプに分けて考える(Rome IV)
国際的な診断基準(Rome IV)では、機能性ディスペプシアを次の2型に分類します¹。
食後愁訴症候群(PDS)
食後の胃もたれ
少量でお腹がいっぱいになる
食後の不快感が中心
→「食後につらい」タイプ
心窩部痛症候群(EPS)
みぞおちの痛み・灼熱感
空腹時や夜間に出やすいこともある
→「痛みが主」タイプ
※両方が混在する方も少なくありません。
なぜ症状が出るのか(原因の考え方)
機能性ディスペプシアでは、以下が複合的に関与すると考えられています²,⁴。
胃の動き(排出能)の低下
胃の知覚過敏(刺激に敏感)
自律神経の乱れ
ストレス・睡眠障害
胃と脳の情報伝達の乱れ(脳腸相関)
「胃そのもの+神経の問題」と理解すると整理しやすくなります。
診断の流れ|「胃カメラが前提」になる理由
次のような症状がある場合、まず胃カメラによる評価が重要です²,³。
症状が数週間以上続く
繰り返す胃もたれ・胃痛
40歳以上で初発
体重減少・貧血を伴う
これらを除外したうえで、機能性ディスペプシアと診断されます。
治療の考え方|「完全に治す」より「整える」
機能性ディスペプシアの治療は、症状のコントロールが目標です⁴⁵。
主な治療要素
胃の動きを改善する薬
胃酸分泌を調整する薬
漢方薬
生活リズム・食事調整
ストレスへの配慮
→ 一人ひとりで最適解が異なります
「症状が強い・続く」方へ
機能性ディスペプシアは、症状の出方によって悩みが大きく異なります。
「胃もたれや吐き気が続く」
「検査は異常なしだが不安」
「薬を飲んでもすっきりしない」
こうした実際の悩みベースで整理した記事がこちらです。
※このページは、症状で迷っている方向けの補助記事です。
当院での考え方
くりた内科・内視鏡クリニックでは、
胃カメラによる正確な評価
症状タイプに応じた治療選択
不安を残さない説明
を重視しています。
「異常なし」と言われて終わり、にはしません。
「異常がない」のに苦しい理由は、説明できます
機能性ディスペプシアはれっきとした疾患概念
診断には除外診断(胃カメラ)が必須
症状は2タイプに分けて考える
治療は個別最適化が重要
「検査で異常がないのに、つらい」
それには、ちゃんと理由があります。
症状が続く場合や、「様子見でよいか迷う」段階でも構いません。
消化器内科・内視鏡専門医が整理します。
参考文献
Stanghellini V, et al. Gastroenterology. 2016;150(6):1393–1407.
Talley NJ, Ford AC. N Engl J Med. 2015;373(19):1853–1863.
Japanese Society of Gastroenterology. J Gastroenterol. 2022;57(2):47–61.
Tack J, et al. Nat Rev Dis Primers. 2018;4:18006.
Ford AC, et al. Gut. 2020;69(4):667–679.






