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大腸ポリープの病理結果の読み方|腺腫・過形成性ポリープ・SSLの違いと、次の大腸カメラの目安を消化器内科医が解説

45 分前
読了時間: 13分

大腸カメラでポリープを取ってもらい、後日の結果説明で「管状腺腫でした」「過形成性ポリープでした」と言われた。結果票には「低異型度」「SSL」「断端陰性」といった言葉も並んでいて、家で読み返しても意味がよく分からない。この記事は、そういう方に向けて書いています。


ポリープの病理結果は「がんかどうか」だけを伝える紙ではありません。ポリープの種類、細胞の変化の強さ、大きさ、取りきれたかどうかがまとめて書かれていて、それによって次の大腸カメラをいつ受けるかが変わります。結果票の言葉が分かると、「もう心配ない」と「次の検査を忘れてはいけない」の線引きが自分でもつけやすくなります。


以下では、結果票によく出てくる言葉の意味、ポリープの種類ごとの将来の大腸がんのなりやすさ、次の大腸カメラの考え方を、論文の数字を交えて順に取り上げます。



病理検査で調べていること

切除したポリープは、病理医が薄く切ったうえで顕微鏡で調べています。ここで分かるのは、内視鏡で見た形だけでは決められない、細胞の中身です。結果票に書かれている内容は、おおむね次の4つに分けられます。


  • ポリープの種類(腺腫か、過形成性ポリープか、SSLか、など)

  • 細胞の変化の強さ(異型度。「低異型度」「高異型度」など)

  • がんが含まれているかどうか、含まれていればどの深さまでか

  • 切り取った端にポリープの細胞が残っていないか(断端)


大きさと個数は、内視鏡医が検査の記録に書くこともあれば、病理の結果票に書かれることもあります。どちらも次の検査の時期を決める材料になるので、結果説明のときに「何ミリのものが何個あったか」もあわせて確認しておくと、あとで見返すときに迷いません。


結果票によく出てくる言葉

施設や病理医によって書き方は少しずつ違いますが、よく見かける言葉を表にまとめました。


結果票の言葉

意味と、次の考え方

管状腺腫

腺腫のなかで最も多い型。大腸がんのもとになりうるため、切除して経過をみる

管状絨毛腺腫・絨毛腺腫

腺腫のなかで、指のような突起の成分を含む型。進行腺腫に数えられる

低異型度・高異型度

細胞の変化の強さ。高異型度は、がんに近い変化があることを示す

過形成性ポリープ

腺腫とは成り立ちが違うポリープ。小さいものが多く、がんとの関係は弱い

SSL

鋸歯状病変(断面がギザギザに見えるポリープの総称)の一つ。以前は「SSA/P」と呼ばれた。腺腫とは別の道筋でがんのもとになりうる

断端陰性・断端陽性

切り取った端に細胞が残っていないか(陰性)、残っている疑いがあるか(陽性)



「腺腫」と言われたら

腺腫は、取ることに意味があるポリープ

腺腫は、大腸がんの多くがここから育つと考えられているポリープです。腺腫を取ることで大腸がんを防げることを支持する結果が、長期の追跡研究から出ています。


米国で腺腫を切除した2,602人を最長23年追った研究では、一般の人口から予想される大腸がんによる死亡と比べて、死亡が53%少ない結果でした[1]。日本の11施設が参加した Japan Polyp Study でも、ポリープを取りきったあとに定期的に大腸カメラを受けた1,895人では、大腸がんの発生が予想される数の0.14倍(86%少ない)にとどまっていました[2]。


「腺腫でした」と言われると、がんの手前と聞いて不安になる方が多いのですが、取りきれているなら、それは予防のための処置がうまくいったという意味でもあります。


「進行腺腫」かどうかで、その後のリスクが分かれる

腺腫のなかでも、次のどれかに当てはまるものは「進行腺腫」と呼ばれます[3]。


  • 大きさが10mm以上

  • 高異型度の変化がある

  • 絨毛の成分を含む(管状絨毛腺腫・絨毛腺腫)


米国で約1万6,000人をおよそ13年(中央値12.9年)追った研究では、進行腺腫があった人の大腸がんの発生は、腺腫がなかった人の2.7倍に上りました。一方、10mm未満で進行の特徴がない腺腫(非進行腺腫)の人は1.2倍で、腺腫がなかった人との差は統計的に確かめられていません[3]。12万人あまりを追った別の米国の研究も同じ傾向で、進行腺腫では大腸がんが約4倍になる一方、非進行腺腫でははっきりした増加がみられませんでした[4]。


12の研究、合わせて51万人のデータをまとめた解析では、1万人を1年追ったときの大腸がんの発生は、腺腫がなかった人で3.4人、リスクの低い腺腫の人で4.5人、リスクの高い腺腫の人で13.8人という数字です[5]。リスクの低い腺腫の人は、腺腫がなかった人よりわずかに高いものの、差は小さく、大腸がんによる死亡には差が出ていません[5]。


小さな腺腫が、がんを含んでいることはまれ

10mm未満のポリープ約4万2,000個を調べた報告では、10mm未満の腺腫の約98%は管状腺腫でした。高異型度の変化があったのは、5mm以下の腺腫の0.3%、6〜9mmの腺腫の0.8%で、9mm以下のポリープにがんは1つも見つかっていません[6]。小さな管状腺腫を取ったあとで、がんになっていたのではと必要以上に心配しなくてよい、という裏づけになります。



「過形成性ポリープ」「SSL」と言われたら

過形成性ポリープは、がんとの関係が弱い

過形成性ポリープは、腺腫とは成り立ちが違うポリープです。10mm未満のポリープを調べた前述の報告では、鋸歯状のポリープ約1万4,000個のうち約95%が過形成性ポリープでした[6]。


デンマークで大腸カメラを受けた27万人あまりのデータを使った研究では、過形成性ポリープがあった人の大腸がんのなりやすさは1.30倍で、統計的にはっきりした差はありませんでした[7]。過形成性ポリープという結果だけで、過度に心配する必要はないと考えられます。


SSLは、腺腫と同じくらい注意が必要な病変

SSL(sessile serrated lesion)は、ギザギザした断面をもつ鋸歯状病変の一つです。2019年の世界保健機関(WHO)の分類で、それまでの「SSA/P」という名前から改められました[8]。腺腫とは別の遺伝子の変化をたどってがんになる道筋があり、なかには短い期間で細胞の変化が強くなるものもあります[8]。


先ほどのデンマークの研究では、SSLがあった人の大腸がんのなりやすさは3.07倍、細胞の変化(異型)を伴うSSLでは4.76倍でした。脾弯曲より奥(右側の大腸)にあるSSLでは、もっと高い値が出ています[7]。異型を伴うSSLの人が10年以内に大腸がんになる割合は4.4%と推定され、腺腫の人の2.3%を上回っていました[7]。WHOの分類でも、SSLに異型を伴うものは、異型の程度にかかわらず進んだポリープとして扱うのがよいとされています[8]。


大きさも目安になります。12万人あまりを追った前述の米国の研究[4]では、10mm以上の鋸歯状ポリープの人で大腸がんが3.35倍になる一方、10mm未満では差がみられませんでした。


過形成性ポリープとSSLは、見分けが難しいことがある

過形成性ポリープとSSLは、内視鏡医でも病理医でも判断が分かれることがあります[8]。そのため、右側の大腸にあった大きめのポリープなどは、結果票の名前だけで判断せず、場所と大きさをあわせて説明を受けてください。



「がんが含まれていた」と言われたら

腺腫の一部にがんが見つかることがあります。このとき結果票では、がんがどの深さまで届いているか、血管やリンパ管に入りこんでいないか、切り取った端(断端)にがんが残っていないかを確認します。日本では、大腸癌研究会の治療ガイドラインが標準的な治療の考え方を示しており、追加の治療が要るかどうかはこれに沿って判断します[9]。


断端の扱いは、残っている場所で変わります。


  • 横の端(水平断端)に残っている疑いがある場合:内視鏡での追加切除をご提案します

  • 深い側の端(垂直断端)に残っている疑いがある場合:外科手術による切除をご提案します


がんという言葉が出ると動揺されるのは当然です。ただ、粘膜の浅いところにとどまっていて、きれいに取りきれていれば、内視鏡の切除だけで治療が終わることもあります。どの状況に当てはまるのかを、結果説明の場で具体的に聞いてください。



次の大腸カメラは、結果によって時期が変わる

一律の間隔があるわけではない

ポリープを取ったあとの大腸カメラの間隔は、ポリープの種類・大きさ・個数・異型度・取りきれたかどうかで変わります。日本消化器内視鏡学会も大腸内視鏡の検診と経過観察のガイドラインを出していますが、この分野は質の高い研究が限られていて、専門家の合意をもとに決めている部分が少なくありません[10]。



日本の研究:取りきったあと、3年後の検査で十分だった人たち

日本の11施設で、くじ引きのように無作為に2つのグループへ分けて比べる試験(ランダム化比較試験)が行われています。40〜69歳の人に1年間隔で2回大腸カメラを行い、見つかった腫瘍性のポリープをすべて取りきったうえで、「1年後と3年後の2回」受ける群と「3年後の1回だけ」受ける群に分けました。結果は、進行した病変が見つかる割合は1.7%と2.1%で差がなく、3年後の1回でも同じように見つけられていました[11]。


この研究の追跡検査で見つかった進行病変の6割ほどは、盛り上がりの少ない平らな病変やくぼんだ病変でした[11]。長期の追跡でも同じ傾向がみられています[2]。こうした病変は見つけにくいため、間隔をあけすぎずに次の検査を受けることにも意味があります。



当院での目安

当院では、ポリープを切除した方には、2〜3年後をめどに次の大腸カメラをご案内しています。ただし、これは目安です。進行腺腫やSSLだった方、個数が多かった方、取りきれたかどうかに確認が必要な方などは、病理の結果を踏まえて時期を個別にご相談します。



予定を待たずに受診してほしい症状

次の検査の予定がまだ先でも、次のような症状が出たら早めにご相談ください。


  • 便に血が混じる、黒っぽい便が出る

  • 便秘や下痢など、便通の変化が続く

  • 健診で貧血を指摘された

  • 原因の分からない体重減少がある



よくある受診パターン

結果説明のあと、次に何をすればよいか迷いやすいのは、たとえば次のような場合です。複数の状況を混ぜた典型例で、特定の方の話ではありません。


  • 数年前にポリープを取ったものの、結果の紙をしまいこんで、次の検査の時期を覚えていない50〜60代の方

  • 「良性でした」とだけ聞いてほっとして、それきり大腸カメラを受けていない方

  • 結果票に「SSL」「高異型度」と書かれていたのを家族が見つけて、意味を確かめたくなった方


どの場合も、困っているのは結果そのものより「次に何をすればよいか」です。結果票が手元にあれば、それをもとに次の予定を立て直せます。



当院でのポリープ切除と結果説明

その場での切除

くりた内科・内視鏡クリニックでは、大腸カメラの検査中に見つかったポリープのうち、20mm以下でその場で切除できるものは切除しており、EMR(内視鏡的粘膜切除術。ポリープの下に液体を入れて持ち上げてから切り取る方法)にも対応しています。ただし、ポリープの形や場所、その時の状況によっては、ほかの医療機関へご紹介することもあります。


検査のつらさが心配な方は、鎮静剤を使う方法もあります。検査枠や体調、飲んでいるお薬などを確認したうえでの判断になるため、事前の診察でご相談ください。鎮静剤は、手術で使うような全身麻酔とは別のお薬です。鎮静剤を使った日は、検査後にリカバリー室で30分ほど休んでいただき、当日の車・バイク・自転車の運転はできません。


ポリープを切除した方は、1週間はお酒を控えていただきます。



結果説明は、来院していただいて行います

当院の大腸カメラは、標準で3回のご来院です。


  • 1回目:ご相談と事前の診察(同じ日に済み、20〜30分ほど)

  • 2回目:検査当日(1時間半ほど)

  • 3回目:結果のご説明(10分ほど)


病理の結果は検査当日には出ないため、後日あらためてご来院いただき、結果票を一緒に見ながらご説明します。電話やWebでの結果説明は行っていません。結果説明のときに、ポリープの種類・大きさ・取りきれたかどうかと、次の大腸カメラの時期をお伝えします。



他院の結果をお持ちの方

ほかの医療機関でポリープを取ったときの病理結果をお持ちいただければ、事前の診察でそれを踏まえて、次の検査の時期や内容をご相談できます。紙が見つからない場合は、分かる範囲で結構ですので、いつ頃どこで取ったかを教えてください。



よくあるご質問

Q.「腺腫」と言われました。がんだったということですか。

A.腺腫はがんではありません。がんのもとになりうるポリープで、取ることで将来の大腸がんを減らせることを支持する研究があります[1, 2]。結果票に「がん」「癌」「carcinoma」といった言葉がなければ、がんは含まれていなかったと考えてよいのが一般的です。気になる場合は、結果説明のときに「がんは含まれていましたか」と直接たずねていただくのが確実です。



Q. 過形成性ポリープだけでした。もう大腸カメラは受けなくていいですか。

A.小さな過形成性ポリープだけであれば、がんとの関係は弱いとされています[7]。ただ、大腸カメラは見つかったポリープだけでなく、大腸全体を見る検査です。過形成性ポリープとSSLは見分けが難しいことがあるため[8]、次の検査の時期は場所と大きさを踏まえて決めていきます。



Q. 結果票に「高異型度」と書かれていました。

A.細胞の変化が強く、がんに近い段階だったという意味です。進行腺腫に数えられるため[3]、取りきれていても、次の大腸カメラは間隔を詰めて考えることが多くなります。断端の結果とあわせて確認しておきましょう。



Q. 「断端陽性」と書かれていました。すぐに何かしたほうがいいですか。

A.切り取った端に、ポリープの細胞が残っている疑いがあるという意味です。特にがんを含んでいた場合は、残っている場所が横の端か深い側の端かで、内視鏡での追加切除か外科手術かの判断が変わります。放置せず、結果を説明した医師と次の方針を決めてください。



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まとめ

大腸ポリープの病理結果には、ポリープの種類、異型度、がんの有無、取りきれたかどうかが書かれています。数が少なく10mm未満の管状腺腫や、小さな過形成性ポリープであれば、その後の大腸がんのなりやすさはポリープがなかった人と大きくは変わりません。一方で、進行腺腫や大きなSSL、異型を伴うSSLは、間隔をあけすぎずに次の大腸カメラを受けたい結果です。


結果票をしまいこんだまま、次の検査がいつなのか分からなくなっていませんか。手元の紙をお持ちいただければ、そこから次の予定を一緒に立て直せます。当院は阪急大宮駅から徒歩2分の場所にあり、大腸カメラとポリープの切除から、結果のご説明、次の検査のご案内までを同じ院内で行っています。


引用文献

1. Zauber AG, Winawer SJ, O'Brien MJ, Lansdorp-Vogelaar I, van Ballegooijen M, Hankey BF, et al. Colonoscopic polypectomy and long-term prevention of colorectal-cancer deaths. N Engl J Med. 2012;366(8):687-696.

2. Sano Y, Hotta K, Matsuda T, Murakami Y, Fujii T, Kudo SE, et al. Endoscopic Removal of Premalignant Lesions Reduces Long-Term Colorectal Cancer Risk: Results From the Japan Polyp Study. Clin Gastroenterol Hepatol. 2024;22(3):542-551.e3.

3. Click B, Pinsky PF, Hickey T, Doroudi M, Schoen RE. Association of Colonoscopy Adenoma Findings With Long-term Colorectal Cancer Incidence. JAMA. 2018;319(19):2021-2031.

4. He X, Hang D, Wu K, Nayor J, Drew DA, Giovannucci EL, et al. Long-term Risk of Colorectal Cancer After Removal of Conventional Adenomas and Serrated Polyps. Gastroenterology. 2020;158(4):852-861.e4.

5. Duvvuri A, Chandrasekar VT, Srinivasan S, Narimiti A, Dasari C, Nutalapati V, et al. Risk of Colorectal Cancer and Cancer Related Mortality After Detection of Low-risk or High-risk Adenomas, Compared With No Adenoma, at Index Colonoscopy: A Systematic Review and Meta-analysis. Gastroenterology. 2021;160(6):1986-1996.e3.

6. Ponugoti PL, Cummings OW, Rex DK. Risk of cancer in small and diminutive colorectal polyps. Dig Liver Dis. 2017;49(1):34-37.

7. Erichsen R, Baron JA, Hamilton-Dutoit SJ, Snover DC, Torlakovic EE, Pedersen L, et al. Increased Risk of Colorectal Cancer Development Among Patients With Serrated Polyps. Gastroenterology. 2016;150(4):895-902.e5.

8. Murakami T, Kurosawa T, Fukushima H, Shibuya T, Yao T, Nagahara A. Sessile serrated lesions: Clinicopathological characteristics, endoscopic diagnosis, and management. Dig Endosc. 2022;34(6):1096-1109.

9. Kinugasa Y, Uehara K, Yamaguchi K, Saito Y, Murofushi K, Sugai T, et al. Japanese Society for Cancer of the Colon and Rectum (JSCCR) guidelines 2024 for the treatment of colorectal cancer. Int J Clin Oncol. 2025;30(12):2410-2463.

10. Saito Y, Oka S, Kawamura T, Shimoda R, Sekiguchi M, Tamai N, et al. Colonoscopy screening and surveillance guidelines. Dig Endosc. 2021;33(4):486-519.

11. Matsuda T, Fujii T, Sano Y, Kudo SE, Oda Y, Hotta K, et al. Randomised comparison of postpolypectomy surveillance intervals following a two-round baseline colonoscopy: the Japan Polyp Study Workgroup. Gut. 2021;70(8):1469-1478.


 
 

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