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胃ポリープの原因とできやすい人:ピロリ菌・薬・体質との関係を徹底解説

  • 執筆者の写真: くりた内科・内視鏡クリニック
    くりた内科・内視鏡クリニック
  • 8月12日
  • 読了時間: 19分
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胃の健康は、日々の生活の質に大きく影響します。特に、胃の粘膜にできる「胃ポリープ」は、多くの場合、自覚症状がないまま存在していることが少なくありません。しかし、その種類によっては将来的に胃がんへと進行する可能性を秘めているため、正しい知識を持ち、適切な対策を講じることが非常に重要です。

このブログ記事では、胃ポリープとはどのようなものか、その種類ごとの特徴、そしてポリープができる主な原因やできやすい人の特徴について、エビデンスに基づいて分かりやすく解説します。さらに、胃ポリープを予防し、胃の健康を守るために今日からできることについてもご紹介します。



胃ポリープとは?知っておきたい基礎知識

胃ポリープは、胃の内側を覆う粘膜の一部が隆起してできる、いぼ状の突起物を指します。多くの場合、胃ポリープ自体に痛みや不快感といった自覚症状はほとんどありません。そのため、患者さん自身がその存在に気づくことは稀であり、健康診断や他の病気の検査で偶然発見されることがほとんどです。


胃ポリープの定義と一般的な発見方法

胃ポリープが発見される最も一般的な方法は、上部内視鏡検査、いわゆる「胃カメラ」です。胃カメラ検査では、食道から胃、十二指腸の一部までを直接観察することができ、粘膜のわずかな変化も見逃さずに捉えることが可能です。胃ポリープは自覚症状を伴わないことが多いため、ご自身の胃にポリープがあるかどうかを知るためには、定期的な胃カメラ検査が不可欠となります。

胃カメラ検査は、胃ポリープだけでなく、早期の胃がんを発見する上でも非常に有効な手段です。ある報告では、胃カメラによる早期胃がんの発見率は初回で88.6%、継続して受診することで95.4%と極めて高い数値が示されており、国も胃がん検診への胃カメラ検査の導入を推奨しています。また、胃カメラは胃だけでなく、咽頭、喉頭、声帯といった上部消化管のがんやポリープの発見にも繋がるため、消化器全体の健康状態を把握する上で欠かせない検査と言えるでしょう。


良性ポリープと悪性ポリープ(胃がん)の違い

胃ポリープと診断された際、患者さんが最も心配されるのは「がんなのか、そうでないのか」という点でしょう。胃ポリープは、大きく「良性」と「悪性」に分けられます。悪性ポリープは、いわゆる胃がんそのものを指します。

良性のポリープであっても、その中には将来的にがん化する可能性を秘めたタイプが存在します。特に「腺腫」と呼ばれる腫瘍性ポリープは、良性腫瘍に分類されますが、10%から30%が悪性化して胃がんに進行する可能性があると言われています。また、比較的多く見られる「過形成性ポリープ」も、基本的には良性ですが、一部(0.6%から2.1%)が悪性化する可能性が指摘されており、特に徐々に大きくなるものには注意が必要です。

ポリープの良悪性を判断する上で、その「大きさ」や「見た目」は重要な手がかりとなります。例えば、20mm以上の大きなポリープや、表面に潰瘍や出血があるもの、形が不整なもの、丈が高い隆起があるもの、表面に大きなこぶ(結節)や陥凹(へこみ)があるものなどは、悪性の可能性が否定できないため、より詳細な精密検査や切除が検討されます。一方で、5mmから10mm未満の小さく、形状が整っていて出血や潰瘍がなく、病理検査で明らかに良性と判定されたポリープは、通常、経過観察となることが多いです。


このように、胃ポリープの見た目だけで良悪性を断定することはできません。特に、腺腫のようにがん化リスクの高いタイプも存在するため、ポリープが発見された際には、その形態的特徴だけでなく、内視鏡下で組織の一部を採取し、病理組織学的に診断することが不可欠です。この精密な診断によって、ポリープの種類を正確に特定し、適切な経過観察を行うか、あるいは積極的な治療(内視鏡的切除など)が必要かを判断することが可能になります。当クリニックでは、このような精密な内視鏡検査と病理診断を通じて、患者さん一人ひとりのポリープの状態を正確に評価し、最適な治療方針をご提案しています。



胃ポリープの種類とそれぞれの特徴

胃ポリープにはいくつかの種類があり、それぞれ発生原因やがん化リスクが異なります。ご自身の胃ポリープがどのタイプかを知ることは、適切な治療や経過観察のために非常に重要です。


過形成性ポリープ

過形成性ポリープは、胃ポリープの中で比較的多く見られるタイプの一つです。胃のどの部位にも発生する可能性があり、多くは10mm以下の大きさですが、中には30mmを超える大型になるものもあります。このポリープは、その名の通り、胃の粘膜が過剰に増殖してできる「炎症性ポリープ」の一種で、粘膜の深い層に炎症細胞が多数浸潤しているのが特徴です。

このポリープの主な原因として、ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)の感染による慢性胃炎が挙げられます。研究により、過形成性ポリープの95%以上がピロリ菌感染によるものであることが明らかになっています。ピロリ菌感染によって胃粘膜に慢性的な炎症が続くと、損傷した粘膜が修復される過程で細胞が過剰に再生され、ポリープとして形成されると考えられています。

過形成性ポリープ自体のがん化リスクは比較的低いとされていますが、大型化したり、ポリープの表面から出血を伴ったりする場合には注意が必要です。出血が続くと貧血の原因となることもあります。ピロリ菌感染が原因であるため、除菌治療を行うことで、約70%の過形成性ポリープが縮小または消失することが報告されており、炎症が改善すればポリープも小さくなる傾向が見られます。


胃底腺ポリープ

胃カメラ検査で最も多く見つかる胃ポリープが、この胃底腺ポリープです。このポリープは、特にピロリ菌に感染していない「きれいな胃」にできやすいと言われており、中年女性に多く見られる傾向があります。周囲の粘膜と同じような色調をしており、胃の中央付近(胃体部)に多数見られることも珍しくありません。

胃底腺ポリープの発生には、プロトンポンプ阻害薬(PPI)という胃酸分泌を強力に抑える薬の長期使用が関連していることが指摘されています。PPIによって胃酸の分泌が低下すると、胃の腺が過剰に反応してポリープを形成することがあると考えられています。

このタイプのポリープは、がん化リスクが極めて稀であるため、原則として治療の必要はなく、経過観察で問題ない場合がほとんどです。PPIの服用を中止することで、ポリープが縮小したり消失したりすることも多いのが特徴です。ただし、稀に増大したポリープから異形成(dysplasia)が検出された報告もあるため、注意は必要です。長期的にPPIを服用されている方は、定期的に医師と相談し、薬剤の継続や見直しについて検討することが、胃の健康を維持する上で重要となります。当クリニックでは、患者さんの状態と薬剤の長期的な影響を考慮し、適切な薬剤管理についてアドバイスを提供しています。


腺腫性ポリープ

腺腫性ポリープは、他のポリープに比べて発生頻度は少ないものの、がん化リスクを伴うタイプとして特に注意が必要です。このポリープは、胃がんの「前段階」と考えられており、悪性化率は10%から30%と報告されています。

腺腫性ポリープのがん化リスクは、ポリープのサイズが大きくなるほど高まることが知られています。特に10mm以上の大きさになると、急激にがん化リスクが高まることが示されています。しかし、小さくても油断はできません。見た目だけでは良悪性を判断できない場合もあるため、ポリープの大小にかかわらず、詳しい検査(生検)が推奨されます。

がん化のリスクがあるため、腺腫性ポリープが発見された場合は、内視鏡による早期切除が推奨されることが多いです。これは、胃がんへの進行を未然に防ぐための重要な介入となります。当クリニックでは、腺腫性ポリープの早期発見と、その後の適切な治療を通じて、胃がん予防に力を入れています。胃カメラ検査は、単なる胃のチェックではなく、胃がん予防に直結する重要な医療行為であることをご理解いただければ幸いです。


胃ポリープの種類と特徴・がん化リスクの目安

種類

主な原因

特徴

がん化リスク

推奨される対応

過形成性ポリープ

ピロリ菌感染による慢性胃炎 

炎症性ポリープ、多くは10mm以下だが大型化も 

低い(0.6-2.1%) 

ピロリ菌除菌で縮小・消失の可能性あり 

胃底腺ポリープ

PPI長期使用との関連 

ピロリ菌陰性の胃に多い、中年女性に多く見られる 

極めて低い(稀) 

PPI中止で縮小・消失の可能性あり、原則経過観察 

腺腫性ポリープ

慢性炎症、遺伝的素因など 

がんの前段階とされる、サイズが大きくなるとリスク増 

高い(10-30%)

内視鏡による早期切除が推奨 



胃ポリープができる主な原因

胃ポリープの発生は、単一の原因によるものではなく、様々な要因が複雑に絡み合って生じることが知られています。これらの主な原因を理解することは、予防策を講じ、早期発見に繋げる上で非常に重要です。


ピロリ菌感染と慢性胃炎のメカニズム

胃ポリープ、特に過形成性ポリープの最も主要な原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)の感染による慢性胃炎です。ピロリ菌は主に幼少期に口から感染し、胃の粘膜に持続的な炎症を引き起こします。この炎症が長期間にわたると、胃粘膜が薄く萎縮する「萎縮性胃炎」へと進行し、胃がんが発生する危険性が高まることが明らかになっています。

実際、慢性胃炎の原因の約80%がピロリ菌感染によるものであり、さらに胃がんの95%以上がピロリ菌感染が原因であると言われています。ピロリ菌感染によって引き起こされる慢性的な炎症が続くと、損傷した胃粘膜が修復される過程で、細胞が過剰に再生されてしまい、これが過形成性ポリープとして現れると考えられています。つまり、胃の粘膜が慢性的にダメージを受け、それを治そうとする体の反応が過剰になることで、ポリープが形成されやすくなるのです。


胃酸分泌の異常と粘膜の変性

胃酸分泌のバランスが崩れることも、胃ポリープの形成に影響を与えることがあります。胃酸分泌の異常は、胃粘膜のバリア機能を低下させ、ポリープができやすい環境を作り出す可能性があります。

特に、胃酸分泌を強力に抑制するプロトンポンプ阻害薬(PPI)を長期的に使用している場合、胃底腺ポリープの新規発生や既存ポリープの増大が指摘されています。これは、PPIによって胃酸の分泌が低下すると、胃の腺が過剰に反応してポリープを形成することがあるためと考えられています。

また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)も、胃粘膜に影響を及ぼす可能性があります。NSAIDsは、胃粘膜を保護する働きを持つプロスタグランジンという物質の生成を抑制します。これにより、胃酸の分泌が増え、同時に胃粘膜の保護機能が低下するため、胃潰瘍や胃腸障害を引き起こすことがあります。NSAIDsが直接胃ポリープの原因となるという明確な報告は少ないものの、胃粘膜への慢性的な刺激や損傷は、結果的にポリープ形成を助長する間接的な要因となり得ると考えられます。


遺伝的素因と加齢の影響

胃ポリープの発生には、加齢や遺伝的要因も関与するとされています。ご家族の中に胃がんや胃ポリープを患った方がいる場合、ご自身も胃がんや胃ポリープが発生するリスクが通常よりも高いと考えられています。これは、特定の遺伝的素因が関与しているためです。

また、年齢を重ねるにつれて胃ポリープの発見率は高まる傾向にあります。特にピロリ菌感染は加齢とともに感染率が高まる傾向があり、日本の65歳以上では70%を超えるというデータもあります。このように、遺伝的背景と加齢は、胃ポリープの発生リスクを高める避けられない要因と言えるでしょう。


食生活・生活習慣が与える影響

日々の食生活や生活習慣の乱れも、胃ポリープの発生に大きく影響します。過度な飲食、早食い、不規則な食事時間、喫煙、過度のストレス、アルコールの多量摂取などは、胃に大きな負担をかけ、胃粘膜を傷つけます。そして、この傷ついた粘膜が修復される過程で、ポリープが形成されることがあります。

特に、脂質の多い食事、大量の飲酒、添加物の多い食品の頻繁な摂取は、胃ポリープの主な原因の一つとされています。また、塩分の摂りすぎ(漬物、ラーメン、スナック菓子、塩辛など)や、刺激物(コショウ、唐辛子、コーヒー、エナジードリンクなど)の過剰摂取も胃粘膜を刺激し、炎症を引き起こす可能性があります。喫煙や過度な飲酒は、胃粘膜を直接傷つけ、慢性的な炎症を引き起こすことで、胃ポリープや胃がんのリスクを上昇させることが報告されています。肥満や糖尿病も、ポリープができるリスクを高める要因として挙げられます。


これらの要因は独立して存在するだけでなく、互いに影響し合い、胃の健康に「慢性炎症の連鎖」を引き起こす可能性があります。例えば、ピロリ菌感染がある人が不健康な生活習慣を送ると、胃への負担がさらに増大し、ポリープや胃がんのリスクが累積的・相乗的に高まることが考えられます。胃ポリープの発生は「たまたまできたもの」ではなく、ピロリ菌感染、生活習慣、薬剤、遺伝的素因といった複数の要因が複雑に作用し、特に「慢性的な胃粘膜の炎症とそれによる異常な修復プロセス」が中心的な役割を果たしていると理解することが重要です。そのため、予防には多角的なアプローチが必要であり、特定の原因だけでなく、胃全体への負担を軽減する視点が求められます。


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胃ポリープができやすい人の特徴

これまでの説明から、胃ポリープができやすい人にはいくつかの共通した特徴があることがわかります。ご自身に当てはまる項目がないか確認し、当てはまる場合は積極的に検査や生活習慣の見直しを検討しましょう。


ピロリ菌陽性歴のある中高年の方

ピロリ菌感染は、胃ポリープ、特に過形成性ポリープの主要な原因であり、慢性胃炎を引き起こします。日本では、10代・20代のピロリ菌感染率は10%程度ですが、65歳以上では70%を超えるなど、加齢とともに感染率が高まる傾向にあります。ピロリ菌感染による慢性胃炎は、胃粘膜の萎縮を進行させ、胃がんのリスクを高めることが知られています。そのため、ピロリ菌陽性歴のある中高年の方は、胃ポリープや胃がんのリスクを考慮し、特に注意が必要です。


PPIやNSAIDsなど薬を常用されている方

胃酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を長期的に使用している方は、胃底腺ポリープができやすいことが知られています。これらのポリープは通常良性で、PPIの中止によって縮小・消失することが多いですが、長期服用による影響として認識しておくべきでしょう。

また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、胃粘膜を保護するプロスタグランジンの生成を抑制し、胃に負担をかける可能性があります。NSAIDs自体が直接ポリープの原因となるというよりは、胃粘膜への慢性的な刺激や損傷を通じて、ポリープ形成を助長する間接的な要因となり得ると考えられます。これらの薬剤を常用されている方は、定期的に胃の状態をチェックすることが推奨されます。


喫煙・飲酒・高脂肪食の習慣がある方

喫煙や過度な飲酒は、胃粘膜を刺激し、慢性的な炎症を引き起こすことで、胃ポリープや胃がんのリスクを高めます。また、脂質の多い食事、塩分の多い食品、刺激物の過剰摂取も胃粘膜に負担をかけ、ポリープ形成を助長する要因となります。肥満や糖尿病の方も、胃ポリープができるリスクが高いとされています。これらの生活習慣は、胃に慢性的な負担をかけ、粘膜の異常な修復プロセスを引き起こすことで、ポリープ発生のリスクを高めてしまうのです。


ご家族にポリープ歴がある場合

胃ポリープの発生には、遺伝的な要因も関与すると言われています。特に、ご家族の中に胃がんや胃ポリープを患った方がいる場合、ご自身も胃がんや胃ポリープが発生する可能性が通常よりも高いと考えられます。これは、遺伝的素因が関与しているためであり、ご自身の努力だけでは変えられないリスク要因となります。

胃ポリープのリスクは、これらの要因が単独で作用するだけでなく、互いに影響し合い、累積的・相乗的に高まる可能性があります。例えば、ピロリ菌感染歴があり、かつ不健康な生活習慣を送っている方は、より高いリスクを抱えていると言えるでしょう。そのため、胃ポリープのリスク評価は、単一の要因だけでなく、年齢、感染歴、薬剤使用、家族歴、生活習慣といった個人の複合的な背景を総合的に判断することが重要です。当クリニックでは、患者さん一人ひとりのリスクプロファイルを詳細に評価し、個々に合わせた予防策やスクリーニング計画をご提案しています。



胃ポリープを予防するためにできること

胃ポリープの予防は、胃がんの予防にも繋がる重要な取り組みです。日々の生活習慣を見直し、定期的な検査を受けることで、胃の健康を守り、将来の病気のリスクを低減することができます。


ピロリ菌除菌治療のすすめ

ピロリ菌は慢性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの主な原因となるため、ピロリ菌感染が確認された場合は、除菌治療を強くお勧めします。ピロリ菌を除菌することで、胃がんの発生率が半数から3分の1に減少し、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発もほぼ抑制されることが報告されています。また、過形成性ポリープの約70%が縮小または消失するというデータもあります。

除菌治療は、2種類の抗菌薬と胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬)を1週間内服するという比較的簡単な方法で行われ、初回での除菌成功率は約70%から90%と高いです。さらに、「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対しても保険診療で除菌治療が受けられるようになりました。

ただし、ピロリ菌除菌に成功したとしても、胃がんのリスクが完全にゼロになるわけではありません。特に、除菌前から胃粘膜に萎縮性胃炎や腸上皮化生といった変化が見られる場合は、引き続き定期的な内視鏡検査を受けることが推奨されます。除菌後の「もう大丈夫」という安堵感から検査を怠ってしまうと、残存する胃がんのリスクを見逃すことにつながりかねません。当クリニックでは、除菌後の患者さんに対しても、胃がんリスクは低減するものの、完全に排除されるわけではないことを明確にお伝えし、継続的な内視鏡検査の重要性を強調しています。


今日から始める食生活の見直しと具体的なアドバイス

胃ポリープの予防には、バランスの取れた食生活と健康的な生活習慣が不可欠です。日々の食事を見直すことで、胃への負担を減らし、粘膜の健康を保つことができます。

控えるべきもの

  • 塩分の多い食品: 漬物、ラーメン、スナック菓子、塩辛などは胃粘膜を刺激し、炎症を引き起こす可能性があります。

  • 脂肪分の多い食品: 揚げ物や脂の多い肉料理は胃酸の過剰分泌を招き、胃に負担をかけます。

  • 過剰なアルコール摂取: 胃粘膜に炎症を起こし、慢性胃炎やポリープ、がんのリスクを高めます。

  • 刺激物の過剰摂取: コショウ、唐辛子、コーヒー、エナジードリンクなどは胃粘膜を刺激します。

  • 加工肉・赤身肉の過剰摂取: 大腸ポリープ・がんのリスク因子とされますが、消化器全体の健康に配慮し、摂取を控えめにすることが推奨されます。

積極的に摂りたいもの

  • 野菜・果物: ビタミンCやポリフェノール、カロテノイドなどの抗酸化作用のある成分を豊富に含み、胃粘膜へのダメージを抑制し、ポリープのリスクを低減する効果が期待できます。

  • 食物繊維: 腸内環境を整え、胃への負担を軽減します。野菜、果物、海藻、全粒穀物、納豆などがおすすめです。

  • 発酵食品: ヨーグルトや納豆などの乳酸菌を含む食品は、胃の健康をサポートし、ピロリ菌の活動を抑制する効果も期待できます。

  • バランスの取れた食事: 特定の食品に偏らず、多様な栄養素をバランス良く摂取することが重要です。

  • 良質なタンパク質: 肉類を摂取する際は、鶏肉や魚、大豆製品など、脂質の少ないものを選びましょう。


その他生活習慣: 禁煙、節酒、適度な運動、ストレス管理、適切な体重維持も胃の健康には不可欠です。特に、ストレスは胃酸の分泌を促進し、胃に負担をかけることがあるため、自分に合ったストレス解消法を見つけることも大切です。


胃ポリープ予防のための食生活のポイント

カテゴリ

推奨されるもの(具体的な食品・習慣)

控えるべきもの(具体的な食品・習慣)

食事内容

野菜・果物(ビタミンC、ポリフェノール、カロテノイドなど)、食物繊維(野菜、果物、海藻、全粒穀物、納豆)、発酵食品(ヨーグルト、納豆)、魚・大豆・鶏肉などの良質なタンパク質、バランスの取れた食事

塩分の多い食品(漬物、ラーメン、スナック菓子、塩辛)、脂肪分の多い食品(揚げ物、脂の多い肉料理)、刺激物(コショウ、唐辛子、コーヒー、エナジードリンク)の過剰摂取、加工肉・赤身肉の過剰摂取 

生活習慣

適度な運動、ストレス管理、適切な体重維持 

喫煙、過剰なアルコール摂取 


定期的な内視鏡検査の重要性:早期発見・早期治療のために

胃ポリープ、特にがん化リスクのある腺腫性ポリープや早期胃がんの発見には、定期的な内視鏡検査が最も効果的な手段です。胃がんは、そのタイプによっては1年から年で進行がんになることもあり、早期発見と早期治療が、その後の治療成績や生存率に大きく影響します。

従来のバリウム検査や便潜血検査も有用ですが、これらの検査だけではがんが進行してから発見されるケースが多いことが指摘されています。内視鏡検査は、胃の粘膜を直接観察し、疑わしい病変があればその場で組織を採取して精密な診断を行うことができるため、圧倒的に高い精度で早期発見に繋がります。


検査間隔の目安

胃がんの進行速度を考慮すると、胃は1年後、大腸は2年後の定期検査が推奨されることが多いです。特に、胃ポリープを切除した方や、ピロリ菌除菌後の方、胃粘膜に萎縮性胃炎や腸上皮化生といった変化がある方は、胃がんのリスクがゼロではないため、少なくとも年に一度の胃内視鏡検査が勧められます。一般的な検診としては2年から3年間隔での内視鏡検査も可能とされていますが、個々のリスクに応じて医師と相談し、最適な間隔で検査を受けることが重要です。

ご家族に胃がんやポリープの既往がある方は、遺伝的な要因も考慮し、比較的早い年齢から胃カメラ検査を受けることをお勧めします。症状がないからといって検査を怠ると、病変が進行してから発見されるリスクが高まります。胃ポリープや胃がんの予防は、ピロリ菌除菌や食生活・生活習慣の改善といった「一次予防」と、定期的な内視鏡検査による「早期発見・早期治療(二次予防)」という二重の防衛線で成り立っています。どちらか一方だけでは不十分であり、両方を組み合わせることで最も効果的な対策となります。当クリニックでは、患者さんの健康を長期的にサポートするパートナーとして、予防から早期発見・治療まで一貫したケアを提供し、継続的な健康管理の重要性をお伝えしています。


結論

胃ポリープは、その種類によって発生原因やがん化リスクが大きく異なり、多くの場合、自覚症状がないまま進行します。過形成性ポリープはピロリ菌感染による慢性炎症と深く関連し、胃底腺ポリープはPPIの長期使用と関連が見られますが、いずれも良性であることがほとんどです。しかし、腺腫性ポリープはがんの前段階とされ、特にサイズが大きくなるとがん化リスクが高まるため、早期発見と適切な対応が不可欠です。

胃ポリープの発生は、ピロリ菌感染、薬剤の使用、遺伝的素因、そして不適切な食生活や生活習慣など、複数の要因が複雑に絡み合い、特に胃粘膜の慢性的な炎症と異常な修復プロセスが中心的な役割を果たすことが明らかになっています。これらのリスク因子は単独でなく、互いに影響し合い、リスクを累積的に高める可能性があります。

胃ポリープ、ひいては胃がんを予防するためには、ピロリ菌感染が確認された場合の除菌治療、バランスの取れた食生活と健康的な生活習慣への見直しが重要です。しかし、これらの予防努力だけではリスクをゼロにすることはできません。胃がんは進行が速いタイプも存在し、症状が出た時には進行がんとなっているケースも少なくないため、症状の有無にかかわらず、定期的な胃内視鏡検査による早期発見・早期治療が最も効果的な「二重の防衛線」となります。

くりた内科・内視鏡クリニックでは、患者さん一人ひとりの胃の状態やリスク因子を詳細に評価し、最適な検査計画と治療方針をご提案しています。ピロリ菌検査・除菌治療はもちろん、苦痛の少ない内視鏡検査を通じて、胃ポリープの精密な診断と、必要に応じた早期治療を提供することで、患者さんの胃の健康を長期にわたってサポートいたします。胃のことで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。


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