「腸活」のススメ:美肌・免疫・長寿を叶えるためのエビデンス—自己流の限界を超える、くりた内科のオーダーメイド腸活プログラム —
- くりた内科・内視鏡クリニック

- 2 日前
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現代人の抱える「隠れた不調」と腸活の定義
現代を蝕む「腸活迷子」と「隠れ不調」
近年、「腸活」という言葉は広く知られるようになりましたが、情報が溢れる中で「腸活迷子」となってしまい、何が本当に自分に合っているのか、正しい方法は何なのか、見失っている方が少なくありません。
特に現代社会のストレスや不規則な生活は、体の不調を引き起こしやすくします。興味深い調査結果として、夏から秋にかけての寒暖差の繰り返しに体が対応できず、自律神経が乱れて体調を崩す「秋バテ」について、8 割以上の生活者がその症状を自覚せずに体調を崩している「隠れ秋バテ」の可能性があることが示されています。倦怠感、疲れが取れない、やる気が出ないといった具体的な症状は、実は腸の健康状態が悲鳴を上げているサインかもしれません。
多くの人々は、これらの不調の予防や対策として腸内環境を整える「腸活」が有効であることをまだ十分に認識していません。生活者が体調管理で行っている対策で最も多かったのは「特に行っていなかった」という回答であり、日常的な体調管理ができていない現状が浮き彫りになっています。
当院では、こうした多忙な現代人が抱える「忙しさ」「ストレス過多」「情報過多」という三重苦を背景に、自己流に頼らず、医学的なエビデンスに基づいた確かな「羅針盤」を提供することが、真の健康への第一歩であると考えています。
腸活の明確な定義と当院が目指す目的
「腸活」とは、単に便通を良くするための活動を指すわけではありません。これは、腸の中に生息する善玉菌を強化し、腸内環境を整えてそれを長期的に維持すること、そしてひいては全身の調子を整えるあらゆる腸の活動を総称するものです。
腸内環境が整うことによって、お通じが良くなることはもちろんですが、それ以外にも、肥満の解消、免疫力の向上、美肌効果、精神的な安定など、多岐にわたるメリットが期待されています。
しかし、くりた内科・内視鏡クリニックが提唱する腸活の真の目的は、こうした表面的な症状の改善にとどまらず、さらに深いレベルでの健康維持にあります。それは、全身の健康の基盤となる腸内フローラを最適化することを通じて、「健康寿命の延伸」と「免疫力の向上」を実現することです。健康で若々しい生活を長く維持するためには、腸内環境を整える活動を日々の生活に取り入れることが極めて重要です。
腸内フローラと全身の連関:短鎖脂肪酸(SCFA)の科学
腸内フローラの理想的なバランスと多様性
腸内フローラを構成する細菌の種類やそのバランスは、人それぞれ異なっています。同じ人であっても、食生活、生活環境、そして加齢の影響によって日々変化しています。一般的に、肉類や甘いもの、アルコールを好む食習慣は悪玉菌優勢の状態になりやすい傾向があります。
腸内フローラの理想的な構成は、善玉菌が2 割、悪玉菌が1 割、そして日和見菌が7割というバランスで、多種多様な菌がバランスよく共生している状態とされています。
加齢に伴い、腸内フローラは悪玉菌の割合が増加し、細菌の多様性も失われていくことが知られています。しかし、海外の研究では、90 歳を超えても若々しい高齢者の腸内フローラが、健康な30 代の若者と変わらない多様性を保っていたことが報告されています。この事実は、私たちが食生活や生活習慣を見直すことによって、年齢に関係なく、多彩な細菌がバランスよく生息する腸内フローラを維持することが可能であることを示唆しています。
腸年齢の概念と若々しさを保つ秘訣
腸内環境の悪化、すなわち腸管運動の鈍化、酪酸産生菌の活性低下、そしてビフィズス菌の急激な減少により、腸内細菌の状態が変化することを「腸年齢の老化」と呼びます。
この腸年齢の老化度は、生活習慣や排便状況から自己診断することが可能です。以下のチェックリストは、腸年齢の老化度を測るための目安となります。
腸年齢チェックシート(一部抜粋)
(判定基準例:3~5 個:実年齢+10 歳、6~8 個:実年齢+20 歳(崖っぷち)、9 個以上:実年齢+30 歳(老人状態))
この結果を受け、腸年齢が実年齢を上回っている方は、腸活の重要性を認識し、今日から生活習慣の改善に取り組むことが、健康寿命の延伸に向けた必須のステップとなります。
短鎖脂肪酸(SCFA):天然の「痩せ薬」と免疫ブースター
腸活の最大の目標の一つは、腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖を分解することによって生成される代謝産物、すなわち短鎖脂肪酸(Short-Chain Fatty Acids: SCFA)の量を増やすことです。SCFA は、酪酸、酢酸、プロピオン酸などが代表的であり、これらは全身の健康を司る「マスターキー」として機能します。
代謝と体組成の改善(抗肥満作用)のメカニズム
SCFA には、摂取した栄養素が過剰に脂肪として蓄積することを防ぐ、強力な抗肥満作用があります。そのメカニズムは、短鎖脂肪酸受容体を介した複雑な生物学的経路によって裏付けられています。
腸内細菌が生成するSCFA は、脂肪細胞に多く存在する短鎖脂肪酸受容体「GPR43」を活性化させます。このGPR43 が活性化されることで、脂肪細胞内への脂肪酸の蓄積が効果的に防がれることが明らかになっています。さらに、GPR43 は、脂肪細胞への糖や脂肪酸の過度な取り込みを特異的に抑制する働きを持つため、結果として脂肪細胞の肥大化を防ぎ、体脂肪率の改善や体重、BMI の減少につながると推測されています。
加えて、SCFA は、腸管や交感神経節に高発現している別の受容体「GPR41」にも認識されます。GPR41 の活性化はエネルギー消費を促進し、生体内のエネルギー恒常性(ホメオスタシス)の維持に寄与します。これは、基礎代謝の改善や内臓脂肪レベルの減少といった体組成の改善が、SCFA の作用によってもたらされる理由の一つと考えられます。
つまり、短鎖脂肪酸の生成を促す腸活は、単なるダイエットではなく、「肥満を防ぎ、体組成を改善する生物学的な仕組み」そのものを強化していると言えます。
腸管免疫の強化と全身の防御機能
腸は「人体最大の免疫器官」とも呼ばれ、免疫細胞の約70%が集積している場所です。腸が元気で免疫力が高まることは、ウイルスや風邪の侵入をブロックし、病気の原因となる活性酸素の害を抑制することで、がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病の予防にもつながります。
SCFA 産生菌の中でも、酪酸産生菌の一つであるフィーカリバクテリウム属(Faecali)は、腸管免疫の重要な指標とされています。この菌は、大腸内での免疫グロブリンA(IgA)やムチンといった物質の分泌に関与し、腸管粘液バリア機構の増強に寄与することが、これまでの文献で示唆されています。この腸管バリア機能の強化こそが、全身の免疫力を高め、体調不良を防ぐ鍵となります。
SCFA の生成を促す活動は、「代謝・体組成の改善」と「外部からの病原体や炎症をブロックする免疫防御システム」という、全身の健康を守る二つの重要な側面を、同時に強力に高めているのです。
脳腸相関:腸が心と美肌を創るメカニズム
腸が司る「心の健康」
脳と腸は、自律神経を介して緊密に連携しており、この密接なつながりは「脳腸相関」と呼ばれています。腸の調子が悪いとストレスが脳に伝わり、脳のストレスもまた腸の調子を悪化させるという相互作用があります。
実際、うつ病の患者には便秘や下痢が多いというデータが報告されており、心の健康と腸内環境が密接につながっていることが示唆されています。
さらに注目すべきは、精神の安定や幸福感に深く関わる神経伝達物質、セロトニンです。この「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンのうち、実に95%が脳ではなく、腸でつくられています。腸が健康的で活発に機能すると、セロトニンの生成が促進され、幸福感を強く感じやすくなり、結果的にストレスに負けにくい精神状態を保つことができます。幸福感が高まり笑顔が増えることは、血行を良くし、顔色や皮膚のたるみの改善にも寄与します。心と体を健全に保つためには、腸の健康を維持することが不可欠なのです。
腸活と美肌・アンチエイジングの科学
腸の不調は、体の内側から老化を加速させ、肌の状態にも悪影響を及ぼします。
慢性的な便秘が続くと、摂取した栄養素は全身の細胞に十分に運ばれず、脂肪として蓄積されやすくなります。これにより代謝が低下し、太りやすい体質になってしまいます。また、肌のターンオーバー(細胞の入れ替わり)も阻害されるため、肌荒れや吹き出物ができやすくなります。
糖化(AGEs)による老化の加速
老化を進行させる主要な原因の一つに「糖化」があります。糖質の多い食品を過剰に摂取し、体内で使い切れずに余った血液中の糖が、体内のタンパク質に絡みつくことで、終末糖化産物(AGEs)という有害な糖化原因物質が生成されます。
肌のハリを保つコラーゲンもタンパク質の一種です。糖化が進行すると、コラーゲンから柔軟性が失われ、肌の張りが低下します。同時に血流も悪化し、たるみやシミなど肌の老化が加速する原因となります。
糖化は、単に高血糖な食事習慣だけでなく、偏った食事や睡眠不足など、生活習慣の乱れからくる腸内フローラのバランスの崩れによっても促進され、結果としてAGEsの発生を助長し、代謝を低下させます。これにより老化のスピードがアップし、肌の衰えが目に見えて進行するのです。
腸活による皮膚機能の向上
食物繊維の積極的な摂取は、腸内環境を整えるだけでなく、美肌にもつながる可能性が示唆されています。特定の水溶性食物繊維であるイヌリンに関する研究では、「肌の保湿力(バリア機能)を高め、肌の弾力を維持する」といった美容機能についての報告もあります。これは、腸内環境の改善が、皮膚機能の適切な向上に寄与している可能性を示しています。
実践ガイド:エビデンスに基づく「食事の腸活」
健康を維持し、腸内環境を理想的な状態に整えるためには、腸内細菌が喜ぶ食材を意識的に選ぶことが不可欠です。腸活を成功させるための食事のポイントを、エビデンスに基づきご紹介します。
プロバイオティクス(菌そのもの)の多様性
腸を元気にする菌の宝庫が、発酵食品です。発酵食品には多種多様な菌が生きており、これらはプロバイオティクスとしての役割を果たします。理想的な腸内環境は、多種多様な菌がバランスよく共存している状態であるため、発酵食品は1 種類に偏らず、毎日さまざまな種類を摂取するのが最善です。
最低でも1日2品目以上の発酵食品を日々の食事に取り入れるよう推奨されています。
発酵食品を継続的に摂取することで、腸内が酸性に保たれ、善玉菌が増えやすい環境が整います。さらに、腸内細菌が発酵食品を分解する過程で短鎖脂肪酸が生成され、これが腸の働きを力強くサポートします。
具体的な発酵食品と含まれる菌の例は以下の通りです。
プレバイオティクス(菌の餌)としての食物繊維とオリゴ糖の賢い摂り方
腸内フローラを整え、短鎖脂肪酸の生成を促すためには、善玉菌の「餌」となるプレバイオティクス、すなわち食物繊維とオリゴ糖の積極的な摂取が欠かせません。食物繊維の摂取量が多い高齢者は、腸内細菌の多様性が保たれていることが研究で確認されています。
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2 種類があり、それぞれの特徴を理解し、便の状態に応じて摂取量を調整することが腸活成功の鍵です。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の役割
多くの人が「食物繊維=野菜サラダ」と考えがちですが、キャベツやレタスなどの葉物野菜は不溶性食物繊維が主体です。便秘で悩む患者様の中には、不溶性食物繊維を摂りすぎた結果、便のかさが増えすぎてしまい、かえってお腹が張ったり、便がスムーズに出なくなったりするケースが非常に多く見受けられます。
【便の状態に合わせた摂取調整法】
便が硬く、お腹が張る場合
便を柔らかくする作用を持つ水溶性食物繊維の摂取を意識的に増やしてください。
便の量が少なく感じる場合
便のかさを増し、腸を刺激する不溶性食物繊維を増やすと良いでしょう。
食物繊維をバランスよく摂ることで、天然の痩せ薬とも呼ばれる短鎖脂肪酸が腸内に豊富に作られ、自律神経機能が高まり、代謝がアップし、ダイエットにも役立つという相乗効果が得られます。
オリゴ糖の活用と注意点
オリゴ糖もまた、腸内環境を整えるプレバイオティクスです。オリゴ糖は食後の血糖値の上昇を抑える作用を持つとともに、腸内のビフィズス菌の栄養源となり、善玉菌の繁殖を強力にサポートします。
オリゴ糖を含む食材としては、バナナ、ごぼう、蜂蜜などが挙げられます。
しかし、注意点として、過敏性腸症候群(IBS)の下痢型やガス型の方においては、オリゴ糖を含む食品の摂取が逆に症状を悪化させる可能性があるため、摂取量には注意が必要です。
糖質・脂質の管理と注意点
糖質制限の落とし穴
健康のために糖質制限ダイエットを行う方が増えていますが、極端にご飯やパンなどの主食を全く摂らない食生活には注意が必要です。炭水化物には、エネルギー源となる糖質だけでなく、腸内フローラの栄養源となる食物繊維(レジスタントスターチなど)も含まれています。
腸内細菌の中には「ダイエット菌」とも呼ばれる菌群があり、これらは米などの穀類に含まれるレジスタントスターチやオリゴ糖などを主な栄養源としています。これらの栄養源を断つような過剰な糖質制限は、食物繊維の摂取量を減らし、腸内細菌の活動を阻害する可能性があります。太る問題の根本は、炭水化物ばかりを食べ過ぎてしまう食生活にあるため、適度な炭水化物制限は有効ですが、過剰な制限は避けるべきです。
良い脂質の摂取
便秘の解消には、良質な脂質の摂取が効果的です。特にオリーブオイル、亜麻仁オイル、エゴマオイルなどのオレイン酸を多く含む油が推奨されます。
オレイン酸には抗酸化作用があり、血管を丈夫にしたり血流を改善したりする効果があり、これが腸の機能を向上させます。また、これらの良質な脂質は、腸内の炎症を鎮め、善玉菌が増えやすい腸内環境を整えるだけでなく、便の通りを良くする「潤滑油」としての役割も期待できます。
実践ガイド:ライフスタイルで腸を育てる「養生」の知恵
腸活は、特定の食品を摂るだけでなく、生活習慣全体を見直す包括的なアプローチです。東洋医学では、適度な食事、適度な運動、十分な休養という「日々の養生」が生体防御機能(免疫力)を増すとされており、この考え方は腸活においても重要です。
運動とリラックス:自律神経の調整
ウォーキングなどの適度な運動は、腸内フローラの改善に役立つことが分かっています。運動によって副交感神経が優位になり、腸の蠕動運動が活発化し、排便がスムーズに促されます。
ストレスは交感神経を緊張させ、腸の動きを鈍らせる悪因となります。交感神経の緊張を緩め、リラックスした状態(副交感神経優位)を保つために、自然との触れ合い、アロマテラピー、瞑想、腹式呼吸などを取り入れ、ストレスを上手に発散させる工夫が必要です。これにより、腸内細菌の活動を高めることができます。
睡眠と体内時計
腸の活動は私たちの体内時計(サーカディアンリズム)と密接な関係にあります。生活リズムが不規則になると、腸のリズムも乱れてしまいます。腸の活動を正常に保つためには、規則正しい生活を送り、体内時計を整えることが大切です。
特に食事に関しては、忙しくても最低限、1 日3 度の食事を決まった時間に摂ることを推奨します。理想的な睡眠時間は7 時間とされており、十分な休養は体の防御機能を高め、老化を防ぐことにつながります。
また、体調改善に最も効果を実感しやすい取り組みとして「睡眠・休暇」が挙げられており、これは栄養バランスの良い食事や適度な運動よりも高い評価を得ています。忙しい現代人にとって、十分な睡眠と休養を確保することは、腸活における最も効果的な対策の一つです。
消化と排泄の習慣化
咀嚼と消化の促進
食べ物をよく噛んで食べる習慣は、腸の負担を軽減します。唾液に含まれる酵素は、体内の毒素を無害化する作用があり、消化器官の余計な負担を減らすことにつながります。
水分補給と排便習慣
朝起きてすぐにコップ1 杯の水を飲む習慣は、腸の蠕動運動のスイッチを入れ、心地よい便意を促してくれます。皮膚の潤いにも水分補給は欠かせません。ただし、カフェインやアルコールなどの利尿作用があるものは体外へ水分を排出してしまうため、それ以外の方法でこまめに水分を補給することが大切です。便が硬い方は、マグネシウムを含む水を飲むことも効果的です。
排便の周期には個人差がありますが、一般的には食後に排便しやすくなります。時間がなく焦ってトイレに行くと、交感神経が優位になり腸の動きが悪くなるため、食後などゆったりとした余裕のある時間帯を選ぶことが重要です。便意がない方でも、毎日5〜10 分、時間を決めてトイレに入る習慣をつけることを推奨します。
理想的な排便姿勢と腸マッサージ
直腸から肛門にかけては曲がっているため、便がストレートに出にくい構造になっています。排便時には、かかとを上げて前かがみになる、ロダンの「考える人」の姿勢が推奨されます。この姿勢は、適度な腹圧がかかり、腸が肛門に向かって真っすぐになり、恥骨直腸筋が緩みやすくなる結果、便が出やすくなります。
また、腸の活動を助けるために、腹式呼吸をしながら上行結腸、横行結腸、下行結腸、S 状結腸の順番で、ゆっくりと腹部を押さえるマッサージを行うことも効果的です。
腸のお掃除タイム(MMC)の確保
胃腸が大きく収縮し、腸のお掃除をしてくれているサインが、お腹が空いたときに鳴る「ゴロゴロ」という音です。これは、空腹時に十二指腸から分泌されるモチリンという物質が胃腸の運動を刺激する**伝播性複合運動(MMC)**によるものです。
しかし、1 日中だらだらと間食を続けていると、胃腸が常に活動している状態になり、このお掃除の時間が十分に確保できません。間食を控え、特に夜は睡眠中の腸の活動を妨げないよう、寝る3 時間前までに食事を終えるか、腹6 分目にしておくのが、腸のお掃除を促し、ダイエットにもつながる理想的な習慣です。
腸活を支えるサプリメント:科学的根拠に基づく選択肢
日々の食事や生活習慣の見直しが腸活の基本ですが、忙しい現代人にとって、必要な菌や栄養素を補うためのサプリメントは強力な味方となります。ここでは、特に腸内環境の改善や短鎖脂肪酸の生成に関わる主要な成分を含む代表的な製品をご紹介します。
腸活の鍵となるのは、生きた菌そのもの(プロバイオティクス)と、その菌の餌となる成分(プレバイオティクス)をバランスよく摂ることです。
酪酸菌配合サプリメント(短鎖脂肪酸の源)
短鎖脂肪酸の生成を担う重要な善玉菌が酪酸菌です。酪酸菌は、腸内で短鎖脂肪酸を生成し、抗肥満作用や免疫力向上に貢献することが知られています。
乳酸菌・ビフィズス菌配合サプリメント(プロバイオティクス)
腸内環境を整える代表的なプロバイオティクスです。
発酵性食物繊維製品(プレバイオティクス)
善玉菌の餌となり、短鎖脂肪酸の生成を助けます。
重要な受診の目安:セルフケアの限界とレッドフラッグサイン
腸活は、健康維持と病気予防のための素晴らしい取り組みですが、自己流のケアには限界があり、時には専門的な診断と治療が不可欠な器質的な疾患が隠れていることがあります。
以下に示す「レッドフラッグサイン」が見られる場合や、慢性的な不調が続く場合は、自己判断で市販薬を使い続けることはせず、消化器内科専門医であるくりた内科・内視鏡クリニックに速やかにご相談ください。
緊急性の高いレッドフラッグサイン
以下の症状は、腸閉塞や消化管出血、腹膜炎など、生命に関わる緊急性の高い疾患が疑われるサインであり、市販薬での対処は厳禁です。
自己判断を避け、受診を検討すべき「危険なサイン」(レッドフラッグ)
血便の最も多い原因は痔であることも知られていますが、大腸がんなどの重篤な疾患が隠れている可能性を否定するためには、一度専門的な検査を受けることが最善です。
慢性的な不調と市販薬の依存リスク
慢性的な便通異常を市販薬でごまかし続けている状態も、根本的な原因を悪化させたり、薬物依存を引き起こしたりするリスクがあるため、専門医の介入が必要です。
刺激性下剤の長期連用によるリスク
便秘薬には、腸を直接刺激して蠕動運動を促す刺激性下剤(センノシド、ビサコジル、大黄などを含む漢方薬)と、便を柔らかくして排出を促す非刺激性下剤(酸化マグネシウムなど)があります。
刺激性下剤は即効性がありますが、漫然と毎日使用し、便秘薬が手放せない状態(長期連用)になると、強い腹痛、下痢の副作用、そして薬剤耐性や精神的依存性、習慣性を引き起こすという多くの問題点があります。便秘を改善したいにもかかわらず、薬なしでは排便できない状態が続いている場合は、専門的な指導が必要です。
症状の持続的な悪化
便秘や下痢が次第に悪化していく傾向が見られる場合、これは大腸がんなど器質的な疾患の進行を示すサインである可能性があります。自己流の腸活や市販薬で対応できる範囲を超えているため、原因を特定するための精密検査が必須となります。
基礎疾患との相互作用の懸念
特定の基礎疾患を持つ方は、市販の整腸薬や便秘薬の成分に注意が必要です。例えば、痛風や高尿酸血症の診断を受けている方が、乾燥酵母を含む整腸薬を服用すると、尿酸値を上昇させてしまう恐れがあるため、避けるべきです。
くりた内科・内視鏡クリニックだからできる「オーダーメイド腸活」
自己流の腸活が数ヶ月続いても効果が見られない、あるいは前述のような危険なサインが見られる場合、それはあなたの腸活の努力不足ではなく、器質的な疾患が背景に隠れているか、あるいは個人の体質に合わせた診断が不足している可能性が高いことを意味します。
専門医による精密診断と内視鏡検査の重要性
腸活を真剣に、そして安全に進めるための第一歩は、大腸の状態を正確に把握することです。
当院では、消化器内科専門医として、まずは大腸内視鏡検査(コロノスコピー)によって、大腸の粘膜の状態、炎症性腸疾患、ポリープ、初期のがん、憩室炎など、腸活では対処できない器質的な問題がないかを精密にチェックします。この検査は、単なる病気の早期発見だけでなく、これから始まる最適な腸活指導のための「安全点検」であり、「土台作り」であると位置づけられます。器質的な問題を排除・治療した上で初めて、腸活は最大の効果を発揮できるのです。
腸内環境を土台から見直す統合的アプローチ
精密診断で器質的な問題が解決された後、当院では患者様一人ひとりの生活習慣、腸内フローラの傾向、そして東洋医学的な「養生」の考え方に基づき、包括的なオーダーメイドの腸活プログラムを提供します。
科学に基づいた栄養指導
短鎖脂肪酸の生成を最大化するため、個人の便の状態や食習慣に合わせた、具体的な食物繊維(水溶性:不溶性)やオリゴ糖の摂取量と食材の選択を指導します。過敏性腸症候群(IBS)など、特定の食品群で症状が悪化する可能性がある体質の方に対しては、専門的な知見に基づいた食事管理を行います。
ライフスタイル改善の徹底サポート
当院では、腸の健康には食事だけでなく、「養生」としてのライフスタイル全体が関与することを重視しています。特に、多くの人が効果を実感している「睡眠・休養」に焦点を当;て、多忙な日常でも無理なく続けられるよう、規則正しい食事時間の設定、適度な運動、ストレスを軽減するためのリラックス法の導入など、生活リズムの再構築をサポートします。
専門的な治療オプションの併用
慢性的な便通異常や、食事・生活習慣の改善だけでは解決が難しい過敏性腸症候群(IBS)などの機能性消化管疾患に対しては、最新の消化器内科の知見に基づいた薬物療法や漢方薬療法を適切に組み合わせ、根本的な症状の緩和を目指します。
結び:健康長寿へ、今日の一歩を踏み出しましょう
腸の健康は、私たちが生き生きとした人生を送るための基盤であり、免疫、代謝、精神の全てを司る「生命の要」です。若々しい体と心を保つ秘訣は、腸内フローラの多様性と活力を維持することにあります。
もしあなたが自己流の腸活に限界を感じているなら、あるいは、便通異常や腹部症状の中に「レッドフラッグサイン」が含まれていないか不安を感じるなら、消化器内科専門医の診断を受けることが最も安全で確実な選択です。腸活で得られるはずの効果が感じられないのは、あなたの努力不足ではなく、適切な診断と土台作りが不足しているからかもしれません。
くりた内科・内視鏡クリニックは、エビデンスに基づいた確かな診断(内視鏡検査を含む)と、あなたの健康寿命延伸に向けたオーダーメイドの腸活指導で、あなたの体と心の健康を土台からサポートします。
美と健康、そして若々しさは、「おなか」から始まります。専門的な診断とアドバイスで、今日から最高の腸活を始めましょう。まずは、お気軽にご相談ください。



