その胃の不調、もしかして「機能性ディスペプシア」かもしれません:検査で異常がないのに続く症状の考え方と、次に取るべき行動
- 2025年8月1日
- 読了時間: 3分
更新日:1月29日

はじめに|「異常なし」と言われたのに、つらさが残る方へ
「胃カメラでは異常がないと言われた」
「薬を飲んでも、胃もたれや胃痛がすっきりしない」
「原因が分からないまま、症状だけが続いている」
このような状態が続くと、不安や戸惑いを感じるのは自然なことです。
こうしたケースで考えられる状態の一つが、機能性ディスペプシアです¹,²。
これは、検査で明らかな異常が見つからないにもかかわらず、胃の不調が慢性的に続く状態を指します。
※ 疾患の定義や全体像については、以下のページで詳しく解説しています。
機能性ディスペプシアでよくみられる症状
症状の現れ方には個人差がありますが、次のような訴えがよくみられます¹。
食後の胃もたれ
少量でお腹がいっぱいになる
みぞおちの痛み・不快感
胃のムカムカ感
吐き気(実際には吐かないことも多い)
げっぷが増える
これらの症状が数週間以上続く/繰り返す場合、機能性ディスペプシアが疑われます。
なぜ「検査で異常がない」のに症状が出るのか
機能性ディスペプシアでは、次のような要素が関与すると考えられています²,³。
胃の動き(排出能)の低下
胃が刺激に過敏になっている状態
自律神経の乱れ
ストレスや睡眠不足
胃と脳の情報伝達の不調(脳腸相関)
→胃そのものに「傷」はなくても、働きや感覚が乱れている状態と考えると理解しやすくなります。
「放っておいてよい状態」ではありません
ここで重要なのは、
機能性ディスペプシアは「命に直結する病気ではない」
しかし「放置してよい状態」でもないという点です。
症状が長引くことで、
食事量が減る
生活の質(QOL)が低下する
不安やストレスが強まる
といった悪循環に陥ることがあります⁴。
診断の前提として必要な検査
機能性ディスペプシアは除外診断です。
つまり、次のような病気を検査で否定した上で診断されます²。
胃がん
胃・十二指腸潰瘍
逆流性食道炎
ピロリ菌関連疾患
そのため、胃カメラ検査が重要な役割を持ちます。
治療の考え方|「完全に治す」より「うまく付き合う」
機能性ディスペプシアの治療は、症状のタイプや強さに応じて調整します⁴,⁵。
胃の動きを整える薬
胃酸分泌を調整する薬
漢方薬
食事内容・生活リズムの見直し
ストレス要因への配慮
→ 一人ひとりで最適な組み合わせが異なるため、画一的な治療は行いません。
受診を検討すべき目安
次のような場合は、自己判断で我慢せず、医療機関での評価をおすすめします。
症状が数週間以上続いている
胃もたれや胃痛を繰り返す
食欲低下や体重減少を伴う
40歳以上で初めて症状が出た
機能性ディスペプシアについて、全体像を整理したページはこちら
機能性ディスペプシアは、症状の背景や診断の考え方を全体像で理解することが重要です。
疾患の定義・診断基準・症状分類(PDS/EPS)については、
以下のページで詳しく解説しています。
「異常なし」と言われても、理由はあります
機能性ディスペプシアは医学的に確立した概念
検査で異常がなくても、症状が出る理由は説明できる
我慢せず、適切に評価・調整することが重要
「異常がないから仕方ない」ではありません。
症状が続く場合は、きちんと相談する価値があります。
症状が続く場合や、「様子見でよいか迷う」段階でも構いません。
消化器内科・内視鏡専門医が整理します。
参考文献
Stanghellini V, et al. Gastroenterology. 2016;150:1393–1407.
Talley NJ, Ford AC. N Engl J Med. 2015;373:1853–1863.
Japanese Society of Gastroenterology. J Gastroenterol. 2022;57:47–61.
Tack J, et al. Nat Rev Dis Primers. 2018;4:18006.
Ford AC, et al. Gut. 2020;69:667–679.






