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大腸カメラを「毎年」受けろと言われるけど、本当?

  • 執筆者の写真: くりた内科・内視鏡クリニック
    くりた内科・内視鏡クリニック
  • 1 日前
  • 読了時間: 9分
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「大腸カメラは毎年受けなければいけないのでしょうか?」


この質問は、当院の診察室で患者さんから最も多く寄せられる疑問の一つです。多くの方が、検査に対して「苦しそう」「下剤を飲むのが大変」「毎年受けるのは負担が大きい」といった不安を抱えておられます。


結論から申し上げますと、必ずしもすべての方が毎年大腸カメラを受ける必要はありません。しかし、一方で、毎年あるいは短い間隔で検査を受けるべき「高リスク群」が存在することも事実です。


本記事では、この判断基準について、日本消化器病学会や日本消化器内視鏡学会などの最新のガイドラインや科学的根拠(エビデンス)に基づき、専門家の視点から分かりやすく解説いたします。大切なのは、画一的なルールに従うのではなく、ご自身の体の状態を知り、それに合わせた最適な検査プランを見つけることです。




大腸がん検診の常識をアップデート。なぜ全員が毎年ではないのか?


大腸がん検診の最大の目的は、大腸がんによる死亡率を減少させることにあります。この目的を達成するために、国や学会は科学的な根拠に基づいた効率的かつ安全な方法を推奨しています。


日本の国の指針において、40歳以上を対象とした一次スクリーニング検査として強く推奨されているのは、便潜血検査です。この検査は、便中に含まれる目に見えない微量の出血を検出するもので、ご自宅で簡単に採便できる簡便さと、死亡率減少効果が科学的に証明されている有効性を兼ね備えています。


便潜血検査はあくまで「スクリーニング」、つまり大腸がんの可能性をふるいにかけるための検査です。この検査で陽性と判定された場合は、精密検査としての大腸カメラ(大腸内視鏡検査)が推奨されます。便潜血検査の陽性を放置すると、大腸がんや進行した大腸がんのリスクが有意に上昇することが明らかになっています。そのため、陽性となった場合は「半年以内に必ず」内視鏡検査を受けることが強く推奨されています。


このように、大腸カメラ検査は、便潜血陽性者や特定の自覚症状がある方の「精密検査」または「診断検査」として位置づけられています。一般的な国民全体を対象とした対策型検診として大腸カメラが無差別に推奨されない背景には、検査に伴う合併症のリスクや、費用、時間的負担など、「無視できない不利益」が存在するためです。無症状の方すべてに毎年内視鏡検査を行うことは、期待される生存期間の延長効果よりも検査に費やす時間やリスクが大きくなるという考え方もあります。


このことから、便潜血検査という効率的で安全な第一歩を踏まえ、必要に応じて精密検査としての内視鏡検査に進むという、段階的なアプローチが科学的に最も合理的であるとされています。




あなたも該当するかも?大腸カメラを定期的に受けるべき「高リスク群」とは


では、どのような方が、便潜血検査の陽性・陰性にかかわらず、定期的な大腸カメラ検査を必要とするのでしょうか。以下の項目に一つでも該当する場合は、一般的に「大腸がんの高リスク群」と見なされ、定期的な大腸カメラ検査が強く推奨されます。



過去に大腸ポリープや大腸がんを切除した既往のある方


大腸ポリープは一度切除しても再発する可能性が高く、経過観察が不可欠です。また、初回検査時に見逃しがあった可能性も考慮し、再検査が推奨されるケースもあります。このテーマについては次章でさらに詳しく解説いたします。



大腸がんの家族歴がある方


ご家族に大腸がんを発症された方がいる場合、そうでない方と比べて大腸がんのリスクが高まることが知られています。特に、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群といった遺伝的な要因を持つ方は、大腸がんの発症リスクが非常に高いため、発症の有無にかかわらず、1〜2年に1回の大腸カメラ検査を受けることが極めて重要とされています。



潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患を患っている方


これらの病気は、大腸の粘膜に慢性の炎症を引き起こします。潰瘍性大腸炎の患者さんは、発症から7年以上経過すると、炎症が長期にわたることでがん化するリスクが高まると考えられています。そのため、少なくとも1〜2年に1回の定期的な検査が必要となります。



血便、便通異常、貧血、腹痛などの自覚症状がある方


これらの症状は、大腸がんをはじめとする何らかの消化器疾患のサインである可能性があります。便潜血検査が陰性であっても、これらの症状がある場合は、診断のために一度大腸カメラ検査を受けることが強く推奨されます。



このように、検査間隔はすべての人に一律なものではなく、個人の既往歴や家族歴、現在の症状といった要因に基づいて判断されるべきものです。ご自身の状況を正確に把握することが、不必要な不安を解消し、適切な健康管理を行う第一歩となります。




ポリープを切除したら「翌年」は本当に必要?最新エビデンスとガイドラインの考え方


大腸ポリープを切除した患者さんから、「翌年もまた検査が必要ですか?」というご質問をいただくことは非常に多いです。この疑問には、専門的な知見と患者さんへの配慮が複雑に絡み合っています。


なぜポリープ切除後に再検査が必要なのか?


大腸ポリープは切除しても、時間とともに新たなポリープが発生することが多いため、再発の早期発見を目的とした経過観察(サーベイランス)が不可欠です。また、初回の内視鏡検査で、非常に小さなポリープや、腸管のひだの裏などに隠れて見逃されたポリープが、翌年の検査で見つかることも稀ではありません。このため、ポリープが一つも発見されず、腸内がきれいな状態であることを確認できた場合を「クリーンコロン」と呼び、この状態を保つことが大腸がん予防の鍵となります。



日本の最新ガイドラインに学ぶ、再検査の間隔


大腸ポリープ切除後の再検査間隔については、これまでも様々な研究が行われてきました。かつての「大腸ポリープ診療ガイドライン2014」では、大規模な臨床試験である「Japan Polyp Study」の結果を踏まえ、一律3年間隔が推奨されていました。


しかし、2020年に新たに発表された「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン」では、より詳細なリスク層別化に基づいたプログラムが作成され、個々の患者さんの状態に応じた検査間隔が提唱されています。


以下の表は、最新のガイドラインや実臨床の考え方をまとめたものです。ご自身のケースに照らし合わせてみてください。

内視鏡検査の所見

 推奨される次回大腸内視鏡の時期

ポリープなし、または小さな過形成ポリープのみ

10年後

低リスクのポリープを切除(10mm未満 and 1〜2個)

5年後

高リスクのポリープを切除(10mm以上 or 3個以上or 高度異型腺腫)

3年後

遺伝的要因など特殊な高リスクの場合(ポリポーシスなど)

1年後

※あくまで一般的な目安であり、個々の患者さんの状態によって異なります。



ガイドラインと実臨床のギャップ


上記の表は科学的な根拠に基づく「標準的な指標」ですが、日本の実臨床においては、ガイドラインで推奨されるよりも短い間隔で検査が行われているのが現状です。


この背景には、専門医の「患者さんの安全を最大限に確保したい」という強い思いがあります。ガイドラインはあくまで全体を俯瞰した際の標準値ですが、個々の患者さんの状態や、初回の検査時の腸管の準備状態、ポリープの見落としの可能性などを総合的に判断し、より短い間隔での再検査をお勧めすることがあります。


特に、初回にポリープを切除した後の「クリーンコロン」状態を確認するために、翌年(1年後)の再検査を推奨する専門医は少なくありません。これは、単なるルールではなく、再発や見落としのリスクを限りなくゼロに近づけるための、熟練した専門家ならではの判断と言えるでしょう。




くりた内科・内視鏡クリニックだからできる、あなたの不安を解消する大腸カメラ


これまで、大腸カメラの検査頻度に関する専門的な情報をお伝えしてまいりました。しかし、どんなに科学的な根拠があっても、検査そのものへの恐怖や不安が残っていては、一歩を踏み出すのは難しいものです。


当院では、患者さんが大腸カメラに対して抱く「苦しい」「恥ずかしい」「大変そう」といった不安を解消するため、以下の3つの点にこだわり、質の高い医療を提供しています。



苦痛を最小限に抑える「無痛」検査へのこだわり


「大腸カメラは苦しい」というイメージをお持ちの方も少なくありません。その苦痛の大部分は、内視鏡の挿入時に腸が伸ばされたり、空気を入れられることによるお腹の張りから生じます。


当院の院長は、大学病院や都市部の大病院で長年の臨床経験を積んだ内視鏡専門医です。その熟練した挿入技術により、腸への負担を最小限に抑え、スムーズな検査を行います。さらに、ご希望に応じて鎮静剤を使用することで、ほとんど眠っているようなリラックスした状態で検査を受けていただくことが可能です。検査中に感じる不快感や緊張が大幅に軽減されるため、多くの患者さんが「気がついたら終わっていた」と驚かれます。また、検査時にはお腹が張りにくい二酸化炭素送気を用いることで、検査後のお腹の張りも軽減します。



精度の高い検査と、その場で完結する利便性


最新の内視鏡システムは、過去の機器と比較して格段に画質が向上しています。当院では、大学病院レベルの高性能な最新カメラを導入し、小さなポリープも見逃さない高精度な検査を短時間で提供しています。


さらに、当院の大きな特長として、検査中にポリープが発見された場合、その場で切除が可能である点が挙げられます。これにより、後日改めて検査と下剤の前処置を行う手間や、再度の来院・費用といった患者さんの負担を大幅に軽減することができます。



あなたの「大変さ」を軽減する工夫


検査前日の食事制限や、大量の下剤を飲むことに対して、検査自体よりも大変だと感じる方も少なくありません。当院では、下剤を院内で服用していただけるスペースをご用意しており、ご自宅での準備が難しい方も安心して検査に臨めます。


また、お忙しい方のために、胃と大腸の内視鏡検査を同日に受けていただくことも可能です。一度の来院で両方の検査を終えることで、通院回数や準備の負担を減らすことができます。鎮静剤を使用すれば、眠っている間にすべての検査が完了します。


当院は阪急大宮駅から徒歩2分というアクセスに便利な場所にあり、お仕事帰りや買い物ついでにも気軽に立ち寄っていただけます。




おわりに:大切なのは「あなたに最適な」検査プランを見つけること


大腸カメラを「毎年」受けるべきか、という疑問の答えは、「あなた自身の状態によって異なる」という一言に集約されます。


大切なのは、画一的なルールに従うことではなく、ご自身の健康状態を正しく理解し、専門家と相談して最適な検査計画を立てることです。


ご自身の検査間隔に不安がある方、大腸カメラに恐怖心がある方は、ぜひ一度、くりた内科・内視鏡クリニックにご相談ください。経験豊富な院長が、一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診断と、苦痛の少ない検査を提供し、あなたの健康をサポートいたします。


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