大腸ポリープは放置していい?切除が必要な基準と「がん化」のリスクを専門医が解説
- くりた内科・内視鏡クリニック

- 1月21日
- 読了時間: 4分

大腸ポリープはよくある症状ですが、放置してよい場合と、検査が必要な場合があります。
このページでは“受診の目安”を整理します。
大腸がんを未然に防ぐために
「健康診断の便潜血検査で陽性になった」「大腸カメラでポリープが見つかったが、小さいから放置でよいと言われた」
このような疑問や不安を抱く方は少なくありません。
大腸がんは日本において罹患数・死亡数ともに多いがんですが、その多くは大腸ポリープを経て発生する“予防可能ながん”です¹。
大腸ポリープの段階で適切に管理・切除することが、大腸がん予防の最も確実な方法であることが、長年の研究で示されています²⁻⁵。
このページでは、
大腸ポリープとは何か
どのポリープを切除すべきか
なぜ様子見でよいポリープが存在するのか
ポリープ切除が大腸がん予防にどれほど有効か
を、科学的根拠に基づいて整理します。
大腸ポリープとは何か ― がん化の2つのルート
大腸ポリープとは、大腸粘膜にできる隆起性病変の総称です¹。
組織学的には、将来がんになる可能性があるものと、ほぼがん化しないものに分かれます。
腺腫(アデノーマ)からの発がん
最も一般的なのが「腺腫」です。
正常粘膜 → 腺腫 → 大腸がん、という段階を数年〜10年以上かけて進行することが知られています(アデノーマ・カルシノーマ・シーケンス)³。
このため、腺腫の段階で切除することが最も有効な大腸がん予防となります²⁻⁵。
鋸歯状病変(SSL)からの発がん
近年注目されているのが、無茎性鋸歯状病変(SSL)です⁶⁻⁹。
右側結腸に多く、平坦で発見しにくいことが特徴で、
一部は比較的短期間でがん化する可能性があると報告されています⁸⁻¹¹。
切除すべきポリープの判断基準
大腸カメラで見つかったポリープをすべて切除するわけではありません。
国内外のガイドラインでは、主に「大きさ」「形態」「表面構造」をもとに判断します¹⁰⁻¹²。
サイズによる基準
ポリープの大きさとがん含有率には明確な関連があります³。
5mm未満:多くは良性だが、腫瘍性なら切除を検討¹³
5〜9mm:原則として切除推奨¹
10mm以上:がん含有率が急上昇するため確実に切除³
20mm以上:高度な内視鏡技術が必要³
形態・表面構造
小さくても、
陥凹を伴う
血管パターンに乱れがある
といった所見がある場合、早期がんの可能性があり、切除が必要です¹。
なぜ「様子見」でよいポリープがあるのか
医学的に経過観察が許容されるポリープも存在します。
直腸・S状結腸の5mm以下の過形成性ポリープ
→ がん化リスクは極めて低い¹
セミ・クリーン・コロン戦略
→ 5mm以下の腺腫を一律切除せず、再検査で管理する考え方¹⁴
これは、不要な切除による出血・穿孔リスクを減らすための、安全性を重視した戦略です。
ポリープ切除がもたらす圧倒的な予防効果
大腸ポリープ切除の効果は、長期研究で明確に示されています。
大腸がん発症率を約76〜90%低下⁴
大腸がん死亡率を約50%以上低下⁵
高精度検査で異常なしの場合、次回検査を10年以上延ばせる可能性¹⁵⁻¹⁶
つまり、ポリープ切除は治療ではなく「未来のがん予防」です。
大腸ポリープの評価や切除は、実際には「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」で行います。
検査の流れや、苦痛を減らす工夫、検査後の注意点については、以下のページで詳しく解説しています。
▶ 大腸カメラ検査について詳しくはこちら
当院における大腸ポリープ診療の考え方
当院では、ガイドラインと患者さん個別の背景を踏まえ、
年齢
家族歴
既往歴
内視鏡所見
を総合的に判断し、過不足のない管理方針をご提案します。
安全性への配慮
鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査
二酸化炭素送気による腹部膨満感の軽減
10mm未満ではコールド・ポリペクトミーを積極活用¹⁷⁻¹⁹
大腸ポリープを指摘された方へ
大腸ポリープは、ほとんど自覚症状がありません¹。
しかし放置すれば、将来がんに進行する可能性があります。
便潜血陽性と言われた
ポリープを指摘された
40歳以上で一度も大腸カメラを受けていない
このいずれかに当てはまる方は、一度大腸内視鏡検査を含めた評価をご相談ください。
症状が続く場合や、「様子見でよいか迷う」段階でも構いません。
消化器内科・内視鏡専門医が整理します。
参考文献
日本消化器内視鏡学会. 大腸ポリープ診療ガイドライン
Winawer SJ, et al. N Engl J Med. 1993;329:1977–1981.
Zauber AG, et al. N Engl J Med. 2012;366:687–696.
Løberg M, et al. N Engl J Med. 2014;371:699–707.
Rex DK, et al. Gastroenterology. 2012;143:844–854.
Gupta S, et al. Gastroenterology. 2020;158:1131–1153.
Crockett SD, et al. Gastroenterology. 2019;157:949–966.
Ferlitsch M, et al. Endoscopy. 2017;49:270–297.
Uraoka T, et al. Endoscopy. 2015;47:1016–1022.
Matsuura N, et al. Oncology. 2017;92(Suppl 1):27–33.
Lee JK, et al. JAMA Intern Med. 2019;179:153–160.
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