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【保存版】苦痛の少ない大腸内視鏡検査の技術とは?内視鏡指導医が教える「痛くない」検査の秘密

  • 執筆者の写真: くりた内科・内視鏡クリニック
    くりた内科・内視鏡クリニック
  • 12月10日
  • 読了時間: 9分
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こんにちは。京都市下京区に位置するくりた内科・内視鏡クリニック院長です。


「大腸カメラは痛い」「以前の検査で奥まで入らなかった」 そんなつらい経験や不安から、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の受診をためらっていませんか?


大腸がんは、早期発見・早期治療を行えば、ほぼ100%近く治る病気です。しかし、「検査の苦痛」が原因で受診が遅れ、発見が手遅れになってしまうケースを、消化器内視鏡専門医として数多く見てきました。この壁を乗り越えることが、私たち医療者の使命です。


当院では、内視鏡検査の最高峰の資格である「日本消化器内視鏡学会 認定内視鏡指導医」の技術と知識に基づき、「痛くない、苦痛の少ない検査」を追求しています。


本記事では、当院が実践している具体的な挿入技術や、最新のエビデンスに基づいた苦痛軽減の工夫について、詳しく解説します。「以前他院でつらい思いをした」という方も、ぜひ最後までお読みください。




検査の苦痛はなぜ生じるのか?痛みを防ぐ「指導医の視点」


なぜ大腸カメラは「痛い」と感じられることが多いのでしょうか?その原因を理解することが、「痛くない検査」への第一歩です。



痛みの正体は「腸の伸展」


大腸の粘膜そのものは痛みを感じませんが、大腸を支える「腸間膜(ちょうかんまく)」が無理に引っ張られると、強い痛みが生じます。これが伸展痛です。


内視鏡がS状結腸や横行結腸などの可動性の高い部分でトグロを巻く(ループ形成)と、腸間膜がピンと張ってしまい、腹痛や強い圧迫感、吐き気などの苦痛が発生します。


熟練の内視鏡医は、このループ形成を未然に防ぎ、あるいは形成されてもすぐに解消する技術を持っています。



京都市内の開業医で極めて稀な「内視鏡指導医」の存在


当院院長は、日本消化器内視鏡学会の「認定内視鏡指導医」の資格を保有しています。


この「内視鏡指導医」とは、単なる経験豊富であることを示すだけでなく、内視鏡専門医の上位資格であり、以下のような能力が求められます。


  • 豊富な学識と経験: 難易度の高い症例に対する確実な診断・治療能力。

  • 指導能力: 他の専門医を育成し、高度な内視鏡技術を指導する能力。


大学病院や基幹病院での実績が必要とされるこの資格は、京都市内の開業医で有している医師は極めて少ないのが現状です。


指導医の資格を持つ医師は、一般的な内視鏡医が難渋する症例(腸が極端に長い、高度な癒着があるなど)でも、豊富な知識と高度な技術を駆使して、安全かつ確実に盲腸(大腸の奥)まで挿入を完了させることが可能です。




苦痛をゼロに近づける「職人技」:軸保持短縮法


当院が苦痛の少ない検査を実現する最大の要因は、「軸保持短縮法(じくほじたんしゅくほう)」を基本とした挿入技術を徹底している点です[1]。


この技術は、「大腸をアコーディオンのように畳み込み、内視鏡を直線的な軸で進める」ことで、腸間膜への負担(伸展痛)を最小限にする日本の内視鏡技術の粋です。



「押すべからず」の技術哲学


初心者や未熟な術者は、内視鏡を力任せに前へ「Push(押す)」傾向があります。しかし、指導医はむしろ「Pushするな」を鉄則とし、内視鏡を「引き戻す(Pull back)」操作や「捻る(トルク操作)」を主体とします[2]。


腸のカーブ(S-topなど)を越える際、無理に押し込むのではなく、内視鏡を操作して腸の壁を「引き寄せ」て短縮し、腸の形状を直線化させます(Shortening and Straightening)[3]。


軸保持短縮法の徹底による効果


  1. ループ形成の予防

    腸がトグロを巻くことを防ぎ、伸展痛の原因を根本から断ちます。


  2. 操作性の向上

    内視鏡が直線化されると、手元の微妙な捻りや出し入れの動きが先端にダイレクトに伝わり、迷いのない操作が可能になります。


  3. 無駄な送気の削減

    スムーズな挿入は、無駄な空気の注入(過送気)を防ぎ、検査中の腹部膨満感を減らします。


当院では、過去に「奥まで入らなかった」と言われた患者様でも、この指導医の技術によって、確実に盲腸まで挿入を完了し、病変の見落としがない精度の高い検査を提供しています。




検査を「さらに楽に」する3つの最先端ツールと工夫


高度な挿入技術に加え、当院では最新のエビデンスに基づいた工夫を取り入れ、患者様の快適性を最大限に高めます。



二酸化炭素(CO2)送気システム


検査中、内視鏡をスムーズに進めるためには、ある程度のガス(空気)を注入して腸管を広げる必要があります。従来の空気(窒素が主成分)は、検査後に長時間腸内に残り、腹部の張りや痛みの原因となっていました。


当院では、検査の最初から最後まで二酸化炭素(CO2)を標準使用しています。


  • 吸収速度の速さ

    CO2は、体内で空気よりも約200倍速く腸管から吸収されます。


  • 検査後の快適性

    検査終了後、速やかにCO2が排出されるため、お腹の張りが劇的に軽減されます。


CO2送気システムは、検査後の腹痛を有意に減少させることが、複数の科学的検証によって証明されている「苦痛軽減の必須ツール」です[4]。



浸水法(Water Immersion / Exchange)の採用


特に腸の屈曲が強い箇所や、痛みに敏感な患者様に対しては、水を利用する浸入法を併用します。


  • 摩擦の軽減

    少量の水を注入することで、内視鏡の先端が腸管内を滑りやすく、摩擦抵抗を減らします。


  • 浮力と屈曲の緩和

     水の浮力により腸の屈曲部が緩やかになり、内視鏡が無理なく通過しやすくなります。


  • 洗浄効果

    腸内の残渣(便の残り)を洗い流し、観察精度を向上させます[5]。


浸水法は、特に過去の手術による癒着(ゆちゃく)が疑われる症例や、女性の過長結腸などで、伸展痛のリスクを抑えながら確実な挿入を可能にする、指導医が頼る重要な技術です[6]。



硬度可変機能付きスコープの活用


大腸内視鏡の機種は、硬さや太さが異なります。当院では、患者様の体型や腸の特性に合わせて最適な機種を選択します。


患者様の特性

主な選択スコープの特性

苦痛軽減の狙い

痩せ型、小柄、癒着の疑い

極細径、硬度可変機能、受動湾曲機能

腸への刺激を最小限に、たわみを抑制。

標準体型、腸が長い男性

標準径、有効長が長いスコープ

ループを作らず、短縮挿入を確実に行う。


  • 硬度可変機能

    スコープの手元のダイヤルを操作することで、先端部以外の硬さを変えられる機種があります。S状結腸を直線化(短縮)する際は硬く設定してループを防ぎ、深部を進む際は柔らかくして粘膜への刺激を減らすなど、医師の意図に合わせて瞬時に調整します[7]。


  • 極細径スコープ

    高齢の痩せ型女性や、高度な癒着が予想される場合は、細径・極細径のスコープを用いることで、腸管への負担を最小限に抑えます[7]。


また、先端に透明なフード(キャップ)を装着することで、視野を安定させ、無駄な送気を減らすことができます。これは観察精度を高めるだけでなく、挿入時の安定化にも寄与し、結果的に検査時間の短縮(=苦痛時間の短縮)につながります。





挿入困難因子への「オーダーメイド」な対応


「内視鏡指導医」の真価が問われるのは、一般の医師が難渋する「挿入困難症例」への対応です。


痩せ型・手術歴がある方への対策


痩せている方や、過去に腹部・骨盤手術(帝王切開、子宮摘出など)の経験がある方は、腸が骨盤内で強く固定されたり、癒着したりしている可能性が高く、内視鏡が伸展痛を起こしやすい傾向があります[6]。


  • 用手圧迫法(ようしゅあっぱくほう)

    経験豊富な看護師や助手が、患者様のお腹の外側から適切な位置を優しく押さえます。これにより、内視鏡が腸内でたわむのを効果的に防ぎ、伸展痛が発生するループの形成を阻止します[2]。


  • 体位変換

    患者様に体勢を変えていただくことで、重力を利用して内視鏡の進行を助け、挿入経路を切り替えます。


肥満の方、腸が長い方への対策


内臓脂肪が多い方は、腸が厚い脂肪に覆われて動きが制限されたり、逆に過剰に長くなっていたりすることがあります。


  • トルク操作の徹底

    軸保持短縮法に基づき、手元のトルク操作(ひねり)を最大限に活用し、腸の動きを最小限に抑えながら進めます。


  • 硬度可変機能の活用

    スコープを硬めに設定し、たわみを抑えることで、無駄な力をかけずに内視鏡を進めます。


私たちは、事前に詳細な問診を行い、これらのリスクを予測した上で、患者様一人ひとりの腸の癖や体型に合わせた「オーダーメイドの挿入戦略」を立てて検査に臨みます。




検査への不安を取り除く「鎮静剤」という選択肢


「技術がすごいのは分かったけれど、それでもやっぱり怖い」


そう思われる方のために、当院では鎮静剤(静脈麻酔)の使用も選択いただけます。


鎮静剤を使用することで、患者様はリラックスした状態で検査を受けられ、不安や緊張からくる「力み」が解消されます。このリラックス状態は、内視鏡医にとっても挿入をスムーズにし、検査時間の短縮や観察の確実性の向上につながるというメリットもあります[8]。



患者様からの喜びの声


「以前、別の病院で大腸カメラを受けたが、激痛で途中で断念してしまった」 「盲腸まで入れられず、不完全な検査で終わってしまった」


このような経験をお持ちの患者様が、当院で検査を受けられた後、「本当に楽だった」「気づいたら終わっていた」「これなら毎年受けられる」といった感謝の言葉を多数お寄せいただいています。

これは、鎮静剤の有無にかかわらず、指導医の確かな技術と、CO2や浸水法などの工夫の組み合わせが、患者様の苦痛を根本から取り除いている証だと確信しています。





まとめ:京都市下京区で苦痛の少ない検査を選ぶなら


大腸内視鏡検査は、がんを早期発見し、命を守るための最も重要な手段です。その検査を「つらいもの」で終わらせてはいけません。


京都市下京区のくりた内科・内視鏡クリニックでは、「日本消化器内視鏡学会 認定内視鏡指導医」の資格を持つ院長が、以下の要素を組み合わせ、苦痛の少ない、そして質の高い検査を追求しています。


  1. 最高峰の技術(軸保持短縮法)

  2. 最新のエビデンスに基づくツール(CO2、浸水法)

  3. 患者様に合わせたオーダーメイドの戦略(スコープ選択、用手圧迫)

  4. 安心のための鎮静剤の提供


「他院で入らなかった」「痛みが怖くて避けていた」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。私たちは、皆様の「次も受けたい」という安心感こそが、大腸がんによる死亡を減らす最大の力になると信じています。


皆様の健康と安心のために、全力を尽くします。



【ご予約・お問い合わせ】

 075-334-6007








くりた内科・内視鏡クリニック 

〒600-8383 京都府京都市下京区綾大宮町62 シェルブリュー四条大宮 1階



引用文献リスト

※本記事に記載の技術的根拠は、全てPubMedに掲載された英語論文に基づき解説しています。


  1. Fujii T. Standpoint that sticks to straightening and shortening technique. Shokaki Naishikyo. 2025;37(3):307-310.


  2. Uozumi T, Toyoshima N, Saito Y. Don't push the scope during colonoscopy!! Shokaki Naishikyo. 2025;37(3):311-313.


  3. Kobayashi K. Colonoscope insertion techniques Important points for less painful insertion. Shokaki Naishikyo. 2017;29(6):1025-1029.


  4. Memon MA, Memon B, Yunus RM, Khan S. Carbon dioxide versus air insufflation for elective colonoscopy: a meta-analysis and systematic review of randomized controlled trials. Surg Laparosc Endosc Percutan Tech. 2016;26(2):102-116.


  5. Leung FW. Water exchange colonoscopy: From current status to future directions. World J Gastroenterol. 2021;27(19):2284-2299.


  6. Fukuda M, Futakuchi T, Tamai N, et al. Those with lean or obese figure. Shokaki Naishikyo. 2025;37(3):298-301.


  7. Kobayashi K. Utilize anything to overcome a difficult colonoscopic intubation. Shokaki Naishikyo. 2025;37(3):286-291.


  8. Triantafillidis JK, Merikas E, Nikolakis D, et al. Sedation in gastrointestinal endoscopy: Current issues. World J Gastroenterol. 2013;19(4):463-481.

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