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その「お腹がキリキリ」は体のサインかもしれません。専門医が解説する腹痛の原因と正しい対処法

  • 執筆者の写真: くりた内科・内視鏡クリニック
    くりた内科・内視鏡クリニック
  • 10月4日
  • 読了時間: 9分

更新日:10月6日

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はじめに:「お腹がキリキリ」の痛み、そのサインを見逃していませんか?

「お腹がキリキリと痛む」という経験は、多くの方が一度は感じたことがある身近な症状です。食事のせいかな、ストレスのせいかな、と安易に考えてやり過ごしてしまいがちですが、その痛みは、単なる一過性の不調ではなく、体からの大切なサインである可能性があります。特に、その痛みが繰り返し起こったり、なかなか治まらなかったりする場合、その背景には思いがけない病気が隠れていることもあります。

この記事では、「お腹がキリキリ」という漠然とした痛みの正体を医学的な視点から解き明かし、その原因や、ご自身で判断すべきではない危険なサインについて、専門家として分かりやすく解説します。そして、もし不安を感じた際に、苦痛を最小限に抑えて正確な診断を受けるための方法についてもご紹介します。患者様一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、安心してご相談いただける環境を整えることが、当院の最も重要な使命です。



「キリキリ」痛みの正体:医学的視点から見た腹痛の種類

腹痛にはさまざまな表現がありますが、医学的には、その痛みの性質によって大きく二つの種類に分類することができます。一つは「内臓痛」、もう一つは「体性痛」です。

「キリキリ」という痛みに代表されるのは、主に内臓痛に分類されます。内臓痛は、胃や腸などの管状の臓器が急激に拡張したり、痙攣したりすることによって引き起こされる痛みです。この痛みは、場所がはっきりと特定しにくく、周期的に痛みが強くなったり弱くなったりする特徴があります。しばしば吐き気や嘔吐、発汗といった自律神経症状を伴うこともあります。

一方、体性痛は、炎症によって腹膜や腸間膜が刺激されて生じる痛みです。この痛みは、鋭く持続的で、痛む場所が明確に限定されるのが特徴です。例えば、虫垂炎(いわゆる盲腸)が進行した際の痛みなどがこれにあたります。



腹痛が語る臓器のメッセージ

腹痛は、その痛む部位によって、どの臓器に問題が起きているかのヒントを得ることができます。しかし、これはあくまで目安であり、一つの臓器が原因で複数の場所に痛みが生じたり、その逆であったりすることも珍しくありません。


  • みぞおち(上腹部)の痛み: 胃や十二指腸、胆嚢、膵臓、心臓などが関連している可能性があります。

  • 右下腹部の痛み: 虫垂炎が最も疑われる部位ですが、大腸の炎症性疾患や、尿路結石、女性の場合は卵管炎などの婦人科疾患も考えられます。

  • 左下腹部の痛み: 大腸憩室炎や潰瘍性大腸炎、大腸がん、腸炎、女性の場合は婦人科疾患などが疑われます。

  • へそ周りの痛み: 急性胃腸炎や腸閉塞、大動脈瘤の可能性もあります。


このように、腹部には多くの臓器が複雑に存在しており、痛みだけで原因を特定することは非常に困難です。自己判断の限界を認識し、専門医に相談することが、正確な診断への第一歩となります。



「お腹がキリキリ」の原因を徹底解説:身近なものから重篤な疾患まで

「キリキリ」という腹痛には、日常生活に潜む身近な原因から、専門的な治療が必要な病気まで、多岐にわたる可能性が考えられます。


日常生活に潜む意外な原因

  • ストレス: 精神的なストレスは、自律神経のバランスを大きく乱す要因となります。自律神経は胃や腸の働きをコントロールしているため、その乱れによって消化機能が低下したり、胃酸が過剰に分泌されたりすることが、腹痛や消化不良を引き起こします。また、ストレスが強いと腸の運動性が過剰になったり(過敏性腸症候群など)、逆に低下して便秘になったりするケースもあります。

  • 食生活・生活習慣: 暴飲暴食や睡眠不足、脂っこい食べ物や香辛料、カフェインの過剰摂取も、胃粘膜を傷つけ、胃痛の原因となります。


感染症と腹痛の関連

  • 急性胃腸炎: ウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)や細菌(サルモネラ菌、カンピロバクターなど)の感染によって胃腸粘膜が炎症を起こし、腹痛や下痢、吐き気、嘔吐などを引き起こします。

  • ピロリ菌: ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃粘膜に生息し、慢性的な炎症を引き起こす主な原因です。ピロリ菌感染は慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、さらには胃がんのリスクを高めることが知られています。

  • アニサキス症: サバやイカなどの生魚介類を摂取した数時間後に、突然の激しい上腹部痛に襲われることが特徴です。激痛はアニサキスの幼虫が胃壁に刺さることで生じ、速やかな処置が必要となります。


消化器疾患:痛みの場所で読み解く病気の可能性

上腹部(みぞおち)の痛み

  • 機能性ディスペプシア(FD): 胃カメラ検査で粘膜に異常が見つからないにもかかわらず、みぞおちの痛みや胃もたれ、不快感が続く病気です。ストレスや胃の知覚過敏が関連していると考えられています。

  • 胃炎・胃潰瘍: 胃の粘膜が炎症を起こしたり(胃炎)、一部が剥がれてえぐれたりする病気です(胃潰瘍)。胃潰瘍は食後に、十二指腸潰瘍は空腹時に痛みが強くなる傾向があります。

  • 胃食道逆流症(GERD): 胃酸が食道に逆流し、胸焼けや喉のヒリヒリ感、そして胃痛を引き起こします。

  • 胆石症・急性膵炎: 痛みが背中や右肩まで広がったり、持続する激痛を伴ったりすることがあります。


下腹部の痛み

  • 過敏性腸症候群(IBS): ストレスが引き金となり、便秘や下痢を繰り返しながら腹痛が続く慢性的な疾患です。

  • 虫垂炎: 痛みがみぞおちから始まり、徐々に右下腹部へ移動していくのが典型的な症状です。

  • 大腸憩室炎: 大腸の壁にできた袋状の憩室に便が溜まり、炎症を起こす病気で、左下腹部の痛みが代表的な症状です。



女性特有の原因:婦人科疾患の可能性

腹痛の原因は、必ずしも消化器系にあるとは限りません。特に女性の場合、生理痛(月経困難症)や子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣腫瘍など、婦人科系の疾患が原因で腹痛が引き起こされることが多々あります。中には、子宮外妊娠や卵巣出血など、緊急性の高い対応が必要となるケースもあります。


専門医の診断が不可欠な理由:放置してはいけない腹痛のサイン

軽度で一時的な腹痛であれば、十分な休息や生活習慣の改善で自然に回復することも多いでしょう。しかし、安易な自己判断は危険です。以下に示す「レッドフラッグサイン」に一つでも当てはまる場合は、速やかに医療機関を受診することを強くお勧めします。

痛みの始まり方や経過を注意深く観察し、適切な判断を下すことは、ご自身の健康を守る上で非常に重要です。


緊急性の高い腹痛の症状(レッドフラッグサイン)

考えられる重大な疾患の可能性

今までに経験したことのない、突然の激しい痛み

消化管穿孔、腸閉塞、大動脈解離など

腹痛がどんどん強くなり、冷や汗をかくほどの痛みがある

腹膜炎、急性膵炎、虫垂炎など

痛みが時間以上続く、または1週間以上続く

慢性的な消化器疾患、炎症性腸疾患など

吐血、または黒色便や血便を伴う

消化管からの出血(胃潰瘍、大腸がんなど)

腹痛に加え、38℃以上の高熱や嘔吐、ひどい下痢を伴う

感染症、重度の炎症性疾患など

歩くとお腹に響く、または触れるだけで激痛が走る

腹膜炎の可能性

意識が遠のく、ぐったりしている

敗血症、ショック状態など

妊婦、高齢者、持病がある方(糖尿病、免疫不全など)

自覚症状が乏しく、病状が進行している可能性があるため



苦痛を最小限に抑える診断プロセス:当院が選ばれる理由

腹痛の原因が多岐にわたるからこそ、正確な診断のためには丁寧な診察と専門的な検査が不可欠です。当院では、患者様の不安を第一に考え、苦痛なく、安心して診断を受けていただけるよう、様々な配慮と最新の医療技術を導入しています。


1. 丁寧な問診と正確な診断の第一歩

診察では、患者様のお話をじっくりとお伺いすることから始めます。「いつから、どこが、どんなふうに痛むか」といった痛みの特徴だけでなく、これまでの病歴、服用しているお薬、生活習慣なども含めて詳しくお話を伺うことで、症状の背景にある原因を多角的に探ります。


2. 経験豊富な専門医による検査

当院の院長は、京都大学医学博士であり、日本消化器内視鏡学会の専門医・指導医、日本消化器病学会の専門医・指導医といった、複数の高い専門資格を有しています。長年の経験と実績を持つ専門医が、すべての検査を責任をもって担当することで、微細な病変も見逃さない、質の高い診断を提供します。


3. 患者様の負担を徹底的に軽減する取り組み

多くの方が内視鏡検査に対して「苦しそう」「痛そう」といった不安を抱えていらっしゃいます。当院は、その不安を解消するために、以下の取り組みを行っています。


  • 鎮静剤の使用: 鎮静剤を使用することで、検査中の不快感や緊張を和らげ、リラックスした状態で検査を受けていただけます。ウトウトと眠っている間に検査が終わり、「気がついたら終わっていた」と感じる方も少なくありません。患者様がリラックスすることで、医師はよりじっくりと、隅々まで丁寧に観察することができ、診断の精度が向上するという利点もあります。

  • 最新の極細スコープと機器の導入: オリンパス社製の最新内視鏡システム『EVIS X1』を導入しており、クリニックとしては珍しい高画質・高機能な検査が可能です。先端径5.4mmの極細スコープを用いる経鼻内視鏡検査は、舌の根元に触れにくいため、吐き気をほとんど感じることなく検査を受けることができます。

  • プライバシーに配慮した環境: 検査スタッフは全員が女性であり、プライバシーに配慮した個室環境を完備しています。人目を気にすることなく、安心して検査を受けていただけます。

  • 胃と大腸の同日検査: お忙しい方のために、胃と大腸の内視鏡検査を同日に受けていただくことも可能です。準備や食事制限が一度で済むため、通院回数を減らすことができます。


4. 内視鏡検査だけではない、多角的な診断

腹痛の原因は多岐にわたるため、内視鏡検査に加え、腹部超音波(エコー)検査や血液検査を組み合わせることで、より網羅的で正確な診断を行います。内視鏡では直接観察できない肝臓、膵臓、胆嚢、腎臓などの臓器の状態も、エコー検査によって安全かつ短時間で確認することが可能です。



最後に:安心してご相談ください

「お腹がキリキリする」という症状は、一時的なものだと軽視されがちですが、その背景には放置すると危険な病気が隠れていることもあります。安易な自己判断はせず、専門医による正確な診断と適切な治療を受けることが、早期発見・早期治療への最も確実な道です。

ご自身の症状がどこに当てはまるか分からなくても、まったく心配ありません。まずは、その痛みや不調について、お気軽にご相談ください。丁寧な問診と、患者様の負担を最小限に抑える最新の検査で、原因を丁寧に探り、一緒に健康な毎日を取り戻すお手伝いをいたします。ウェブ予約も可能ですので、ぜひご活用ください。


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