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炎症性腸疾患(IBD)と向き合う:潰瘍性大腸炎・クローン病の基礎知識から最新治療、そして当院での安心のサポートまで

  • 執筆者の写真: くりた内科・内視鏡クリニック
    くりた内科・内視鏡クリニック
  • 7月4日
  • 読了時間: 22分

更新日:8月5日

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I. はじめに:炎症性腸疾患(IBD)とは

炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease: IBD)は、消化管に慢性的な炎症を引き起こす一連の疾患を指し、具体的には「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」の二つが主要な病態です。これらの病気の根本的な原因は未だ完全に解明されていませんが、遺伝的素因、環境要因、腸内細菌叢のバランスの乱れなどが複雑に絡み合い、体内の免疫システムが異常な反応を起こすことで発症すると考えられています。一度発症すると、症状が落ち着いている「寛解期」と、症状が悪化する「活動期(再燃期)」を繰り返しながら、長期にわたる治療が必要となる慢性疾患です。

近年、日本における炎症性腸疾患の患者数は著しく増加しており、潰瘍性大腸炎は20万人以上、クローン病は7万人以上もの方が罹患していると報告されています。これらの疾患は、厚生労働省によって「難病」に指定されており、特定の条件を満たすことで医療費助成の対象となります。


潰瘍性大腸炎とクローン病の共通点

潰瘍性大腸炎とクローン病は、どちらも消化管に慢性的な炎症を引き起こす難病であり、その発症原因が不明であるという共通点を持っています。両疾患ともに、症状が一時的に治まる寛解期と、症状が再び現れる活動期を繰り返す特徴があります。治療の主な目的は、症状を効果的に管理し、できるだけ長く寛解状態を維持することにあります。適切な治療を受けることで、多くの患者様は寛解期において、学業や仕事にほとんど支障なく、健康な方と変わらない日常生活を送ることが可能です。また、治療を継続しながらの妊娠や出産も可能であり、特に寛解期に妊娠し、その状態を維持することが推奨されています。5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤、ステロイド剤、免疫調節薬、生物学的製剤など、両疾患で共通して用いられる薬剤や治療法も少なくありません。さらに、消化管以外の部位にも炎症が及ぶことがあり、関節痛、皮膚症状、肝機能異常などを合併する可能性がある点も共通しています。長期にわたる腸管の炎症は、将来的にがんのリスクを高める可能性があるため、定期的な内視鏡検査による経過観察が非常に重要となります。


炎症性腸疾患が「難病」に指定されていると聞くと、患者様やご家族は病気の重さや将来への不安を感じることがあるかもしれません。しかし、現代の医療の進歩により、正確な診断と継続的な治療を受けることで、多くの患者様が症状を良好にコントロールし、高い生活の質(QOL)を維持できるようになっています。これは、「治らない病気」という難病の一般的なイメージとは異なり、現在の治療がもたらす希望を明確に示しています。患者数の増加は、この病気に対する社会全体の理解を深め、早期の受診と専門的な医療ケアの重要性を一層高めています。


潰瘍性大腸炎とクローン病の主な違い

潰瘍性大腸炎とクローン病は多くの共通点を持つ一方で、病気の性質や症状には明確な相違点が存在します。これらの違いを理解することは、適切な診断と効果的な治療法を選択する上で不可欠です。


項目

潰瘍性大腸炎(UC)

クローン病(CD)

炎症部位

主に大腸の粘膜に炎症が発生し、直腸から連続的に上行性に広がる特徴がある

口腔から肛門までの消化管のあらゆる部分に病変が生じる可能性があり、特に小腸と大腸に多く見られる。炎症は腸管壁の全層に及ぶ

主な症状

粘液や血液が混じった便(粘血便)を伴う下痢や腹痛が典型的

下痢や腹痛が多く見られ、それに加えて体重減少や貧血なども頻繁に現れる

病変の深さ

炎症は主に腸の粘膜層にとどまる

腸管壁の深い部分、すなわち全層に炎症が及ぶ

肛門病変

一般的に特異的な肛門病変は関連付けられない

肛門周囲に、膿を伴う「痔ろう」と呼ばれる特徴的な病変をしばしば合併する

食事制限の傾向

症状が落ち着いている寛解期では厳格な食事制限は不要だが、過度な飲食や刺激物の摂取は控えることが望ましい

脂質の摂取制限が推奨されるが、寛解期には強い制限は不要。腸管が狭くなっている場合は、不溶性食物繊維の摂取を避けるべき


潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらん(ただれ)や潰瘍(粘膜が剥がれる状態)が形成される炎症性腸疾患です。この病気の特徴として、病変が直腸から始まり、連続的に口側(上行性)へと広がる性質があり、場合によっては大腸全体に及ぶこともあります。



II. 潰瘍性大腸炎(UC)について

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらん(ただれ)や潰瘍(粘膜が剥がれること)ができる炎症性腸疾患です。この病気の病変は、直腸から連続的に、そして口側(上行性)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がることがあります。


UCの病態と主な症状

潰瘍性大腸炎の最も特徴的な症状は、血液が混じった便(血便、特に粘血便)を伴う、または伴わない下痢と腹痛です。炎症が進行し重症化すると、発熱、体重減少、貧血といった全身症状が現れることもあります。また、腸管だけでなく、関節の痛み、皮膚の発疹、目の炎症など、腸管以外の部位に合併症が生じることもあります。病変の広がり方によって、全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型に分類され、症状の有無で活動期と寛解期に、症状の重さによって軽症、中等症、重症、劇症に分けられます。


診断の重要性:内視鏡検査の役割

潰瘍性大腸炎の診断は、患者様の症状の経過や詳細な病歴の聴取から始まります。特に、血性下痢を引き起こす可能性のある感染症(細菌性赤痢、アメーバ性大腸炎など)や、クローン病、薬剤性大腸炎といった他の炎症性腸疾患との鑑別が極めて重要です。

この診断プロセスにおいて、大腸内視鏡検査は不可欠な役割を担います。内視鏡を用いることで、大腸の炎症の範囲や病変の具体的な状態を直接目で確認し、他の病気の可能性を確実に排除することができます。さらに、内視鏡検査中に病変部から組織を採取する「生検」を行い、病理診断によって最終的な確定診断に至ります。


内視鏡検査は、診断時だけでなく、病気の重症度や治療の効果を定期的に評価するためにも活用されます。潰瘍性大腸炎の患者様は、長期にわたる腸の炎症により大腸がんのリスクが増加することが知られています。そのため、たとえ症状が落ち着いている寛解期であっても、定期的な内視鏡検査が強く推奨されます。この定期的な検査は、がんの早期発見と早期治療に繋がり、患者様の長期的な健康維持に極めて重要な役割を果たします。内視鏡検査は、単なる診断ツールに留まらず、病気の進行を監視し、将来的な重篤な合併症を予防するための、まさに生命線とも言える検査なのです。


最新の治療法:薬物療法から外科的治療まで

潰瘍性大腸炎の治療は、主に薬物療法が中心となります。治療の目標は、症状を完全に消失させる「寛解導入」と、その寛解状態をできるだけ長く維持する「寛解維持」です。


薬物療法

治療の第一選択薬として広く用いられるのが、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤です。この薬剤は腸の炎症を抑える効果があり、軽症から中等症の患者様に有効で、再燃の予防にも重要な役割を果たします。内服薬だけでなく、直腸炎型や左側大腸炎型には坐薬や浣腸タイプも効果的です。


症状の改善が不十分な場合や、中等症から重症の患者様には、副腎皮質ステロイドが使用されます。ステロイドは非常に強力な抗炎症作用を持ちますが、長期的な服用には副作用のリスクがあるため、使用期間が慎重に管理されます。


ステロイドの減量で症状が再燃する患者様や、ステロイドが効きにくい患者様には、免疫調節薬や免疫抑制薬が選択肢となります。


近年、治療の選択肢として大きく進歩しているのが生物学的製剤です。これには、炎症を引き起こす特定の物質を標的とする抗TNF-α抗体薬(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブなど)、炎症性リンパ球が腸管粘膜に侵入するのを防ぐ接着分子を標的とした治療薬(ベドリズマブ)、炎症性分子であるインターロイキンを抑える抗インターロイキン12/23p40抗体薬(ウステキヌマブ)や抗インターロイキン23p19抗体薬(ミリキズマブ)などがあります。これらは重症例や他の治療で効果が不十分な場合に用いられ、高い治療効果が期待されています。


さらに、免疫細胞内のシグナル伝達を阻害することで炎症を抑える新しいタイプの経口薬として、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬(トファシチニブ、フィルゴチニブ、ウパダシチニブなど)も登場し、患者様の治療選択肢を広げています。


血球成分除去療法

ステロイド治療で症状が改善しない場合や、ステロイドの減量によって再発する場合に、血液中から異常に活性化した免疫細胞を取り除く治療法が行われることがあります。


外科的治療

内科的治療で十分な効果が得られない場合や、大量出血、腸管穿孔(腸に穴があくこと)、中毒性巨大結腸症(大腸が著しく拡張し、毒素が全身に回る重篤な状態)、がんの疑いがある場合など、生命に関わるような重大な合併症が生じた際には外科手術が検討されます。近年では、肛門機能を温存できる回腸嚢(小腸で袋を作り肛門につなぐ)を造る手術が主流となっており、手術後もほぼ通常の生活を送ることが可能になっています。


このように、潰瘍性大腸炎の治療は多岐にわたり、患者様の病状や重症度、治療への反応性に応じて最適な方法が選択されます。特に新しい薬剤の登場は、これまで治療が難しかった患者様にも新たな希望をもたらし、より個別化された治療が可能になっています。


日常生活とQOL:食事、ストレス、合併症への対処

潰瘍性大腸炎の患者様にとって、日常生活における食事の管理や精神的なストレスへの適切な対処は、病状のコントロールと生活の質の維持に大きく影響します。


食事管理

病状が落ち着いている寛解期であれば、厳密な食事制限は通常不要とされています。しかし、暴飲暴食を避け、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。香辛料などの刺激物、極端に冷たいもの、アルコール類、カフェイン、炭酸飲料などは控えめに摂取することが推奨されます。

一方、炎症が強い活動期には、腸に負担をかけない食事が非常に重要です。この時期には、高カロリー、低刺激、低脂肪、低残渣(食物繊維が少ない)の食事が推奨されます。下痢がひどい場合は脱水症状を防ぐために、こまめな水分摂取が不可欠です。重症の場合には、入院して絶食が必要となることもあります。

個々の患者様によって、症状を悪化させる食品(いわゆるトリガー食品)は異なります。そのため、ご自身で食事日記をつけるなどして、どのような食品が症状に影響するかを把握することが、より良い食事管理に繋がります。


精神的ストレス

潰瘍性大腸炎は、心理的なストレスが病状に強く影響すると言われています。病気であること自体が大きなストレスとなり、治療を続けながらの生活は、職場や学校、家庭で負担がかかることも少なくありません。そのため、十分な休養と睡眠を確保し、ストレスを軽減できる環境を整えることが、病状の安定に役立ちます。


合併症への対処

潰瘍性大腸炎は、腸管合併症(大量出血、狭窄、穿孔、中毒性巨大結腸症、大腸がん)や、腸管以外の合併症(関節炎、皮膚症状、目の炎症など)を引き起こす可能性があります。これらの合併症を早期に発見し、適切に対処するためには、定期的な検査と専門医との密な連携が不可欠です。特に、長期の炎症に関連する大腸がんのリスクがあるため、症状が落ち着いていても定期的な内視鏡検査を受けることが、長期的な健康維持のために極めて重要です。これにより、万が一がんが発生しても早期に発見し、治療を開始できる可能性が高まります。


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III. クローン病(CD)について

クローン病は、口腔から肛門に至る消化管のあらゆる部位に病変を生じる可能性のある炎症性腸疾患です。特に小腸と大腸に多く発生し、炎症が腸管壁全体に及ぶのが特徴です。


CDの病態と主な症状

クローン病の主な症状は、下痢と腹痛です。これらに加えて、発熱、体重減少、貧血などの全身症状を伴うことも少なくありません。クローン病に特徴的な合併症として、肛門周囲に痔ろう(膿が出る穴を伴う痔)をしばしば合併します。これは患者様の生活の質に大きな影響を与えることがあります。

その他にも、腸に深い潰瘍ができ、他の臓器や皮膚とつながる通路ができる「瘻孔(ろうこう)」、腸管の内腔が狭くなる「狭窄」、腸に穴があく「穿孔」などの腸管合併症や、関節、皮膚、目の病変などの腸管外合併症もみられます。発症年齢は10代から20代が最も多いとされ、男性に多い傾向があります。


クローン病は、消化管のどの部位にも影響を及ぼし、炎症が腸管壁の全層に及ぶため、潰瘍性大腸炎に比べて複雑な合併症を引き起こしやすいという特徴があります。特に瘻孔や狭窄といった合併症は、患者様の症状を悪化させ、手術が必要となることも少なくありません。肛門病変の頻度が高いこともクローン病の大きな特徴であり、これが患者様の日常生活に多大な影響を及ぼすことがあります。これらの複雑な病態や合併症の多様性は、クローン病の診断と管理に高度な専門知識と多角的なアプローチが求められる理由です。


診断の重要性:内視鏡検査とその他の検査

クローン病の診断は、患者様の症状に関する詳しい問診から始まります。血液検査で貧血や炎症反応の上昇などの異常所見が認められた場合に、クローン病が強く疑われます。

確定診断のためには、大腸カメラ検査、胃カメラ検査、そして小腸内視鏡検査(小腸内視鏡やカプセル内視鏡)やバリウムを用いたX線検査などの画像検査が非常に重要です。クローン病は消化管の広範囲に病変が生じる可能性があるため、これらの多様な検査を組み合わせて病変の部位や範囲、性状を詳細に評価することが必要です。内視鏡検査で特徴的な病変が見つかった場合には、その部分の組織を採取し、病理検査を行うことで確定診断に至ります。


また、感染性腸炎など、クローン病と類似した症状を引き起こす他の疾患との鑑別も診断において不可欠です。これらの検査を通じて、クローン病の正確な診断が行われ、その後の適切な治療方針が決定されます。


最新の治療法:栄養療法と薬物療法、外科的治療

クローン病の治療は、主に内科治療(栄養療法や薬物療法など)が主体となりますが、腸閉塞や穿孔、膿瘍などの合併症が生じた場合には外科治療が必要となります。


栄養療法・食事療法

クローン病の治療において、栄養療法は非常に重要な位置を占めています。栄養状態の改善だけでなく、腸管の安静を保ち、食事からの刺激を取り除くことで、腹痛や下痢などの症状の改善、さらには消化管病変自体の改善も期待できます。特に「完全経腸栄養療法」は、ステロイドや生物学的製剤といった免疫抑制薬と同等の効果があるとされ、脂質が少なく腸管に負担をかけない成分栄養剤(エレンタールなど)を使用することが一般的です。この治療法は、病気の活動性を抑え、寛解を導入する上で非常に有効であることが多くの研究で示されています。

寛解期には厳しい食事制限は不要ですが、脂質の多い食事は避けるべきです。腸管に狭窄がある場合は、不溶性食物繊維の多い食品や消化の悪いたんぱく質を控える必要があります。栄養療法は、単なる栄養補給に留まらず、クローン病の病態そのものに働きかける主要な治療法の一つとして位置づけられています。


薬物療法

活動期には、潰瘍性大腸炎と同様に、主に5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)やステロイド剤が用いられます。これらの薬剤で効果が不十分な場合や、病状が重い場合には、免疫調節薬や抗TNF-α抗体薬、抗IL-12/23p40抗体薬などの生物学的製剤が選択されます。これらの薬剤は、炎症を引き起こす特定の免疫反応を標的とすることで、高い治療効果を発揮します。また、血球成分除去療法も治療選択肢の一つとして行われることがあります。


外科的治療

内科的治療で改善しない高度な狭窄、穿孔、膿瘍、難治性の痔ろうなどの合併症に対しては、外科手術が検討されます。クローン病の外科治療では、病変部を切除する際に腸管をできるだけ温存することが重視され、小範囲の切除や狭窄形成術が行われます。腸管の狭窄に対しては、内視鏡を用いたバルーン拡張治療も有効な選択肢です。痔ろうなどの肛門周囲の病変に対しても、生活の質(QOL)の維持のため、専門的な手術が必要となる場合があります。


日常生活とQOL:食事、ストレス、合併症への対処

クローン病の患者様にとって、食事のコントロールと栄養療法は、病状の管理と生活の質(QOL)の維持に不可欠です。病気の活動性や症状が落ち着いていれば通常の食事も可能ですが、病態の悪化を防ぐために日々の食事を意識的にコントロールすることが重要です。特に脂質の多い食事は避けるべきとされており、経腸栄養剤を併用することで、症状の改善や寛解維持に効果が期待できます。

精神的ストレスも潰瘍性大腸炎と同様に病状に影響を与えることが知られています。そのため、十分な休養と睡眠を確保し、ストレスを軽減するための工夫を日常生活に取り入れることが大切です。

クローン病に特徴的な合併症として、瘻孔、狭窄、穿孔、そして肛門病変などが挙げられます。これらの合併症は患者様のQOLに多大な影響を及ぼす可能性があるため、定期的な検査と専門医による適切な管理が不可欠です。特に肛門病変は高頻度に合併し、放置すると難治性の多発痔瘻や肛門狭窄が生じ、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。そのため、専門的な治療を早期に受けることが推奨されます。



IV. くりた内科・内視鏡クリニックが提供する専門医療

炎症性腸疾患は、長期にわたる専門的な管理が必要な病気です。くりた内科・内視鏡クリニックでは、患者様が安心して治療を受け、質の高い日常生活を送れるよう、多角的なサポート体制を整えています。


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院長の専門性と経験:消化器内視鏡専門医・指導医としての実績

当院の院長、栗田亮医師は、長年にわたり大学病院や都市部の大病院で消化器内科医として豊富な臨床経験を積んでまいりました。日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の資格を有しており、内視鏡検査においては数万件もの経験を持つ熟練医です。

特に膵臓がんの早期診断に関する論文発表や、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)関連の業績が多数あることからも、消化器分野全般における深い専門知識と高度な技術が示されています。これらの経験と資格は、炎症性腸疾患の正確な診断はもちろんのこと、個々の患者様の病態に合わせた最適な治療方針を決定する上で、極めて重要な基盤となります。患者様は、このような実績を持つ専門医による質の高い医療を安心して受けることができます。


苦痛の少ない内視鏡検査:最新機器と鎮静剤、炭酸ガス使用

内視鏡検査は、その性質上、患者様にとって苦痛を伴うイメージがあるかもしれません。しかし、当院では、患者様の感じる苦痛を最小限に抑えるための工夫を徹底しています。

経験豊富な内視鏡専門医が、最新式の挿入しやすい内視鏡検査機器を用いて検査を行います。特に、オリンパス社製の最新内視鏡システム「EVIS X1」を導入しており、これはクリニックレベルでは珍しく、大学病院や大病院に近年導入され始めている高性能なシステムです。4K画質の高性能モニターにより、より小さな病変や早期がんの発見を可能にし、正確で精密な診断を提供します。

また、ご希望に応じて鎮静剤や鎮痛剤を投与し、眠った状態で検査を受けていただくことが可能です。これにより、検査中の不快感をほとんど感じることなく、リラックスして検査を受けていただけます。


大腸カメラ検査では、腸のひだの裏側などを詳細に観察するために、腸を広げる必要があります。当院では、この際に空気の代わりに生体吸収性に優れた炭酸ガスを使用しています。炭酸ガスは空気よりも速やかに体内に吸収されるため、検査後のお腹の張りを大幅に軽減し、患者様の負担を和らげます。

さらに、大腸カメラ検査中にポリープが発見された場合、その場で切除することが可能です。これにより、改めて切除のために来院する手間が省け、早期の治療に繋がります。

これらの取り組みは、内視鏡検査に対する患者様の不安や抵抗感を払拭し、必要な検査を安心して受けていただくことを目的としています。検査の苦痛が少ないことは、特に長期的な管理が必要な炎症性腸疾患において、患者様が定期的な検査を継続しやすくなるという点で、非常に大きな意味を持ちます。


女性に配慮した検査環境

当院では、女性患者様が安心して内視鏡検査を受けられるよう、きめ細やかな配慮を行っています。男性医師による検査に抵抗がある方や、大腸カメラの下剤を飲む際のトイレ使用が気になるなど、女性患者様から寄せられる声に真摯に応え、以下のような設備と体制を整えています。

検査スタッフ全員を女性にした体制を整える日を設けており、女性医師による検査日もございます(詳細はHPまたはお電話でご確認ください)。また、検査前の前処置室やトイレ、検査後の休憩スペースなど、プライバシーに最大限配慮した個室環境をご用意しています。これにより、患者様は周囲を気にすることなく、リラックスして検査に臨むことができます。


同日検査と院内での下剤服用

お忙しい患者様のために、胃カメラと大腸カメラの同日検査が可能です。これにより、検査前日の準備や食事制限が一度で済み、通院回数も減らすことができるため、時間的な負担を大幅に軽減できます。検査は、鎮静剤で眠った状態でまず胃カメラを行い、その後そのまま大腸カメラを行う流れで、眠っている間にすべて終了します。

大腸カメラ検査前には、腸に貯まった便をきれいに洗浄するため、下剤の服用が必要となります。ほとんどの患者様はご自宅で服用されますが、ご自宅での服用に不安がある方や、遠方からお越しになる方のために、早めに来院いただき、院内で下剤を服用できるトイレ付きの個室を完備しています。これにより、患者様はご自身のペースで、安心して検査準備を進めることができます。


難病指定医としてのサポート:医療費助成制度の活用

炎症性腸疾患は厚生労働省により「難病」に指定されており、医療費助成制度の対象となります。当院の院長は「難病指定医」であるため、潰瘍性大腸炎やクローン病の患者様がこの医療費助成制度(特定疾患治療研究事業)を利用するための難病申請をサポートすることが可能です。

この制度を利用することで、患者様は経済的な負担を大幅に軽減できます。


メリット項目

詳細

窓口負担額の軽減

通常の医療費窓口負担が3割であるのに対し、指定医療機関での難病治療に対する窓口負担が2割に軽減されます。

月額自己負担上限額の設定

所得や治療の状況に応じて月ごとの自己負担上限額が設定されます。この上限額に達した場合、その月はそれ以上の医療費の支払いは不要となります。これにより、高額な治療が継続しても、患者様の家計への影響を抑えることができます。

受給者証到着前の医療費申請

難病申請をしてから医療費受給者証と自己負担上限額管理票が届くまでの期間にかかった医療費についても、後日申請して助成を受けることが可能です。


この医療費助成制度は、長期にわたる治療が必要な炎症性腸疾患の患者様にとって、非常に大きな安心材料となります。当院では、患者様がこの制度を円滑に利用できるよう、申請手続きに関する相談やサポートも行い、医療面だけでなく経済的な側面からも患者様の生活を支えることに努めています。


地域連携と総合的な患者ケア

くりた内科・内視鏡クリニックは、地域の皆様に気軽に相談できる「かかりつけ医」を目指しています。院長は大学病院や都市部の大病院で長年の臨床経験を積んでおり、その経験を地域の医療に還元しています。

当院で治療が困難な大きなポリープやがんなど、より高度な専門治療が必要な病気が見つかった場合には、京都大学医学部附属病院、国立病院機構京都医療センター、大阪大学医学部附属病院、北野病院など、多数の大学病院や大病院と密接に連携しており、速やかに適切な医療機関へ紹介させていただきます 21。これにより、患者様は、身近なクリニックで質の高い専門的な初期診療を受けつつ、必要に応じて高度な医療機関へとスムーズに移行できる、切れ目のない医療を受けることができます。この連携体制は、患者様が安心して治療に専念できる環境を提供します。

また、当院では最新の超音波検査機(エコー検査機)や、被ばく線量を最小限に抑えつつ鮮明な画像が得られる最新のFPD(フラットパネルディテクタ)システムを導入したレントゲン装置も備えており、幅広い検査に対応し、患者様に優しい医療を提供しています。これにより、患者様は必要な検査を当院で完結できる場合も多く、通院の負担軽減にも繋がります。



V. 炎症性腸疾患でお悩みの方へ:当院へのご相談を

早期診断・早期治療の重要性

炎症性腸疾患は、一度発症すると長期にわたる付き合いが必要な慢性疾患です。病状が進行すると、腸管の狭窄や瘻孔、穿孔、大量出血といった重篤な合併症のリスクが高まるだけでなく、長期の炎症は将来的に大腸がんなどの発生リスクを増加させる可能性があります。

そのため、症状が出始めた段階で早期に正確な診断を受け、適切な治療を開始することが極めて重要です 2。早期に治療を始めることで、症状を良好にコントロールし、寛解状態を長く維持することが可能となり、合併症の予防や生活の質(QOL)を高く保つことに繋がります。特に、がんのリスクを早期に発見するためには、症状が落ち着いている時期であっても定期的な内視鏡検査が不可欠です。


当院へのアクセスと予約方法

くりた内科・内視鏡クリニックは、阪急大宮駅から徒歩2分という、非常にアクセスしやすい場所に位置しています 。

ご予約は24時間Webで受け付けており、Webで空きがない場合でも、クリニックまでお電話(075-334-6007)にてお問い合わせいただけます。

休診日は木曜・土曜午後・日曜・祝日ですが、土曜日の内視鏡検査は15時まで行っておりますので、平日の受診が難しい方もご利用いただけます。また、駐輪場があり、近隣に提携駐車場もございますので、様々な交通手段でご来院いただけます。


患者様へのメッセージ

「下痢や腹痛が続く」「血便がある」「原因不明の体調不良がある」といった症状は、もしかしたら炎症性腸疾患のサインかもしれません。これらの症状は、日常生活におけるストレスや食生活の乱れなど、他の一般的な原因と混同されがちです。しかし、放置することで病状が進行し、より複雑な合併症を引き起こす可能性があります。患者様の中には、これらの症状を他人に話すことに抵抗を感じたり、内視鏡検査への不安から受診をためらったりする方もいらっしゃいます。

くりた内科・内視鏡クリニックでは、そのような患者様の不安に寄り添い、安心して受診していただける環境を整えています。消化器内視鏡専門医・指導医である院長が、最新の設備と長年の経験に基づき、丁寧な診察と最適な治療を提供いたします。特に、患者様の負担を最小限に抑える「苦痛の少ない内視鏡検査」に注力しており、鎮静剤の使用や炭酸ガス送気、女性に配慮した検査環境など、様々な工夫を凝らしています。これにより、検査への心理的なハードルを下げ、必要な検査を気軽に受けていただけるよう努めています。

また、炎症性腸疾患が「難病」に指定されていることによる経済的な不安に対しても、難病指定医として医療費助成制度の申請サポートを行い、患者様の負担を軽減できるよう努めています。当院は、患者様が病気と向き合い、質の高い生活を維持できるよう、医療面だけでなく、精神的、経済的な側面からも総合的にサポートすることをお約束いたします。

症状に心当たりのある方は、一人で悩まず、どうぞお気軽に当院にご相談ください。早期の受診が、より良い未来につながる第一歩です。

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