放置は危険!高齢者の脂質異常症が招く深刻な病気と、くりた内科・内視鏡クリニックでの安心治療
- くりた内科・内視鏡クリニック
- 8月5日
- 読了時間: 17分

はじめに:高齢者の脂質異常症はなぜ見過ごされがちなのか?
高齢化が進行する日本において、健康寿命の延伸は社会全体の喫緊の課題と認識されています。その中で、生活習慣病の一つである「脂質異常症」は、明確な自覚症状を伴わないにもかかわらず、放置されると生命に関わる重大な疾患を引き起こす危険性を内包しています。特に高齢者においては、そのリスクがより顕著になります。
脂質異常症は「サイレントキラー」とも称され、痛みや不快感といった直接的な自覚症状がほとんど現れません。この特性から、多くの人々が「特に体調が悪いわけではないから問題ない」と自己判断し、健康診断で異常を指摘されても医療機関を受診せずに放置してしまう傾向が見られます。症状がない状態が続くと、病気が進行していないと誤解されがちですが、これは大きな誤りです。高齢者においては、加齢に伴う身体機能の変化と病気の症状を混同し、「年だから仕方ない」と捉えてしまうことも少なくありません。このような認識は、診断の遅れを招き、結果として動脈硬化が静かに進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な合併症の発症リスクを高めることにつながります。この受診遅延の傾向は、医療費の増大や要介護状態への移行にも影響を及ぼすため、社会全体で認識すべき重要な課題です。
加齢とともに身体の機能は自然に変化し、脂質代謝もその例外ではありません。若い頃と同じ生活習慣を続けていると、知らず知らずのうちに脂質バランスが崩れることがあります。高齢者における脂質異常症の管理は、単にコレステロール値を適正化するだけでなく、その後の生活の質(QOL)を大きく左右する重要な要素となります。高齢者の健康状態や生活背景は多岐にわたり、複数の疾患を併発している場合や、臓器機能の低下、低栄養、フレイル(虚弱)など、治療に際して考慮すべき点が多数存在します。そのため、画一的な健康情報や治療法では、すべての高齢者に適切に届かない可能性があります。健康への関心が高い活動的な高齢者がいる一方で、諦めや不安から受診をためらう高齢者も存在するため、個々の状況に寄り添ったきめ細やかな医療アプローチが不可欠であると考えられます。
脂質異常症とは?高齢者における現状と診断基準
脂質異常症の基本
脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)のバランスが崩れた状態を指します。具体的には、以下のいずれかの状態が該当します。
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い状態
LDLコレステロールは細胞膜やホルモンの材料となるコレステロールを運ぶ役割を担いますが、血液中に過剰に存在すると血管の壁に蓄積し、動脈硬化を進行させます。この値が高いほど、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが上昇します。
HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い状態
HDLコレステロールは血管に蓄積した余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻す働きがあるため、「善玉コレステロール」と呼ばれます。この値が40mg/dLを下回ると、動脈硬化性疾患のリスクが高まります。
トリグリセライド(中性脂肪)が高い状態
トリグリセライドは体を動かすための重要なエネルギー源ですが、増えすぎると動脈硬化を進行させ、糖尿病のリスクも高まります。特に500mg/dL以上といった異常な高値の場合には、急性膵炎という生命に関わる病気を引き起こす可能性があり、その予防の観点からも管理が重要です。
Non-HDLコレステロールが高い状態
Non-HDLコレステロールは、LDLコレステロール以外の悪玉コレステロールも含む、すべての悪玉脂質の総量を表す指標です。中性脂肪が高い方や、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)を併発している方は、この値が150mg/dL以上になると心筋梗塞などの発症リスクが高まるため、特に注意が必要です。
診断基準の変遷と最新情報
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、脂質異常症の診断基準が改訂されました。特筆すべきは、非空腹時の中性脂肪(随時TG)が175mg/dL以上の場合も脂質異常症と診断されるようになった点です。これは、食事の影響を受けやすい中性脂肪であっても、非空腹時高値が心血管疾患リスクを高めることがエビデンスとして明確になったためです。この変更は、従来の空腹時採血だけでなく、日常的な食後の状態でも脂質異常症のリスクが評価されるようになったことを意味します。これにより、患者は「健康診断の時だけ注意すれば良い」という認識から、「普段の食生活が重要である」という意識へと転換する必要があります。検査のタイミングに左右されず、より実態に近いリスク評価が可能になったことで、未病段階での予防的アプローチや、より個別の生活指導の提供が期待されます。
高齢者における有病率と重要性
脂質異常症は、日本において非常に多くの国民が抱える一般的な健康問題です。2019年の国民健康・栄養調査によると、総コレステロール値が240mg/dL以上の人の割合は、男性で12.9%、女性で22.4%に上り、約2200万人が脂質異常症と推計されています。特に女性高齢者における有病率の高さは、ホルモンバランスの変化など、加齢に伴う生理的要因が強く関与している可能性を示唆しています。これだけ多くの人々が罹患しているにもかかわらず、自覚症状がないために放置されやすいという現状は、将来的な心血管疾患患者の増加を招き、個人だけでなく医療システム全体に大きな負担をかける可能性があります。この「国民病」ともいえる状況に対し、早期発見・早期治療の重要性を強く認識し、定期的な健康チェックアップの習慣化を促すことが極めて重要です。
以下に、脂質異常症の診断基準をまとめます。
表1:脂質異常症の診断基準(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より)
脂質項目 | 診断基準値(空腹時採血) | 随時採血(中性脂肪のみ) | 状態 |
LDLコレステロール | 140mg/dL以上 | - | 高LDLコレステロール血症 |
LDLコレステロール | 120~139mg/dL | - | 境界域高LDLコレステロール血症 |
トリグリセライド(中性脂肪) | 150mg/dL以上 | 175mg/dL以上 | 高トリグリセライド血症 |
HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | - | 低HDLコレステロール血症 |
Non-HDLコレステロール | 170mg/dL以上 | - | 高Non-HDLコレステロール血症 |
Non-HDLコレステロール | 150~169mg/dL | - | 境界域高Non-HDLコレステロール血症 |
この表は、患者が自身の健康診断結果と照らし合わせ、脂質異常症の状態を客観的に理解する上で役立ちます。特に「境界域」の概念を明示することで、「まだ大丈夫」と安易に自己判断するリスクを低減し、「注意が必要な段階」であることを認識させる効果があります。空腹時と随時のトリグリセライド値の違いを明記することで、最新のガイドラインに基づいた正しい知識を提供し、患者が自身の状態を正確に把握する手助けとなります。
放置するとどうなる?高齢者の脂質異常症が招く深刻なリスク
動脈硬化の進行メカニズム
脂質異常症を放置すると、血液中の過剰なLDLコレステロールや中性脂肪が血管の壁に徐々に蓄積し、血管の内腔を狭くしていきます。この状態が「動脈硬化」です。さらに、HDLコレステロールが低いと、血管に蓄積したコレステロールの回収が滞り、動脈硬化の進行を加速させる要因となります。動脈硬化は、血管が硬く、もろくなり、血液の流れが悪くなることで、全身の臓器に様々な悪影響を及ぼします。

心筋梗塞や脳梗塞など、生命に関わる病気のリスク
動脈硬化が進行すると、以下のような生命に関わる重大な疾患を発症するリスクが著しく高まります。
心筋梗塞
心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が動脈硬化により狭窄・閉塞し、心筋に血液が届かなくなる病気です。突然の激しい胸の痛みとして現れることが多く、心臓の機能が著しく低下し、生命を落とすことも少なくありません。
脳梗塞
脳の血管が動脈硬化により詰まり、脳細胞に血液が届かなくなる病気です。手足の麻痺、言語障害、意識障害などを引き起こし、死亡に至るか、重い後遺症を残す可能性があります。脳血管疾患は、日本の高齢者が要介護となる原因の第2位であり(2019年国民生活基礎調査)、65歳以上の死因の第4位と推定されています(2022年人口動態統計)。
心疾患
65歳以上の死因の第2位と推定されており、その多くは動脈硬化性疾患が原因です。
急性膵炎
特に中性脂肪が異常に高値(500mg/dL以上)になると、膵臓に炎症を起こす急性膵炎を発症するリスクがあります。これは激しい腹痛を伴い、命に関わる緊急性の高い病態です。
脂質異常症は自覚症状に乏しいにもかかわらず、長年放置されると動脈硬化が静かに進行し、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な状態に陥る危険性があります。この「無症状から突然の発症」というギャップは、患者にとって最も恐ろしい側面であり、予防の重要性を強く訴える根拠となります。症状がないことの安心感は偽りであり、水面下で進行する深刻なリスクがあることを、具体的な病名と症状を挙げて明確に伝える必要があります。特に高齢者では、一度これらの疾患を発症すると回復が難しく、後遺症が残りやすい傾向があるため、早期の医療介入が極めて重要です。
QOL(生活の質)の低下と要介護状態への影響
これらの疾患を発症した場合、たとえ命が助かったとしても、重い後遺症によって日常生活に大きな支障をきたし、生活の質(QOL)が著しく低下する可能性があります。寝たきりや要介護状態となり、ご自身だけでなくご家族の身体的・精神的・経済的負担も増大する事態は避けたいものです。高齢者にとっての「健康」は、単に病気がないことだけでなく、「これまで通りの生活ができること」「家族に負担をかけずに自立できること」といった具体的な希望に繋がります。スタチン治療は、脳血管疾患や心血管イベントを減少させることで、高齢者のADL(日常生活動作)の低下を抑制する効果も期待されており、生活の質を維持する上で重要な役割を担います。脂質異常症の管理は、単に病気を治療するだけでなく、患者の豊かな人生と自立した生活を守る上で不可欠な取り組みであると考えられます。
エビデンスに基づく早期発見・治療の重要性
一次予防と二次予防の考え方
脂質異常症の治療は、病気になる前の段階で将来の病気の発症を防ぐ「一次予防」と、すでに疾患を発症している方が再発や重症化を防ぐ「二次予防」の両面からアプローチすることが重要です。適切な診断と治療、そして生活習慣の改善によって、これらのリスクは大きく低減できることが科学的に示されています。
薬物治療(スタチンなど)の有効性と高齢者への配慮
スタチンの有効性
大規模な臨床試験やメタ解析により、スタチン系薬剤は高齢者においても冠動脈疾患、非致死性心筋梗塞、致死性および非致死性脳卒中のリスクを有意に低下させることが示されています。特に、冠動脈疾患の既往がある高齢者(二次予防)においては、スタチンの効果は明確であり、その有効性が確立されています。
PROSPER試験では、70〜82歳の患者を対象にプラバスタチンを投与した結果、冠動脈疾患死、非致死性心筋梗塞、致死性および非致死性脳卒中の複合イベントが15%有意に低下しました。
60歳以上の高齢者を対象としたスタチン治療のメタ解析では、プラセボと比較して総死亡が15%減少、冠動脈疾患死が23%減少、致死性・非致死性心筋梗塞が26%減少、致死性・非致死性脳卒中が24%減少したと報告されています。
高齢者における一次予防のエビデンス
一方で、75歳以上の後期高齢者における脂質異常症に対する薬物治療の一次予防効果については、まだ十分なエビデンスが確立されていない部分も存在します。しかし、コレステロール値の上昇による心血管イベントの絶対リスクは加齢とともに増加するため、個々の患者の状況に応じた慎重な検討が不可欠です。
治療の注意点と個別化
高齢者の治療においては、動脈硬化性疾患以外の複数の疾患併存、臓器機能の低下、薬物代謝能力の低下、多剤併用、低栄養、フレイル(虚弱)など、考慮すべき点が多岐にわたります。そのため、一律の治療ではなく、患者一人ひとりの身体機能、併存疾患、生活状況を総合的に判断し、最適な治療計画を立てる「個別化医療」が不可欠です。
スタチンは第一選択薬となりますが、副作用のリスクを考慮し、低用量からの開始や、エゼチミブなど他の薬剤との併用も検討されます。
トリグリセライドが高い場合に用いられるフィブラートは、腎機能が低下している患者では横紋筋融解症の危険性が高まるため、使用時には細心の注意が必要です。高齢者、特に後期高齢者においては、画一的な治療方針ではなく、個々のリスクとベネフィットを慎重に評価する必要があります。これは、医療機関が単にガイドラインに従うだけでなく、患者の全身状態を総合的に判断し、最適な治療計画を立案する専門性を持っていることを示す機会となります。患者が抱く「高齢だから治療は難しい」「薬漬けになるのでは」といった不安を解消し、丁寧な説明と安心感を提供することが、信頼関係の構築に繋がります。
治療中断の検討
終末期の患者で余命が1年未満と予測される場合、スタチン治療の中止は安全であり、生活の質(QOL)の改善や医療費の削減につながる可能性が報告されています。これは、患者の人生の質を最優先する「全人的医療」の観点からも重要な考慮事項となります。
今日からできる!脂質異常症の予防と改善のための生活習慣
生活習慣改善の重要性
脂質異常症の治療の基本は、薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法を含む生活習慣の改善です。これは、薬物治療を受けている患者にとっても、その効果を最大化し、長期的な健康維持に不可欠な要素となります。薬だけで治るものではなく、日々の生活が治療効果を大きく左右することを認識することが重要です。高齢者においては、長年の生活習慣を変えることは容易ではありませんが、小さな一歩からでも始めることの重要性、そしてそれが将来の健康寿命に直結するという具体的なメリットを提示することで、行動変容を促すことができます。
食事療法の具体的なポイント
総エネルギー摂取量の管理
適正な体重を維持するため、身体活動量に見合ったエネルギー摂取量を心がけることが推奨されます。
脂質の質に注意
肉の脂身、動物脂、加工肉、鶏卵の大量摂取は控えましょう。特に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸はLDLコレステロールを増加させる原因となります。
魚(特にn-3系多価不飽和脂肪酸が豊富な青魚)、大豆製品、低脂肪乳製品の摂取を増やすことが推奨されます。
糖質とアルコールの制限
主食や甘いお菓子など糖質の摂り過ぎは中性脂肪を増やす原因となります。アルコールは1日25g以下に抑えることが推奨されます。
食物繊維の積極的摂取
未精製穀類、緑黄色野菜、海藻、キノコ、大豆製品など、食物繊維を多く含む食品を摂ることで、血清脂質の改善が期待できます。
塩分制限
食塩の摂取は1日6g未満を目標にしましょう。
理想的な食事
伝統的な一汁三菜の日本食は、LDLコレステロールや中性脂肪が少ない理想的な食事とされています。
効果的な運動療法のすすめ
種類と強度
早歩き、スロージョギング、水泳、サイクリングなど、中強度(「楽である~ややきつい」と感じる程度)の有酸素運動が推奨されます。
時間と頻度
1日合計30分以上を毎日続けることが望ましいですが、少なくとも週3日は実施しましょう。10分間の運動を数回に分けて合計30分以上としても効果的です。
効果
運動はHDLコレステロールを増やし、中性脂肪を減らす効果があります。長期的な継続が重要です。
禁煙・節酒の重要性
禁煙
喫煙は動脈硬化を促進する最大の危険因子の一つです。禁煙は、心血管疾患の一次・二次予防のために強く推奨されます。受動喫煙も避けるべきです。医師による禁煙アドバイスは禁煙率を1.7倍に高めるというエビデンスも存在します。禁煙に伴う体重増加のデメリットは、2〜4年の禁煙継続による心血管疾患リスクの減少によって凌駕されることが示されています。
節酒
多量飲酒は動脈硬化性疾患のリスクを高めます。アルコールの摂取は1日25g以下に抑えることが推奨されます。
特定の生活習慣改善だけでなく、複数の要素を組み合わせることで、より高い治療効果が期待できます。例えば、運動療法と同時に食塩摂取量やアルコール摂取量の制限、禁煙などを行うことは、相乗効果を生み出し、より効果的な脂質異常症の改善に繋がります。
以下に、脂質異常症の改善に役立つ生活習慣のポイントをまとめます。
表2:脂質異常症の改善に役立つ生活習慣のポイント
カテゴリ | 具体的なポイント |
食事 | 総エネルギー摂取量の適正化(標準体重維持) |
肉の脂身、動物脂、加工食品、卵黄など、飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・コレステロールの制限 | |
魚介類(特に青魚)、大豆製品、野菜、海藻、未精製穀類の積極的摂取 | |
主食や菓子など、糖質の摂り過ぎに注意 | |
食塩摂取量6g/日未満を目標 | |
運動 | 中強度以上の有酸素運動(早歩き、スロージョギング、水泳、サイクリングなど) |
1日合計30分以上を週3日以上(可能なら毎日)実施 | |
その他 | 禁煙・受動喫煙回避 |
アルコール25g/日以下に制限 |
この表は、患者が自身の生活習慣を見直す際のチェックリストとして機能し、医療機関での指導内容の予習・復習にも役立ちます。患者の主体的な健康管理を支援する上で、このような具体的な情報提供は非常に有効です。
くりた内科・内視鏡クリニックでの脂質異常症治療
くりた内科・内視鏡クリニックでは、高齢者の脂質異常症治療において、患者一人ひとりの状態を深く理解することを重視した診療を提供しています。

患者一人ひとりに合わせた丁寧な診療
高齢者においては、複数の疾患併存、臓器機能の低下、多剤投与、低栄養、フレイルなど、治療に際して留意すべき点が多岐にわたります。そのため、当クリニックでは、患者の併存疾患の有無、現在の身体活動レベル、服用中の薬剤、そして何よりも患者自身の生活背景や価値観を丁寧に伺い、最適な治療計画を共に立案しています。患者が自身の話を聞いてくれ、自分に合った治療を提案してくれる医師を求めていることを理解し、特に高齢者が抱く多剤併用や副作用への不安に対し、丁寧な説明と安心感を提供しています。
最新のエビデンスに基づいた治療選択肢
最新の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」に基づき、エビデンスが確立された薬物療法(スタチンなど)を第一選択としつつ、患者の状態に応じてエゼチミブなどの併用療法も検討しています。また、腎機能低下のある患者へのフィブラート使用の注意点など、高齢者特有のリスクにも細心の注意を払っています。特に、75歳以上の後期高齢者における一次予防のエビデンスがまだ限定的である点を踏まえ、画一的な治療ではなく、患者にとっての最善を追求する姿勢を貫いています。当クリニックは、最新の専門知識を持ちつつも、それを患者一人ひとりの状況に合わせて柔軟に適用することで、患者の人生の質を最優先する「全人的医療」を提供できることを強みとしています。
生活習慣改善へのきめ細やかなサポート
薬物療法だけでなく、食事や運動、禁煙、節酒といった生活習慣の改善が治療の土台であることを深く認識しています。当クリニックでは、管理栄養士と連携した食事指導、無理なく継続できる運動のアドバイス、禁煙サポートなど、患者が日々の生活の中で健康的な習慣を身につけられるよう、きめ細やかなサポートを提供しています。医師による禁煙アドバイスが禁煙率を1.7倍に高めるというエビデンスに基づき、積極的に禁煙をサポートしています。患者が薬を飲めば安心という誤解を抱きがちですが、根本的な改善には生活習慣の変革が不可欠であることを強調し、患者の生活全体を見渡し、個々の状況に合わせて優先順位をつけながら、無理なく続けられる多角的な改善プランを提案しています。
まとめと受診のおすすめ:早期の相談が、あなたの未来と健康を守ります
高齢者の脂質異常症は、自覚症状がないまま動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な病気を突然引き起こす危険性を内包しています。この状態を放置することは、生命に関わるだけでなく、その後の生活の質を大きく損なうことにも繋がります。
しかし、適切な診断と治療、そして生活習慣の改善によって、これらのリスクは大きく低減できることが科学的に示されています。特に高齢者においては、早期からの介入が、健康寿命を延ばし、活動的な毎日を維持するために不可欠です。恐怖を煽るだけでなく、治療によって得られる希望を明確に伝えることが重要です。高齢者にとっての健康は、単に病気がないことだけでなく、「これまで通りの生活ができること」「家族に負担をかけずに自立できること」といった具体的な希望に繋がります。
くりた内科・内視鏡クリニックでは、最新のエビデンスに基づきながらも、患者一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診療を心がけています。脂質異常症は、決して一人で抱え込む病気ではありません。不安なこと、気になることがあれば、どんな些細なことでも構いません。どうぞお気軽に当クリニックにご相談ください。定期的な健康診断で脂質の数値が気になった方、ご家族に脂質異常症の方がいる方、あるいは「最近、疲れやすい」「なんとなく体調がすぐれない」と感じる方も、まずは一度、専門医の診察を受けることを強くお勧めします。早期の相談が、患者の未来と健康を守る第一歩となります。
