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くりた内科・内視鏡クリニック

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前回、胃カメラの鎮静剤で気分が悪くなった方へ|次回に向けて相談できる選択肢

5 日前
読了時間: 9分

胃カメラの検査で鎮静剤を使ったあとに気分が悪くなり、吐き気が続いてつらかった。そういう経験を持つ方がいらっしゃいます。前回そうしたことがあると、次の胃カメラの予約を先延ばしにしたくなるのも自然なことです。鎮静剤が合わなかったのだから、次は鎮静剤なしで耐えるしかないのでしょうか。


選択肢は一つではありません。鎮静剤の量や種類を見直すこともできますし、鎮静剤を使わない方法もあります。次の胃カメラを考えるとき、前回の経験をどう活かせるか、一緒に整理してみませんか。



前回、鎮静剤で気分が悪くなったのはなぜ?

24,441名を対象にした研究では[1]、鎮静剤の組み合わせによって、検査の24時間後に尋ねためまいや吐き気の程度に差がありました。


胃カメラで使う鎮静剤は、点滴や注射で投与し、意識レベルを落として不安や苦痛を和らげる薬です。日本消化器内視鏡学会の一般向けQ&Aでは、鎮静薬の「よい点」として検査の苦痛軽減・不安軽減・安静の維持・次回検査への抵抗感の低下を挙げる一方、「悪い点」として意識の低下が予想を超えること、呼吸が弱くなること、血圧が低下すること、検査当日の車・バイク・自転車の運転ができなくなること、逆行性健忘(検査前後の記憶が低下あるいは消失すること)、アレルギーを挙げています。


「オエッとなる」感覚と、鎮静剤が覚めたあとの気分の悪さは、起こる仕組みが違います。前者はのどの奥にスコープが触れることで起こる反射で、検査中に感じるものです。後者には薬そのものへの反応が関わることがあり、検査が終わったあとに出てきます。ドイツの53の診療所で内視鏡の鎮静にプロポフォールを使った24,441名を調べた研究では、検査の24時間後に尋ねたところ、プロポフォールにミダゾラムを組み合わせた方は、プロポフォールだけの方に比べて、めまい・吐き気・嘔吐の症状が有意に少なかったと報告されています[1]。無作為に分けて比べた研究ではありませんが、検査後の気分の悪さが、使った薬によって変わりうることを示しています。


ただし、この研究はプロポフォールを使った鎮静を対象にしたもので、どの薬剤でも同じ結果になるとは限りません。当院では、年齢や体重、基礎疾患に応じて鎮静剤の投与量を変えています。前回気分が悪くなった方には、使う薬剤の種類を変えることもご相談いただけます。薬の効き方には個人差があり、前回つらかったのは、我慢が足りなかったせいではありません。


なお、鎮静には段階があります。日本消化器内視鏡学会の一般向けQ&Aでは、鎮静のレベルを「不安除去」「意識下鎮静」「深い鎮静・鎮痛」「全身麻酔」の4段階に分けて説明しています。胃カメラの鎮静は、完全に意識を失う全身麻酔とは別のものです。当院では、鎮静剤を使った検査のあとはリカバリー室で30分ほど休んでいただき、様子を確認しています。



「鎮静剤が合わなかった」=次回も鎮静剤なしで耐えるしかない、ではない

鎮静剤の量や種類は見直せますし、鎮静剤を使わない方法も選べます。


「前回だめだったから、次はもう我慢するしかない」と考えて検査そのものを先延ばしにしてしまう方がいますが、そこで立ち止まる必要はありません。鎮静剤を使う場合と使わない場合の違いそのものは、以前の記事「胃カメラ・大腸カメラ検査で鎮静剤を使うべき?メリット・デメリットを専門医が解説」で取り上げました(記事の最後にリンクがあります)。今回は、その中でも「前回、鎮静剤が原因でつらかった方」に絞って、次に取れる道を見ていきます。


当院では、前回鎮静剤で気分が悪くなった方について、次の方向からご相談をお受けしています。


  • 鎮静剤の量を調整する。年齢や体重、基礎疾患に応じて投与量を変えており、いつも効きやすい方には、あらかじめ少なめにすることもあります

  • 使う鎮静剤の種類を変える

  • 鎮静剤を使わずに受ける。口から入れる経口内視鏡をのどの麻酔だけで受ける方法と、鼻から入れる経鼻内視鏡があります


どれが合うかは、前回どこがつらかったのかと、お薬や持病の状況を診察で伺ったうえで判断させていただきます。



経口内視鏡と経鼻内視鏡、鎮静剤との組み合わせ方の違い

当院では、経口内視鏡は鎮静剤を使うかどうかを選べますが、経鼻内視鏡は原則として鎮静剤を使わない運用です。


胃カメラは、口から入れる経口内視鏡と、鼻から入れる経鼻内視鏡のどちらでも行えます。経口内視鏡では、鎮静剤を使って検査中のつらさや不安に配慮することがあります。一方、経鼻内視鏡は原則として鎮静剤を使いません。経鼻内視鏡を希望されていて鎮静剤も使いたいという場合は、診察でご相談ください。


麻酔のかけ方も経口と経鼻で異なります。経口内視鏡ではのどに表面麻酔を行い、経鼻内視鏡ではのどではなく鼻にスプレーで麻酔を行います。前回のつらさの原因が鎮静剤そのものにあったのか、検査中の刺激にあったのかによって、次回合う方法は変わってきます。



鎮静剤を使わない検査のつらさ|研究データで見る

鎮静剤なしの検査を最後まで終えられた方は、経口内視鏡で97%、経鼻内視鏡で86%という研究があります。


米国の医療機関で行われた無作為化比較試験では、鎮静剤を使わない経口内視鏡と経鼻内視鏡が比較されています。検査を最後まで終えられた方は、経口内視鏡で97%(35人中34人)、経鼻内視鏡で86%(29人中25人)でした。挿入時の不快感は経鼻内視鏡群で有意に強く(4.4±0.6 対 2.7±0.5、統計的に有意な差)、一方で不安の強さや嘔吐反射、検査全体を通じた負担の感じ方については、両群で大きな差はなかったと報告されています。「今後も鎮静剤なしで検査を受けてよい」と答えた方は経口内視鏡で89%、経鼻内視鏡で69%でしたが、この差は統計的な有意差には至っていません[2]。


国内(島根県)で行われた別の無作為化比較試験では、鎮静剤を使わない状態で経鼻内視鏡・小径スコープの経口内視鏡・通常径スコープの経口内視鏡を比較したところ、経鼻内視鏡の群でのどの反射(嘔吐反射)の回数が有意に少なかったと報告されています。一方でこの試験では、経鼻内視鏡を行えなかった方が150人中12人(8.0%)いました。また、経鼻内視鏡で検査を終えられた138人のうち8人(5.8%)に、少量の鼻血が見られています[3]。


二つの試験は、調べた項目が違います。米国の試験では経鼻内視鏡で挿入時の不快感が強く、国内の試験では経鼻内視鏡でのどの反射の回数が少なかったという結果です。反射の強さや鼻の通りには個人差があるため、「鎮静剤なしなら誰でも楽に受けられる」「経鼻のほうが楽」と一方向に言い切れるものではありません。



気分が悪くなった経験は、いつ・どう伝えればいい?

前回どこがつらかったかを、検査前の診察でお伝えいただくことが助けになります。


「鎮静剤を使ったら気分が悪くなった」「検査中にオエッとなるのがつらかった」「検査後にだるさが強く残った」など、つらさの内容によって相談する方向が変わってきます。


前回つらかった内容は、検査前の診察でお聞かせください。ご予約の段階や問診票で書ける場合は、そこでお伝えいただいても構いません。



当院での相談について

経口内視鏡は鎮静剤の使用をご希望で選べ、使用時はリカバリー室で30分ほど休んでいただきます。


当院では、経口内視鏡を選ぶ場合、鎮静剤を使うかどうかは患者さまのご希望を伺いながら決めています。お薬や持病の状況によっては、診察でご相談のうえ判断させていただく場合がありますが、「一度合わなかったから、もう鎮静剤の相談はできない」ということはありません。前回の経験を伝えていただいたうえで、検査方法を一緒に考えていきます。


鎮静剤を使用した日は、車・バイク・自転車の運転はできません。検査後のリカバリー室での休憩は、鎮静剤を使用した場合に30分ほど設けているものです。


鎮静剤を使わずに検査を受けた場合は、検査のあとに運転していただけます。のどの麻酔が切れるまでの30分ほどは、飲んだり食べたりするのを控えてください。



よくある質問

Q. 経鼻内視鏡であれば、鎮静剤なしでも楽に受けられますか?

A.研究によって見ている点が違い、言い切ることはできません。米国の研究では経鼻内視鏡のほうが挿入時の不快感が強く、国内の研究では経鼻内視鏡でのどの反射が少なかったと報告されています[2, 3]。


Q. 前回気分が悪くなったことを、特に伝えなくても大丈夫でしょうか?

A.伝えていただいたほうが、鎮静剤の量や種類、使うかどうかを相談しやすくなります。検査前の診察で、つらかった内容を具体的に教えてください。


Q. 鎮静剤を使用した日は、車を運転して帰れますか?

A.鎮静剤を使用した日は、自転車・バイク・車のいずれも運転できません。


Q. 鎮静剤の量を減らしてもらうことはできますか?

A.はい。当院では、年齢や体重、基礎疾患に応じて鎮静剤の投与量を変えています。また、いつも鎮静剤が効きやすい方については、あらかじめ投与量を少なくすることもあります。前回の検査で気分が悪くなった方は、その経験を診察でお伝えください。


Q. 鎮静剤を使わずに検査を受けた日は、運転して帰れますか?

A.はい、運転していただけます。のどの麻酔が切れるまでの30分ほどは、飲食をお控えください。


Q. 経鼻内視鏡でも鎮静剤は使えますか?

A.当院では、経鼻内視鏡は原則として鎮静剤を使わない運用です。鎮静剤をご希望の場合は、診察でご相談ください。



詳しく知りたい方へ

▶WEB予約 



まとめ

前回、胃カメラの鎮静剤で気分が悪くなった経験があっても、次回も同じ方法を選ばなければならないわけではありません。鎮静剤の量や種類を調整する余地もあれば、経鼻内視鏡や、経口内視鏡を鎮静剤なしで受ける方法もあります。どれが合うかは、のどの反射の強さや鼻の状態、前回どこがつらかったのかによって変わり、研究のデータも一様ではありません。まずは前回の経験を診察で伝えていただき、そのうえで一緒に方法を考えていきませんか。


引用文献

[1] Sieg A, Beck S, Scholl SG, Heil FJ, Gotthardt DN, Stremmel W, Rex DK, Friedrich K; bng-Study-Group. Safety analysis of endoscopist-directed propofol sedation: a prospective, national multicenter study of 24,441 patients in German outpatient practices. J Gastroenterol Hepatol. 2014;29(3):517-523.

[2] Zaman A, Hahn M, Hapke R, Knigge K, Fennerty MB, Katon RM. A randomized trial of peroral versus transnasal unsedated endoscopy using an ultrathin videoendoscope. Gastrointest Endosc. 1999;49(3 Pt 1):279-284.

[3] Yagi J, Adachi K, Arima N, Tanaka S, Ose T, Azumi T, Sasaki H, Sato M, Kinoshita Y. A prospective randomized comparative study on the safety and tolerability of transnasal esophagogastroduodenoscopy. Endoscopy. 2005;37(12):1226-1231.


 
 

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