大腸カメラの費用ガイド|ポリープ切除をした場合の自己負担額
- 7月9日
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更新日:7月14日

大腸カメラ検査を勧められた、あるいは便潜血検査で陽性が出た。検査自体への不安と並んで気になるのが、費用ではないでしょうか。特に「検査中にポリープが見つかったら、その場で切除されるのか」「切除すると費用はどれくらい上がるのか」は、外来でとてもよく聞かれる質問です。今回は消化器内視鏡専門医の立場から、大腸カメラの費用について、保険診療と自費診療(人間ドック)の違い、そしてポリープ切除をした場合に実際いくらかかるのかを、具体的な金額とともに解説します。
大腸カメラの費用は「保険」か「自費」かでまず分かれる
胃カメラと同様、大腸カメラも「症状があって医師が検査の必要性を認めた場合」は保険診療、「症状がなく、予防や安心のために任意で受ける場合」は自費診療(人間ドックや任意型検診)に分類されます。便通異常や血便といった症状がある方、健診の便潜血検査で陽性だった方は、保険診療での検査が可能です。一方、これといった症状がなく、単に心配だから受けておきたいという場合は、原則として全額自己負担になります。
保険適用の場合の費用はいくらか【一覧表】
保険診療で大腸カメラを受ける場合、観察のみで終わるケースと、ポリープが見つかってその場で切除するケースとでは、負担額が大きく変わります。当院での概算費用は以下の通りです。
負担割合 | 検査観察のみ(鎮静剤使用を含む) | ポリープ切除(日帰り)を加えた場合 |
3割負担 | 7,000円〜8,000円 | 18,000円〜34,000円 |
2割負担 | 4,700円〜5,300円 | 12,000円〜22,700円 |
1割負担 | 2,300円〜2,700円 | 6,000円〜11,300円 |
上記の金額には、大腸カメラ検査そのものと鎮静剤の使用、ポリープ切除の手術費用が含まれます。これとは別に、初診料、検査前の診察料、検査前に服用する下剤の費用などが追加でかかります。また、検査中に組織の一部を採取する生検を行った場合は、観察のみの場合に比べてさらに4,000円〜11,000円程度(3割負担時)が上乗せされます。
この表を見ると、ポリープ切除まで行っても、費用は自費診療の人間ドックで受ける検査費用と同程度か、それ以下に収まることがわかります。切除が必要になったからといって、極端に高額になるわけではありません。費用への不安から検査をためらう必要はないと考えています。
なぜポリープを切除すると費用が上がるのか
大腸カメラでポリープが見つかり、その場で切除する場合、診療報酬上はこれが「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術」という一つの手術として扱われます。つまり、単なる検査ではなく、治療行為が追加されたことになるため、検査費用に手術費用が上乗せされる形で自己負担額が増える仕組みです。ポリープの大きさや数、切除方法(スネアを使うか、鉗子で摘むかなど)によっても点数が変わるため、同じ「ポリープ切除あり」でも金額には幅があります。
良性のポリープ(腺腫)の多くは、時間をかけて大腸がんに進行することが知られています。検査中に見つかったポリープをその場で切除できることは、大腸カメラ検査の大きな利点であり、将来の大腸がんを防ぐための最も直接的な手段です。実際、大規模な追跡調査でも、内視鏡でポリープを切除した集団では、その後の大腸がんによる死亡が長期にわたって抑えられたことが報告されています[1]。
人間ドックで受けた大腸カメラでポリープが見つかったら
症状がなく、人間ドックとして自費で大腸カメラを受けた場合でも、検査中にポリープが発見され、その場で切除することになったケースでは、その部分だけ保険診療に切り替わります。当院の場合、大腸カメラ検診(27,500円・税込)を単独で受けていて切除となった場合、大腸カメラの部分は保険診療に切り替わります。胃と大腸をまとめて受ける胃・大腸カメラ検診(42,900円・税込)のコースでポリープ切除となった場合は、胃カメラ検査のみの料金(17,600円・税込)となり、大腸カメラの部分は保険診療に切り替わる仕組みです。
これは、一回の受診の中で自費診療と保険診療を都合よく混在させる「混合診療」とは異なり、検査の目的が「予防的スクリーニング」から「治療(ポリープ切除)」に変わった時点で、その部分の会計区分が切り替わるという考え方に基づいています。人間ドックを予約する際、「もしポリープが見つかったらどうなるのか」を事前に確認しておくと、当日の会計で戸惑うことがありません。
なお、大腸カメラを含むコースでは、検査の2日前までに前処置薬と検査食をお渡しする必要があり、この分の実費として別途3,520円(税込)がかかります。
保険適用となる代表的な7つの条件
医師が「診断のために必要」と判断すれば保険診療の対象になります。代表的なトリガーは次の通りです。
便潜血検査が陽性だった
血便・下血が続いている
慢性的な便通異常(下痢・便秘・便が細くなったなど)がある
原因不明の腹痛や腹部の不快感が続いている
鉄欠乏性貧血や原因不明の体重減少がある
過去に大腸ポリープを切除しており、経過観察(サーベイランス)の対象になっている
血縁者に大腸がんやポリープの方がいる、あるいは炎症性腸疾患の既往がある
これらの条件に一つでも当てはまれば、「念のため」ではなく「診断のために必要」という位置づけで保険診療を受けられます。この7条件についての詳しい解説と、受診時にどう伝えると保険適用がスムーズになるかについては、以下の過去記事で詳しくまとめています。
便潜血陽性を放置するとどうなるか
便潜血検査は、症状のない方から大腸がんの可能性がある方を拾い上げるためのスクリーニング検査として、日本国内で広く行われています。この検査は死亡率減少効果を示す十分な科学的根拠があるとされ、実際に大規模な研究でも便潜血検査による選別を経て大腸カメラを受けた集団で大腸がんによる死亡リスクが下がったことが報告されています[2]。ただし、便潜血検査はあくまで「ふるい分け」であり、陽性だった場合にその原因を確定させるのは大腸カメラの役割です。陽性のまま検査を先延ばしにする期間が長くなるほど、病変が進行するリスクも高まります。
大腸カメラそのものの効果は科学的にどう裏付けられているか
「本当に大腸カメラを受ける意味があるのか」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。北欧諸国で行われた大規模な無作為化比較試験では、大腸カメラ受診の案内を受けたグループで大腸がんの罹患リスクが低下したことが示されています[3]。また、検査を担当する医師がポリープを発見する精度(アデノーマ発見率)が高いほど、その後の大腸がんの発症や死亡のリスクが低くなることも報告されており[4]、検査の「質」そのものが患者様の将来の健康を左右することがわかります。当院では専門医・指導医が全ての検査を担当し、この発見精度を高める体制を整えています。
鎮静剤や炭酸ガス送気は費用にどう影響するか
大腸カメラに苦手意識がある方にとって、鎮静剤の有無は気になるポイントです。上記の保険適用費用の概算には、鎮静剤の使用も含まれています。鎮静剤を使用することで、ウトウトと眠ったような状態のまま検査を終えることができ、大規模なデータでも専門スタッフが管理した鎮静下の内視鏡は比較的安全に行われていることが示されています[5]。
当院では、腸を広げる際に空気の代わりに炭酸ガスを使用しており、検査後のお腹の張りを軽減する工夫もしています。これらの配慮によって費用が大きく変わることはなく、苦痛の少ない検査を選んでいただけます。
費用を抑えるために知っておきたい制度
ポリープ切除などで自己負担額がまとまった金額になった場合は、高額療養費制度の対象になることがあります。ひと月の医療費が自己負担限度額を超えた分は、後から払い戻しを受けられる制度です。限度額は年齢や所得によって異なるため、加入している健康保険組合や市区町村の窓口で確認しておくとよいでしょう。
また、大腸ポリープの切除は日帰り手術として扱われるため、民間の医療保険やがん保険に加入している場合、給付金の対象になることがあります。内視鏡的なポリープ切除術は手術給付金の対象となる保険が多いですが、保険会社や契約内容によって条件が異なりますので、切除を受けた後は、ご加入の保険会社に一度問い合わせておくことをお勧めします。
よくある費用の疑問
大腸カメラ「検査前・当日・検査後」の食事完全ガイド
検査前日の食事や当日の水分摂取、切除後の生活制限など、費用以外の準備についても不安の声が多く寄せられます。具体的な食材の可否については、以下の過去記事で詳しく解説しています。
大腸カメラの事前準備について
前処置薬(下剤)の受け取り方法や服用スケジュールについては、以下の過去記事もあわせてご確認ください。
何歳から受けるべきか
症状がない場合にいつから検査を検討すべきかについては、以下の過去記事で年齢別の目安をまとめています。
検査自体が不安な方へ
痛みや恥ずかしさへの不安から検査をためらっている方に向けて、当院の配慮や他の検査方法との比較を以下の過去記事でまとめています。
くりた内科・内視鏡クリニックの大腸カメラ検査について
当院では、消化器内視鏡専門医・指導医である院長がすべての大腸カメラ検査を担当しています。大学病院でも導入されているオリンパス社製の最新内視鏡システム「EVIS X1」を使用し、微細なポリープも見逃さない精度の高い観察を行っています。検査中にポリープが見つかった場合は、その場で切除まで完結できる体制を整えており、後日あらためて切除のためだけに来院する手間を省くことができます。
女性の患者様には、女性スタッフによる検査対応や、プライバシーに配慮した前処置室・回復スペースをご用意しています。お仕事の都合がつきにくい方のために土曜日の検査枠も設けており、胃と大腸の内視鏡検査を同日にまとめて受けていただくことも可能です。
費用について不明な点がある場合は、保険診療・人間ドックいずれについても、事前にお電話やWeb予約の際にご相談いただけます。ご自身の症状やリスク要因を踏まえて、保険診療で受けるべきか、人間ドックで受けるべきかを一緒に整理いたします。
まとめ
大腸カメラの費用は、保険診療か自費診療かで大きく変わり、保険診療の中でもポリープ切除の有無によって金額が変動します。当院の概算では、切除まで行っても3割負担で18,000円〜34,000円程度であり、自費診療の人間ドックと同程度かそれ以下に収まります。
便潜血陽性や血便、便通異常といった症状がある方は、まず保険診療での受診を検討してください。症状がなくても、年齢やポリープの既往、家族歴などのリスク要因がある方は、人間ドックとしての大腸カメラも選択肢になります。
費用の不安から検査を先延ばしにするのではなく、まずはご自身の状況を整理することが、将来の負担を小さくする一番の近道です。胃の不調や健診結果が気になる方は、どうぞお気軽に当院にご相談ください。
引用文献
1. Zauber AG, Winawer SJ, O'Brien MJ, Lansdorp-Vogelaar I, van Ballegooijen M, Hankey BF, Shi W, Bond JH, Schapiro M, Panish JF, Stewart ET, Waye JD. Colonoscopic polypectomy and long-term prevention of colorectal-cancer deaths. N Engl J Med. 2012;366(8):687-696.
2. Doubeni CA, Corley DA, Jensen CD, Levin TR, Ghai NR, Cannavale K, Zhao WK, Selby K, Buckner-Petty S, Zauber AG, Fletcher RH, Weiss NS, Schottinger JE. Fecal immunochemical test screening and risk of colorectal cancer death. JAMA Netw Open. 2024;7(7):e2423671.
3. Bretthauer M, Løberg M, Wieszczy P, Kalager M, Emilsson L, Garborg K, Rupinski M, Dekker E, Spaander M, Bugajski M, Holme Ø, Zauber AG, Pilonis ND, Mroz A, Kuipers EJ, Shi J, Hernán MA, Adami HO, Regula J, Hoff G, Kaminski MF. Effect of colonoscopy screening on risks of colorectal cancer and related death. N Engl J Med. 2022;387(17):1547-1556.
4. Corley DA, Jensen CD, Marks AR, Zhao WK, Lee JK, Doubeni CA, Zauber AG, de Boer J, Fireman BH, Schottinger JE, Quinn VP, Ghai NR, Levin TR, Quesenberry CP. Adenoma detection rate and risk of colorectal cancer and death. N Engl J Med. 2014;370(14):1298-1306.
5. Vargo JJ, Niklewski PJ, Williams JL, Martin JF, Faigel DO. Patient safety during sedation by anesthesia professionals during routine upper endoscopy and colonoscopy: an analysis of 1.38 million procedures. Gastrointest Endosc. 2017;85(1):101-108.
6. くりた内科・内視鏡クリニック.大腸カメラ検査を受ける時どういう人が保険適用となるの?.2025.https://www.kurita-naika.jp/information/20251201
7. くりた内科・内視鏡クリニック.下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ検査)は「何歳から・何歳まで」受けるべき? 大腸がん検診の最適なタイミングと受診の目安.2025.https://www.kurita-naika.jp/information/20250903
8. くりた内科・内視鏡クリニック.大腸カメラ、勧められたけど「受けたくない」あなたへ:不安を解消し、健康を守るための選択肢.2025.https://www.kurita-naika.jp/information/20250719
9. くりた内科・内視鏡クリニック.大腸カメラ「検査前・当日・検査後」の食事完全ガイド:食べていいものダメなもの一覧と注意点を専門医が解説.2026.https://www.kurita-naika.jp/information/20260410
10. くりた内科・内視鏡クリニック.大腸カメラ検査の事前準備について:食事から腸管洗浄剤まで.2025.https://www.kurita-naika.jp/information/20251031






