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お知らせ・院長ブログ

家庭での正しい血圧の測定方法について

  • 執筆者の写真: くりた内科・内視鏡クリニック
    くりた内科・内視鏡クリニック
  • 6月28日
  • 読了時間: 16分

家庭での血圧測定は、日々の健康管理において極めて重要な役割を担っています。この報告書では、患者さんがご自宅で正確に血圧を測定し、その結果を効果的に活用するための詳細な方法について解説します。



はじめに:なぜ家庭血圧測定が大切なのでしょうか?

血圧は常に変動する生理的指標であり、その変動は時間帯、活動、精神状態など様々な要因によって影響を受けます。医療機関での一度の測定だけでは、日々の血圧の真の状態を正確に把握することは困難な場合があります。家庭で定期的に血圧を測定することは、患者さん自身の血圧の傾向を理解し、高血圧の診断や治療の効果を適切に評価するために不可欠です。

高血圧は「サイレントキラー」とも称され、自覚症状がほとんど現れないまま進行し、血管に持続的な負担をかけることで動脈硬化を促進します。これにより、脳卒中や心筋梗塞といった重篤な心血管疾患のリスクが高まります。日々の測定と記録を通じてご自身の血圧状態を把握することは、これらの疾患の予防と改善に直接的に貢献します。


「白衣高血圧」と「仮面高血圧」について

家庭血圧測定の重要性は、診察室での測定だけでは見落とされがちな特定の血圧パターンを明らかにできる点にもあります。


  • 白衣高血圧:医療機関で測定すると、医師や看護師の存在による緊張から一時的に血圧が高く出るものの、家庭でリラックスした状態で測ると正常値を示す現象です。家庭血圧測定は、このような一時的な心理的影響を受けずに、患者さんの普段の血圧レベルを把握する上で非常に有効な手段となります。

  • 仮面高血圧:診察室では血圧が正常範囲内であっても、家庭で測定すると血圧が高い状態を指します。特に、早朝や夜間、あるいは仕事中など、特定の時間帯や状況下で血圧が上昇するパターンが典型です。このような血圧上昇は、診察室での測定だけでは見過ごされやすく、家庭での測定がなければその存在が明らかになりません。仮面高血圧は、心血管病のリスクが高いことが複数の研究で示されており、その早期発見には家庭血圧測定が不可欠です。


家庭での血圧測定は、単に数値を記録する行為に留まらず、これらの見過ごされがちな病態を明らかにする診断補助ツールとしての深い意義を持ちます。診察室での血圧測定は、患者さんの緊張や一過性の測定という性質上、日常的な血圧を正確に反映しない可能性があります。家庭血圧測定は、患者さんがリラックスした日常的な環境で複数回測定することで、この診察室血圧の限界を補完します。仮面高血圧が発見されれば、適切な治療介入が可能となり、将来的な心血管イベントのリスク低減につながります。これにより、家庭血圧測定は単なるモニタリングを超え、早期診断と個別化された治療戦略の策定に不可欠な情報源となるのです。さらに、患者さん自身が測定を行うことで、自身の健康状態への意識が高まり、治療への主体的な参加を促す効果も期待できます。



家庭血圧計の選び方

正確な家庭血圧測定のためには、適切な血圧計を選ぶことが最初の重要なステップです。


上腕式血圧計をおすすめする理由

家庭での血圧測定には、上腕(二の腕)で測る「上腕式血圧計」が、日本高血圧学会をはじめとする専門機関から強く推奨されています。これは、上腕の動脈が心臓に近く、より正確で安定した血圧値を測定できるため、医療機関での測定と同等の信頼性の高い数値が得られるからです。

一方、「手首式血圧計」はコンパクトで持ち運びに便利であり、衣服の着脱が不要で手軽に測定できるという利点があります。しかし、手首の解剖学的構造が複雑であることや、測定時の手首の位置(心臓からの高さ)がわずかにずれるだけでも数値が変動しやすく、測定値のばらつきが大きくなる傾向があります。例えば、手首が心臓より1cm低い位置にあると、血圧が約0.7mmHg高く測定されるとされています。このような誤差は、特に診断や治療効果の評価において、誤った判断につながるリスクがあるため、診断目的には上腕式が望ましいとされています。


カフのサイズと選び方

正確な測定のためには、腕の太さに合った適切なカフ(腕帯)を選ぶことが非常に重要です。カフが緩すぎると血圧が高く測定される可能性があります。これは、不適切なカフ圧が動脈の閉塞と再開通の検出を妨げるためであり、結果として患者さんに不必要な不安を与えたり、過剰な治療介入につながったりする可能性があります。

一般的なカフの適応腕周は22~32cm程度ですが、腕が細い方や太い方のために、17~36cmの広い範囲に対応するモデルや、専用の細腕用・太腕用カフがオプションで用意されている製品もあります。腕周りを測る際は、肘を軽く曲げた状態で二の腕の中央あたりを測り、ご自身の腕のサイズに合うカフを選びましょう。最近の血圧計には、カフが正しく巻けているかをチェックする機能が搭載されているものもあり、初めての方でも安心して使えます。


医療機器認証と信頼できるメーカー

家庭用血圧計は医療機器であり、その精度と信頼性が重要です。購入の際は、国が定める品質・安全基準を満たしていることを示す「医療機器認証番号」が表示されている製品を選びましょう。これは、単なる家電製品ではなく、診断・治療に用いられる「医療機器」としての信頼性を保証するものです。

オムロン、テルモ、A&D、タニタ、シチズンなどの実績のあるメーカーは、信頼性の高い製品を提供しており、日本高血圧学会や国際基準の検証を受けた製品を選ぶことが推奨されます。信頼できるメーカーの製品を選ぶことは、製品の品質だけでなく、測定精度を維持するための技術サポートや、将来的なメンテナンスの可能性も考慮に入れています。日本高血圧学会が血圧計の臨床評価結果をウェブサイトで公開していることは、この信頼性を客観的に評価する手段を提供しています。これらの要素を総合的に考慮することで、患者さんはより正確で信頼性の高い家庭血圧データを取得でき、医師はそれに基づいてより的確な診断と治療方針を立てることが可能となり、患者さんの健康状態の改善に直接的に寄与します。



家庭血圧測定の準備と環境

血圧は身体の状態や周囲の環境によって大きく変動します。正確な測定値を得るためには、測定前の準備と測定環境を整えることが非常に重要です。


測定前の準備:安静、排尿など

血圧測定は、身体が最も安定している「基礎血圧」に近い状態を捉えることを目的としています。そのため、測定前には以下の準備を心がけましょう。


  • 安静:測定の1~2分前、できれば5~10分間は椅子に座ってリラックスしましょう。急いで測定したり、興奮した状態では正確な値が得られません。

  • 排尿:測定前に排尿を済ませておきましょう。膀胱に尿がたまっていると、血圧が一時的に上昇することがあります。

  • タイミング:朝食前、降圧薬を飲む前に測定しましょう。これにより、食事や薬の影響を受けていない、患者さん本来の血圧レベルを評価できます。


測定に適した環境:室温、姿勢

測定環境を一定に保つことは、測定値の「再現性」を高める上で極めて重要です。


  • 室温:静かで、過ごしやすい室温の環境で測定しましょう。特に冬期は、暖房のない寒い部屋での測定は血管を収縮させ、血圧を上昇させる可能性があるため注意が必要です。室温が異なると、同じ患者さんでも異なる測定値が出てしまうため、日々の測定値の比較が意味を持たなくなります。

  • 姿勢:原則として、背もたれ付きの椅子に深く腰掛け、背中を椅子にもたれさせ、脚を組まずに座りましょう。姿勢を保つための筋緊張は血圧を上昇させる可能性があるため、リラックスした姿勢を保つことが大切です。

  • 測定中:測定中は、力を入れたり動いたりせず、会話も控えましょう。筋肉の収縮や精神的な興奮は一時的に血圧を上昇させる生理的反応を引き起こすため、これらを避けることで測定値の信頼性が向上します。


避けるべき行動:喫煙、飲酒、カフェインなど

特定の行動は一時的に血圧に影響を与えるため、測定前には控えるべきです。


  • 嗜好品:測定前には、喫煙、飲酒、カフェインの摂取は控えましょう。これらは一時的に血圧を上昇させたり下降させたりする急性効果を持つため、これらの影響を排除することで、測定値が外的要因によるものではなく、患者さんの基本的な血圧状態を反映していることを保証します。

  • その他の状況:食後30分以内、入浴後30分以内、排便を我慢している時、精神的ストレスがある時なども、血圧が変動しやすいため測定を避けましょう。


これらの詳細な準備と環境条件を患者さんが理解し実践することで、患者さんは自身の生活習慣が血圧にどう影響するかをより深く認識できるようになります。これは、単に血圧を測る行為を超え、健康管理への意識と行動変容を促す重要な教育的側面を持つものです。



正しい測定方法のステップ

血圧は極めて敏感に環境や身体の状態に反応する生理学的特性を持つため、一貫性のある正確なデータ収集には厳密な標準化が不可欠です。


測定のタイミング:朝と夜の原則

家庭血圧は、原則として朝と夜の1日2回測定することが推奨されています。これにより、日中の活動時と夜間の安静時の血圧変動を把握し、より正確な診断と治療効果の評価が可能になります。


  • 朝の測定:起床後1時間以内、排尿後、朝食前、降圧薬を飲む前に、いつもの座る姿勢で測定しましょう。測定前1~2分間は安静にすることが大切です。これは、身体の代謝活動や薬理作用が血圧に及ぼす影響を最小限に抑え、患者さんの「基礎的な」血圧状態を捉えるためのものです。

  • 夜の測定:寝る前に、いつもの座る姿勢で測定しましょう。測定前1~2分間は安静にしましょう。


できるだけ毎日同じ時刻に測定するように心がけ、測定を習慣化することが、長期的な血圧管理の鍵となります。


カフの巻き方と腕の位置

カフの巻き方や腕の位置は、血圧計が動脈を適切に圧迫し、血流の振動を正確に検出するための物理的条件です。


カフの巻き方

  • 裸の二の腕にカフを巻きます。厚手のシャツや上着の上から巻いたり、厚地のシャツをたくし上げて上腕を圧迫したりしないようにしましょう。

  • カフは肘関節にかからないように、肘の内側から1~2cm上に巻きましょう。

  • カフの締め付け具合は、指1~2本が入る程度のゆるさが適切です。緩すぎると実際よりも高く測定される可能性があります。これは、患者さんが誤った判断を下すリスクを高めることにつながります。

  • 手首式血圧計を使用する場合は、カフが手首の骨にかからないように、手首と手のひらの境目から1~1.5cm離して、素肌の上に隙間ができないようにぴったりと巻きましょう。


腕の位置

  • 腕は机などに乗せ、カフの中心(二の腕に巻いた場合)や手首(手首式の場合)が心臓と同じ高さになるようにしましょう。

  • 必要であれば枕などで腕を支持し、二の腕の緊張を解いて腕は前に伸ばしましょう。


測定中の注意点:会話、体動

測定中の会話や体動は、筋肉の収縮や精神的な興奮が一時的に血圧を上昇させる生理的反応を抑制するため、避けるべきです。

  • 測定中は、会話をしたり、体を動かしたりしないようにしましょう。体動や会話は血圧値に影響を与え、正確な測定ができません。

  • 血圧計によっては、体動や脈波の変動を検知して知らせる機能が搭載されているものもあります。そのような表示が出た場合は、測定エラーの可能性があるため、再度測定し直しましょう。


左右の腕の差について

初めて測定する際には、左右の腕で血圧を測り、差がないか確認しましょう。左右の血圧に大きな差がある場合、それは末梢動脈疾患や大動脈疾患など、潜在的な血管病変を示唆する可能性があります。そのため、高いほうの腕で測定を続けるのが原則です。その後は、測定した腕を記録しておきましょう。手首式の場合も、左右の手首で測定値が異なる場合があるため、いつも同じ手首で測るようにしましょう。この指示は、単に測定値を標準化するだけでなく、医師が患者さんの全身状態を評価するための重要な手がかりを提供するものです。

これらの詳細な手順を患者さんに伝えることは、単に「こうしてください」と指示するだけでなく、「なぜそうするのか」という理由を理解させることで、患者さんの測定に対する意識を高め、継続的な正確な測定へと繋がります。



測定結果の記録と活用

測定値の「記録」は、単なるデータ保存ではなく、長期的な血圧変動のパターンを可視化し、患者さんの自己効力感を高め、医師との協働を促進するための重要なプロセスです。


記録すべき項目:血圧値、脈拍、時刻、体調など

測った血圧値はすべて正直に記録し、かかりつけ医に見せましょう。良い値だけでなく、高い値も含め、すべての記録が重要です。良い値だけを記録すると、問題のある期間が見過ごされ、適切な治療判断が遅れる可能性があります。


  • 必須項目:血圧値(最高血圧、最低血圧)と心拍数(脈拍)は必ず記録しましょう。

  • 付加情報:測定時刻や、その日の体調、特記事項(例:睡眠不足、ストレス、運動後、薬の飲み忘れなど)も一緒に記録することで、血圧変動の原因を把握するのに役立ちます。例えば、ストレスや睡眠不足が血圧上昇に関連している場合、これらの情報がなければ見過ごされてしまう可能性があります。これにより、医師は単なる数値の羅列ではなく、患者さんの生活背景と血圧の関連性を深く理解し、より個別化されたアドバイスを提供できます。



血圧手帳とスマートフォンのアプリ活用

記録方法としては、従来の「血圧手帳」に手書きする方法と、スマートフォンの「血圧管理アプリ」を活用する方法があります。


  • 血圧手帳:医師や医療機関で提供されることが多く、手軽に始められます。

  • 血圧管理アプリ:近年、非常に普及しており、以下のメリットがあります。

  • 記録の簡便性:スマートフォンのカメラ機能で血圧計の表示を撮影したり、Bluetooth連携機能により自動で記録・管理できます 7。手書きの煩わしさを解消し、患者さんの測定継続率を大幅に向上させます。継続性は、長期的な血圧管理の鍵です。

  • 視覚化:測定した血圧値が自動でグラフ化されるため、血圧の変化を視覚的に確認でき、自分の状態を把握しやすくなります。グラフ化機能は、数値の羅列では分かりにくい血圧の「トレンド」や「パターン」(例:早朝高血圧の有無)を一目で把握できるようにし、患者さんが自身の状態を「見える化」することで、病識を深め、治療へのモチベーションを高める効果があります。

  • 習慣化しやすい:アラート機能などで目標設定や記録を習慣化しやすくなります。リマインダー機能や目標設定機能は、測定を「義務」ではなく「習慣」へと変える手助けとなり、患者さんの自己管理能力を高め、長期的な健康維持に寄与します。

  • データ共有:多くのアプリで、PDFやExcelなどの形式でデータをエクスポートしたり、医療機関とデータ共有したりする機能があり、診察時に医師に提示しやすくなります。これは、診察時間の限られた中で、医師が患者さんの長期的な血圧データを効率的に確認し、的確な診断や治療方針の調整を行うことを可能にし、患者さんと医師の間の情報格差を埋め、医療の質を向上させる重要な側面です。


ご自身のライフスタイルや求める機能に合わせて、最適なアプリを選びましょう。無料のアプリも多数あります。


おすすめ血圧管理アプリの比較

以下の表は、主要な血圧管理アプリの主な特徴を比較したものです。患者さんが自身のニーズに合ったアプリを効率的に選択できるように、機能、使いやすさ、医師との連携といった観点から比較しています。

アプリ名

使いやすさ

機能の充実度

リマインダー

データ出力形式

医師との連携

主な特徴/概要

血圧ノート

★★★★★

★★★★☆

★★★★☆

CSV

メールレポート

シンプルな記録、豊富なグラフ表示、自動朝夜判別

シンクヘルス

★★★★☆

★★★★★

★★★★☆

PDF, Excel

医療機関連携、家族共有

血圧以外の健康記録も管理、SNS連携ログイン

シンプル血圧手帳

★★★★★

★★★☆☆

★★★☆☆

PDF, CSV

なし

血圧・脈拍・体重に特化、シンプル操作

血圧管理手帳

★★★★☆

★★★★☆

★★★☆☆

PDF

なし

直感的な操作性、高齢者向け、カレンダー表示

シンプルな血圧管理アプリ

★★★★★

★★★★☆

★★★☆☆

PDF

なし

シンプルな入力画面、服薬・測定リマインダー



測定値の目安と医師への相談

家庭血圧測定で得られた数値は、患者さんの健康状態を把握し、適切な医療判断を行う上で非常に重要です。しかし、その解釈と行動には注意が必要です。


家庭血圧の基準値

日本高血圧学会の診断基準では、家庭血圧において収縮期血圧(上の血圧)が135mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)が85mmHg以上が高血圧とされています。正常血圧の目安としては、朝と夜それぞれの平均値が115/75mmHg未満とされています。


年齢や合併症に応じた目標値

目指すべき降圧目標値は、患者さんの年齢や糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、脳血管障害、冠動脈疾患などの合併症の有無によって異なります。これは、個々の患者さんのリスクと忍容性を考慮した、個別化された最適な管理を目指すためです。ご自身の目標値については、必ず医師と相談し、確認するようにしましょう。患者さんが自身の目標値を医師と共有し、その意味を理解することは、治療への服薬遵守を高める上で不可欠です。


以下の表は、日本高血圧学会が示す家庭血圧の降圧目標値の目安です。

患者カテゴリー

家庭血圧の降圧目標値(収縮期/拡張期)

備考

若年、中年、前期高齢者患者(75歳未満)

125/75mmHg未満


後期高齢者患者(75歳以上)

135/85mmHg未満

忍容性があれば 130/80mmHg 未満も考慮

糖尿病患者

125/75mmHg未満


CKD患者(蛋白尿陽性)

125/75mmHg未満

目安

脳血管障害患者、冠動脈疾患患者

125/75mmHg未満

目安


自己判断での服薬中止・増減はしない

家庭で測定した血圧値に基づいて、ご自身の判断で降圧薬を中止したり、量を増減したりすることは絶対にしないでください。血圧値の変動は、日内変動、季節変動、精神的・身体的ストレスなど、多岐にわたる要因によって引き起こされます。患者さんが単一の測定値や短期間の変動に基づいて自己判断で服薬を中止・増減することは、血圧の不安定化を招き、脳心血管イベントのリスクを不必要に高める可能性があります。薬の調整は、医師が患者さんの長期的な血圧の傾向、全身状態、合併症の有無などを総合的に判断に基づいて行います。医療専門知識の欠如がもたらす潜在的な危険性を避けるためにも、必ず医師の指示に従いましょう。


不安や疑問がある場合の相談

血圧測定に対し不安がある場合や、測定値について疑問がある場合は、遠慮なくかかりつけ医に相談しましょう。血圧測定がストレスの原因となる場合、それがかえって血圧を上昇させる可能性もあります。そのため、患者さんの心理的側面への配慮は、正確なデータ収集と治療継続のために不可欠です。測定を強制される必要はありませんが、患者さんが測定を通じて得た情報(数値だけでなく、測定時の体調や感情も含む)を医師と共有し、それに基づいて医師が総合的な判断を下すという、患者中心の医療プロセスを促進することが、ご自身の健康管理にとって最も大切です。



まとめ:継続することの重要性

家庭での血圧測定は、ご自身の血圧の状態を正確に把握し、高血圧の診断や治療の効果を評価するために非常に重要です。高血圧は多くの場合、完治するものではなく、継続的な管理が必要な慢性疾患です。そのため、一度測って終わりではなく、日々の変動を捉え、長期的なトレンドを把握することが、病状の安定と合併症予防に不可欠です。

正しい方法で、毎日継続して測定し、記録することが何よりも大切です。毎日継続して測定し記録することで、季節変動、日内変動、生活習慣の変化、服薬効果など、様々な要因と血圧との関連性が明らかになります。この豊富なデータは、医師が治療薬の種類や量を調整する際の強力な根拠となり、より個別化された最適な治療を可能にします。


また、継続的な測定と記録は、患者さん自身が自身の健康状態に意識を向け、生活習慣の改善(例:減塩)へのモチベーションを高めることにも繋がります。これは、受動的な治療から能動的な自己管理への移行を促し、患者さんの健康リテラシーを高める効果があります。

日々の小さな積み重ねが、将来の健康を守る大きな力となります。測定値に一喜一憂せず、不安なことや疑問があれば、いつでも医師や医療スタッフにご相談ください。患者さんが継続して正確なデータを提供することで、医師は患者さんの努力とコミットメントを評価し、より深い信頼関係を築くことができます。この信頼関係は、治療の継続性や、患者さんが疑問や不安を抱えた際に躊躇なく相談できる環境を醸成する上で極めて重要です。

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