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健診の「要精密検査」を放置していませんか?:胃透視検査で異常を指摘された方へ、胃カメラ検査を専門医が強く推奨する理由

  • 執筆者の写真: くりた内科・内視鏡クリニック
    くりた内科・内視鏡クリニック
  • 11月3日
  • 読了時間: 12分

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結果を受け取った方へ、専門医からのメッセージ


健康診断で「要精密検査」の結果を受け取った方、胃透視(バリウム検査)で異常を指摘された方へ


健康診断の結果に「要精密検査」や「異常あり」の文字を見つけ、大きな不安を感じてこのページを開かれたことと思います。まず、心よりお見舞い申し上げます。しかし、この異常の指摘は、決して悲観すべきものではありません。これは、病気を**早期発見するための「最大のチャンス」**を掴んだことを意味します。この重要な機会を逃さず、迅速かつ正確な次のステップを踏むことが、皆様の未来の健康を守る鍵となります。



「再検査」と「精密検査」は何が違うのか?不安を解消する判定の定義


健康診断の結果で「再検査」または「精密検査」の指示を受けた際、両者の違いを明確に理解していない方が多くいらっしゃいます。医学的な判定基準において、これら二つの指示には明確な緊急性と必要性の違いが存在します。


厚生労働省の定める健康診断の判定区分において、「再検査(C:要経過観察)」は、異常所見が見られるものの、一定期間後に再度同じ検査を推奨する段階や、検査手技上の軽微な問題があった場合に用いられます。経過観察が可能であるため、比較的急を要しないことが多いです。


これに対し、「精密検査(D2:要精密検査)」は、「異常所見が認められるため、さらに詳しい検査(高精度の二次検査)を推奨する」ことを明確に意味します。この D2判定は、初期の検査、特に胃透視(バリウム検査)では病変の確定や詳細な評価が不十分であり、速やかに消化器の専門医による高精度な検査を受ける必要があることを示しています。この精密検査を先延ばしにすることは、早期発見の機会を逸失し、病状を進行させるリスクを伴うため、放置してよい結果では決してありません。皆様が受け取った結果を正しく理解し、次に取るべき行動の緊急性を認識していただくため、判定の概要をまとめます。


判定結果の比較

判定記号

概要

必要な行動(二次検査)

D2(要精密検査)

異常所見が認められ、さらに詳しい検査が推奨されます。

放置厳禁。 速やかに専門医療機関で胃カメラなどの精密検査を受けてください。

C(要経過観察)

指定された期間経過後、再検査を推奨します。

定期的なフォローアップが必要ですが、急を要しない場合が多いです。



胃透視(バリウム検査)の限界と精密検査の必要性


健診の胃透視(バリウム検査)だけで済ませていませんか?


胃透視(胃 X 線検査)は、胃がん検診において、集団を対象としたスクリーニング手法として有効性が認められています。死亡率減少効果を示す直接的証拠も確認されており、広く対策型検診として実施が推奨されています。これは、集団の中から胃がんのリスクが高い可能性のある人を選び出す、優れた「ふるい分け」の役割を担うものです。


しかし、胃透視検査はあくまで間接的に胃の粘膜や形状を評価する検査であり、**確定的な診断を下す能力には限界があります。**バリウムの塗布状況や胃の変形具合から病変の存在を推測することはできますが、異常が指摘された後のステップにおいて、胃カメラ(胃内視鏡検査)に切り替えることが医学的に必須となります。



胃透視(バリウム検査)で異常が指摘された「その次」が重要


胃透視検査で異常が指摘された場合、病変の存在が強く疑われますが、X 線写真だけでは以下のような病変の最も重要な情報を得ることができません。


  1. 病変の「深さ」を正確に評価できない

    胃透視は胃の輪郭や大きな凹凸を見るのには適していますが、病変が粘膜の表面に留まっているのか(早期がん、内視鏡治療の適応の可能性)、それとも粘膜の奥深くまで進行しているのか(進行がん、外科手術の適応)という、治療方針を左右する深達度(T 分類)を正確に評価することができません。


  2. 確定診断(生検)ができない

    胃透視検査は画像診断であり、病変の細胞や組織の一部を採取して良性か悪性か、悪性であればどのようなタイプかという確定診断を下す「生検」を行う機能がありません 5。確定診断のためには、必ず胃カメラ検査を再度受ける必要があります。



胃透視検査でがんが発見された場合、内視鏡での切除(ESD)が可能となる例は少ない


早期胃がんとは、がんが胃の粘膜下層までにとどまっている状態を指し、この段階で発見されれば、多くの場合、身体的負担の少ない内視鏡的切除術(ESD: 内視鏡的粘膜下層剥離術)によって根治が可能です。


しかし、胃透視検査は、ある程度の大きさや形状の変化を伴う病変を見つけるのが得意な反面、内視鏡的切除に適応するような、ごく初期の平坦で微妙な色調変化を伴う早期がんを捉える能力は、胃カメラに圧倒的に劣ります。


このため、胃透視で異常が指摘される病変は、早期がんの中でも「目立つ異常」であったり、すでに進行している可能性が高いリスクを伴います。したがって、胃透視で異常が発見された時点で、すでに内視鏡的切除の適応外(外科手術が必要)となる可能性が相対的に高まります。


この事実が示唆するのは、胃透視で「異常あり」とされた方は、早期発見の機会を最大限に活かし、内視鏡的切除の可能性を残すためにも、一刻も早く胃カメラによる高精度な精密診断を受けることが必須であるということです。胃透視検査はスクリーニングの最初のステップとして成功したのですから、次は確定診断と治療方針決定のための最も正確な診断法に進むべきです。




胃カメラ(胃内視鏡検査)を強く推奨する 4 つの理由


胃透視の異常を指摘された方が、精密検査として胃カメラ(胃内視鏡検査)を強く推奨されるのには、診断の質、効率性、そして治療の可能性を最大化するという、明確な医学的および実用的な優位性があります。



理由1:早期がんの発見に有効な「直接観察力」とエビデンス


胃カメラ検査は、スコープを体内に直接挿入し、食道、胃、十二指腸の粘膜を至近距離から詳細に観察できるため、胃透視では不可能なレベルで粘膜の微細な変化を捉えられます。


複数の研究結果に基づき、胃内視鏡検査は胃 X 線検査(バリウム)に比べ、胃がん発見率が高いことが示唆されており、同等以上の効果が期待されるとされています。


これは、内視鏡が粘膜の「凹凸・形状・色」を直接、かつ多角的に観察できるからです。特に、くりた内科・内視鏡クリニックで導入している最先端の内視鏡システムは、高い診断精度を誇ります。NBI(狭帯域光観察)や拡大内視鏡といった特殊な観察技術を用いることで、肉眼では捉えられない微細な血管パターンや粘膜の表面構造の変化を観察できます。これにより、数ミリ単位の平坦な早期がん(早期胃がん)の正確な診断や、内視鏡的切除の適用範囲(側方進展範囲)を高い精度で判断することが可能となります。この技術的優位性が、治療の選択肢を大きく広げ、患者様の予後向上に直接的に貢献します。



理由2:診断と治療を同時に行う「ワンストップ処置」


胃カメラ検査の最大のメリットの一つは、異常を検出した際の**「ワンストップ処置」**が可能である点です。


バリウム検査では、異常が見つかっても、改めて胃カメラを予約し、組織を採取する日程を組むという二度手間が発生します。しかし、胃カメラ検査であれば、消化器病専門医が病変を発見した場合、その場で鉗子を用いて組織の一部を採取する「生検」を同時に行えます。これにより、良性か悪性か、悪性であればどのようなタイプかという確定診断に直結し、診断確定までの期間を大幅に短縮できます。


また、もし早期がんで内視鏡的切除(ESD)の適応があると判断されれば、すぐに治療計画へ移行できます。この即時性が、患者様にとっての不安な待機期間を短縮し、最適な治療を最速で開始することを可能にします。



理由3:無駄な時間と費用の削減(「胃透視→胃カメラ」という手間の省略)


健康診断の結果で異常が出た場合、「胃透視(バリウム)で異常指摘 後日、改めて胃カメラを予約・実施」という二段階の手順を踏まざるを得ず、診断確定までの期間が長くなります。この遅延は、精神的な負担増大だけでなく、もし病変が進行中であれば、治療の難易度を高めることにつながりかねません。


胃カメラ検査を精密検査として選択することで、異常の発見、生検による確定診断、さらには早期治療の準備までを一度の検査で同時に進めることができます。これは、忙しい方にとって、複数の検査のために何度も休みを取り、不安なまま待つという手間と時間を最小限に抑えることを可能にします 。



理由4:病変の正確な深達度評価と治療方針の決定


胃透視では病変の深達度(どこまで進行しているか)が分かりませんが、内視鏡検査では、熟練した内視鏡専門医が詳細な観察を行うことで、深達度の正確な評価が可能になります。


早期胃がんは粘膜下層までにとどまるものと定義されており、この深さの正確な評価こそが、内視鏡治療(ESD)の適応を決める上で最も重要な要素です。内視鏡専門医は、内視鏡画像、特に拡大観察や NBI 観察の結果から、病変が粘膜の表面に留まっているか、深部に及んでいるかを推測し、治療方法(内視鏡治療か外科手術か)を判断します。この迅速かつ正確な診断が、患者様の身体的負担と予後に直結します。


以下の表に、胃透視検査と胃カメラ検査の優位性の違いをまとめます。


胃透視(バリウム検査)と胃カメラ(内視鏡検査)の比較

項目

胃透視(バリウム検査)

胃カメラ(胃内視鏡検査)

検査の性質

スクリーニング(ふるい分け)

精密検査・確定診断・早期治療判断

早期がん発見精度

微細な病変の見落としリスクがある

最新技術により粘膜の微細な変化を直接観察可能。発見率が高い

生検(確定診断)

不可(必ず胃カメラが必要)

可能。病変を見つけ次第、その場で組織採取

治療判断

深さの評価が難しいため不可

早期がんであれば、切除の適応を迅速かつ正確に判断可能

診断確定までの手間

異常指摘後、必ず胃カメラが必要となり二度手間になる

ワンストップで診断確定が可能 



くりた内科・内視鏡クリニックで受ける胃カメラのメリット


「胃カメラの必要性は理解したが、検査の苦痛が心配だ」という不安は、多くの方が抱える共通の課題です。くりた内科・内視鏡クリニックでは、その不安を解消し、高精度かつ快適な精密検査を提供するための体制を徹底しています。



苦痛を最小限に抑えるための徹底した工夫


胃カメラ検査の最大の障壁である「苦痛」や「嘔吐反射(えずき)」に対し、当クリニックは万全の対策をとっています。



鎮静剤の使用による無痛検査の提供


当クリニックでは、「苦痛を感じない胃カメラ検査」を提供するため、鎮静剤の使用を積極的に推奨しています。鎮静剤を静脈から投与することで、患者様は眠っている間に検査を終えることができ、身体的・精神的な負担が最小限に抑えられます。経鼻内視鏡検査の場合でも、軽い鎮静剤を使用することで苦痛を最小限に抑えることが可能です。


なお、安全のため、鎮静剤を使用した場合は当日お車やバイク・自転車の運転はでき

ませんのでご注意ください。



経口と経鼻、選択できる内視鏡


患者様のご希望や過去の経験に基づき、口から挿入する経口内視鏡、または鼻から挿入する経鼻内視鏡のいずれかを選択可能です。


特に、経鼻内視鏡は、スコープが鼻から直接のどに入ることで、嘔吐反射を引き起こす舌の奥に触れることなく検査できるため、強い吐き気がなくなります。過去の口からの検査で辛い思いをした方や、えずきやすい方には、この経鼻内視鏡をお勧めしています。また、経口内視鏡検査よりも麻酔の量を減らせるため、お身体への負担も軽減されます。



リカバリールームでの安心な休憩


検査はすべてストレッチャーに乗ったまま行われます。鎮静剤を使用した検査終了後は、そのままリカバリールームへ移動し、目が覚めるまでゆっくりとお休みいただける環境を整えています。



専門性と最新技術による「質の高い精密診断」


苦痛を軽減するだけでなく、診断の「精度」こそが、精密検査を提供する医療機関にとって最も重要な要素です。



消化器病専門医による検査の実施


当院の院長は医学博士であり、日本消化器病学会と日本消化器内視鏡学会の専門医及び指導医の資格を有しています。経験豊富な専門医が、最新の知見と確かな技術に基づき、微細な病変も見逃さない精密な検査を担当します。高い専門性を持つ医師による検査は、診断の質、ひいては患者様の予後に直結します。



最先端の機器導入による高精度化


当クリニックでは、大学病院レベルの最先端の内視鏡機材、特に最新式経鼻内視鏡GIF-1200N と拡大内視鏡 GIF-XZ1200(ともにオリンパス社製)を導入しています。この高性能な機器は、前述した NBI や拡大観察といった特殊光を用いた診断能力を最大限に引き出し、微細な粘膜の変化も捉え、精度の高い診断を短時間で実現します。これは、単に楽な検査を提供するだけでなく、楽な高精度検査を提供するという当院の理念の核心です。



忙しい方への配慮:土曜日の検査対応


健康診断で D2(要精密検査)の結果を受け取った場合、迅速な精密検査の受診が求められます。しかし、平日お仕事をされている方にとって、検査のために休みを取ることは大きな負担となります。


当クリニックでは、患者様の利便性を考慮し、平日お忙しい方のために土曜日の内視鏡検査も受け付けております。お仕事を休むことなく、安心して専門医による精密検査をお受けいただける体制を整えています。




結論:精密検査は「安心」を買うための投資


健康診断で要精密検査の結果を受け取った今、最も大切なのは、不安を抱えたまま時間を浪費し、「先延ばしにしない」という決断です。

胃透視(バリウム検査)で異常を指摘された場合、その先のステップである胃カメラ検査は、早期がんの発見、確定診断、そして治療方針の決定において、他の追随を許さない絶対的な優位性を持っています。胃カメラ検査は、診断の質、時間の節約、治療オプションの最大化という三つの側面で、皆様の健康を守るための最善の選択肢です。


くりた内科・内視鏡クリニックでは、経験豊富な院長が、最新の技術と、鎮静剤を用いた徹底した苦痛軽減の配慮をもって、皆様の精密検査をサポートいたします。不安を確かな安心に変えるため、ぜひ一度、当院にご相談ください。健診結果をご持参いただければ、速やかに精密検査のご予約を承ります。


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