「かかりつけ医」って何?若者こそ持つべき理由と、体調の不安を解消する相談先〜くりた内科・内視鏡クリニックが伝える、生涯にわたる健康のパートナーシップ〜
- くりた内科・内視鏡クリニック
- 7月1日
- 読了時間: 14分

はじめに:なぜ今、「かかりつけ医」が注目されるのか?
現代社会では、インターネットやSNSを通じて医療情報が瞬時に手に入るようになりました。しかし、その情報量の多さゆえに、自身の健康に対する漠然とした不安を抱いたり、「いざという時、誰に相談すれば良いのか」と迷ったりする方が増えています。特に、日頃から健康であると感じている若年層では、医療機関との接点が少ないため、こうした傾向が顕著に見られます。しかし、平均寿命が延び、健康寿命の延伸が社会全体の課題となる中で、病気になってから慌てて医療機関を受診するのではなく、日頃から健康をサポートしてくれる「かかりつけ医」の存在が、ますます重要視されています。
多くの方が「病気になったら病院に行く」という認識を持っているかもしれません。しかし、「かかりつけ医」は、単に病気を治療する場所という枠を超え、あなたの健康を生涯にわたって支えるパートナーとなる存在です。厚生労働省や日本医師会が推進する「かかりつけ医」の概念は、患者の健康を包括的に、そして長期的にサポートする医師を指します。これは、超高齢社会における医療資源の効率的な活用と、国民一人ひとりの健康寿命延伸という国家的な課題に対応するための重要な仕組みでもあります。
「かかりつけ医」の定義は、特定の診療科に限定されません。例えば、内科医だけでなく、眼科や皮膚科の医師も「かかりつけ医」になり得るとされています。また、一人の医師に限定する必要はなく、複数の診療科でそれぞれ「かかりつけ医」を持つことも可能です。この柔軟な考え方は、患者が自身の主たる健康ニーズに基づいて医師を選べることを意味します。例えば、アレルギー体質の方はアレルギー科の医師を、目の健康に不安がある方は眼科の医師を「かかりつけ医」とすることもできます。この選択肢の広がりは、「かかりつけ医」という存在をより身近に感じさせ、特定の疾患や年齢層に偏らず、多様な健康課題に対応できる医療提供体制の構築に繋がります。
「かかりつけ医」って何?その定義と多角的な役割
1. 厚生労働省が示す「かかりつけ医」の定義
厚生労働省は、「かかりつけ医」を「健康に関することを何でも相談できる」「必要な時は専門の医師・医療機関を紹介してくれる」「身近で頼りになる医師」と定義しています。これは、単に病気を治療するだけでなく、患者さんの日々の健康維持から、病気の予防、そして専門的な医療への橋渡しまで、幅広い役割を担う存在を指します。
「かかりつけ医」の概念は、医師個人の能力だけに留まらず、医療機関全体が「かかりつけ医機能」を持つという視点へと進化しています。これは、一人の医師が全ての機能を担うのではなく、地域の複数の医療機関が連携し、質の高い医療を継続的に提供する現代医療の方向性を示しています。例えば、診療時間外の対応や、入院が必要な場合の連携など、個々のクリニックでは難しい機能も、地域全体で支え合うことで患者に提供されるようになります。この連携体制は、患者が特定の医師に依存することなく、より堅牢で包括的な医療サービスを受けられることを意味し、医療の継続性と信頼性を高める上で極めて重要です。
2. 「かかりつけ医機能」とは?
「かかりつけ医」が具体的に果たす機能は多岐にわたります。まず、患者さんの生活背景を深く理解した上で、適切な診療や保健指導を行います。自身の専門性を超える診療や指導が必要な場合は、地域の他の医師や医療機関と協力して解決策を提供します。また、診療時間外も患者にとって最善の医療が継続されるよう、地域の医療機関と情報を共有し、休日や夜間も患者に対応できる体制を構築する努力をします。
さらに、「かかりつけ医」は、健康相談、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健といった地域における医療活動や行政活動にも積極的に参加し、保健・介護・福祉関係者との連携も行います。そして、患者さんやご家族に対して、医療に関する適切かつわかりやすい情報提供を行うことも重要な役割です。
これらの「かかりつけ医機能」は、単に病気の治療に留まるものではありません。予防医療、健康教育、メンタルヘルスサポート、さらには地域社会への積極的な貢献までを含む、極めて広範な「総合的な健康管理」へと深化しています。この広がりは、医療が病気になってから対処する「治療」中心から、病気を未然に防ぎ、健康を維持・増進する「予防」中心へと移行している現代のニーズに合致しています。
「かかりつけ医」が提供する健康教育やライフスタイル指導は、患者の「ヘルスリテラシー」向上にも大きく貢献します。ヘルスリテラシーとは、健康に関する情報を正しく理解し、自身の健康維持・増進のために活用する能力のことです。かかりつけ医との継続的な対話を通じて、患者は信頼できる医療情報を見極め、自身の健康に活かす能力を養うことができます。これにより、患者は自らの健康に対してより積極的に関与できるようになり、自己効力感を高めることにも繋がります。この包括的で予防的な役割は、クリニックが掲げる「生涯にわたる健康のパートナーシップ」という理念と完全に一致するものです。

若者こそ「かかりつけ医」を持つべき、これだけの理由
多くの若年層は、「あまり病気にかからないから必要ない」「忙しくて病院に行く時間が取れない」「『かかりつけ医』は子どもや年配者のためのものと思い込んでいる」といった理由から、「かかりつけ医」を持っていないのが現状です。しかし、これらの認識は、若年層が直面する現代的な健康課題を見過ごすリスクをはらんでいます。
若年層が「かかりつけ医」を持たない主な背景には、自身の健康状態に対する過信や、医療システムへの理解不足、そして時間的制約があると考えられます。彼らは医療を「病気になった時の緊急対応」と捉えがちで、予防や継続的な健康管理の価値を十分に認識していないことがあります。しかし、このような考え方は、予期せぬ健康問題が発生した際に、適切な医療へのアクセスが遅れる原因となり得ます。例えば、新型コロナウイルス感染症のパンデミック時には、かかりつけ医のいない若年層の感染が拡大し、休日夜間の初期対応や自宅療養支援において大きな課題となりました。この経験は、平時からの「かかりつけ医」の存在が、個人の健康だけでなく、公衆衛生上の危機においてもいかに重要であるかを浮き彫りにしました。若年層が「かかりつけ医」を持つことは、個人の健康維持だけでなく、社会全体の医療システムの安定と効率化にも貢献するのです。
1. 「サイレントキラー」から身を守る予防と早期発見
若年層は健康に自信があるかもしれませんが、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、初期には自覚症状がほとんどなく進行するため、「サイレントキラー」と呼ばれています。これらの病気は中高年だけでなく、30代男性の5人に1人、40代男性の3人に1人が高血圧に該当するというデータもあり、若い世代でも増加傾向にあります。
「かかりつけ医」は、日頃からあなたの健康状態や病歴、生活習慣を把握しているため、健康診断の結果や些細な体調変化にも気づきやすくなります。これにより、病気の兆候を早期に発見し、重症化する前に適切な治療を開始したり、個々の生活習慣や家族歴を踏まえたオーダーメイドの生活習慣改善アドバイスを受けたりすることが可能です。例えば、食生活や運動習慣に関する具体的な指導は、将来の心臓病や脳卒中などの重篤な合併症を防ぐ上で極めて重要です。
若年層における生活習慣病の増加は、これらの病気がもはや「高齢者の病気」ではないという明確な警鐘です。「かかりつけ医」は、単に病気を治療するだけでなく、個々の生活習慣や家族歴を深く理解した上で、あなた専用の「健康コーチ」として機能します。このようなパーソナライズされた指導は、一般的な健康情報よりもはるかに効果的です。病気を早期に発見し、適切な予防策を講じることで、将来の医療費負担を軽減し、より長く健康な生活を送るための基盤を築くことができます。
2. メンタルヘルスの悩みに寄り添う存在
近年、特に若い世代において、ストレス、不安、うつ病などのメンタルヘルスの問題に直面するケースが増加しています。しかし、精神科への受診には抵抗を感じる方も少なくありません。精神的な不調は、身体的な症状として現れることもあり、その原因が精神的なものだと気づきにくい場合もあります。
「かかりつけ医」は、普段から何でも相談できる信頼関係があるため、メンタルヘルスの初期評価や対応に関するアドバイスを提供し、必要に応じて専門家(精神科医やカウンセラーなど)へのスムーズな紹介も行えます。精神科受診への抵抗感が強い若年層にとって、普段から信頼関係のある「かかりつけ医」が「最初の相談窓口」となることは、心理的なハードルを大幅に下げ、早期介入を促す上で非常に重要です。若年層における精神疾患の早期発見と専門医療機関への紹介は、重症化予防や自殺予防にも繋がる重要な課題であり、かかりつけ医がその一翼を担うことで、社会全体のメンタルヘルスケアの質向上に貢献します。
3. 医療リテラシーの向上と適切な受診行動
「ヘルスリテラシー」とは、健康に関する情報を正しく理解し、自身の健康維持・増進のために活用する能力のことです。ヘルスリテラシーが低いと、インターネット上の誤った情報に振り回されたり、病気の小さな兆候を見逃したり、適切な時期に医療機関を受診できなかったりするリスクがあります。
「かかりつけ医」は、病気や治療法、薬について分かりやすく説明し、あなたが正しい医療情報を得る手助けとなります。例えば、健康診断の結果で指摘された項目について、その意味や今後の対策を丁寧に解説することで、患者は自身の健康状態をより深く理解できるようになります。これにより、あなたは不必要な心配や誤った自己判断を避け、健診やワクチン接種の重要性を理解し、適切なタイミングで医療機関を受診できるようになります。情報過多の現代において、信頼できる医療情報を見極め、自身の健康に活かす能力は極めて重要であり、かかりつけ医との継続的な対話がその基盤となります。これは、不必要な受診や、逆に受診の遅れを防ぎ、医療資源の適正利用にも繋がります。
4. 専門医・専門検査へのスムーズな連携
「かかりつけ医」は、自己の専門性を超える診療や、より高度な検査・治療が必要な場合に、適切な専門医や専門医療機関(総合病院、大学病院など)を迅速に紹介してくれます。例えば、くりた内科・内視鏡クリニックのような内視鏡検査に強みを持つ医療機関が「かかりつけ医」となることで、消化器系の症状を抱える患者は、初期の診察から内視鏡検査が必要な場合のスムーズな移行、そしてその後の専門的な治療や継続的なフォローアップまで、一貫した質の高いケアを受けることができます。
この連携体制は、患者にとっての「医療の質の向上」と「受診体験の最適化」を同時に実現します。患者は自分で専門病院を探す手間が省け、紹介状なしで大病院を受診する際に発生する追加費用(選定療養費)を避けることができます。さらに、かかりつけ医からの紹介であれば、患者情報が事前に共有されるため、一から説明する手間なく、迅速かつ安全な治療が期待できます。この情報共有は、重複した検査や薬剤の誤投与を防ぎ、医療ミスを減らすことにも繋がります。このように、かかりつけ医と専門医療機関の連携は、患者の安全確保と治療成果の改善に直結する重要な機能です。
5. 継続的な健康管理と医療履歴の一元化
「かかりつけ医」は、あなたの病状、過去の病歴、薬のアレルギーの有無、日頃の生活環境、家族の既往歴、お子さんの場合は発達や発育の状態など、多岐にわたる情報を一元的に把握し、継続的な治療管理や適切なアドバイスに役立てます。これらの情報は、電子カルテや診療情報データベースによって効率的に管理され、医師は患者の全体像を容易に把握できるようになります。
これにより、診療の一貫性が保たれ、複数の医療機関を受診する際に起こりがちな重複した検査や治療を避け、いざという時の迅速な対応が可能になります。特に若年層においては、まだ健康問題が顕在化していない時期から情報を蓄積することで、将来的な疾病リスクの予測や、より効果的な予防介入に繋がる「健康資産」の構築に寄与します。この継続的な、そして包括的な患者情報の把握は、個々の生活背景までも考慮したパーソナライズされた医療を可能にし、生涯にわたる健康維持の強力な基盤となります。
表1: 「かかりつけ医」の主なメリット(若者向け)
メリット | 具体的な内容 |
予防・早期発見 | 自覚症状のない生活習慣病の早期発見、重症化予防。日頃の健康状態を把握し、些細な変化に気づく。 |
メンタルヘルス | ストレスや不安の相談、初期評価、専門家へのスムーズな紹介。 |
健康リテラシー | 正しい医療知識の習得、生活習慣改善のアドバイス、適切な受診行動の促進。 |
専門医連携 | 内視鏡検査など専門治療へのスムーズな紹介、重複検査の回避、迅速な情報共有。 |
継続的ケア | 病歴・体質・生活背景を把握した一貫した健康管理、ワクチン接種や健診の相談。 |
体調の不安、誰に相談すればいい?適切な相談先の選び方
1. まずは「かかりつけ医」へ相談
体調に不安を感じた時、どんな些細なことでも、まずは「かかりつけ医」に相談することが最も推奨される方法です。例えば、「こんなことで受診していいのかな?」と迷うような症状でも、遠慮なく相談しましょう。普段から患者の健康状態を把握しているため、的確な診断やアドバイス、必要に応じた専門医への紹介がスムーズに行われます。
「まずかかりつけ医へ」という行動原則は、患者の不安を軽減するだけでなく、医療システム全体の効率化に貢献します。軽症患者が大病院に集中する「コンビニ受診」を防ぎ、医療資源の適正配分を促すことで、本当に高度な医療を必要とする患者へのアクセスを確保します。かかりつけ医が適切なトリアージ(優先順位付け)を行うことで、大病院の混雑緩和にも繋がり、結果として患者の待ち時間短縮や、より質の高い医療提供に繋がるのです。
2. 休日・夜間や緊急時に迷った場合の相談窓口
「かかりつけ医」が診療時間外の場合や、急なケガ・病気で「救急車を呼ぶべきか」「今すぐ病院に行くべきか」など判断に迷った際には、公的な電話相談窓口を活用しましょう。
救急安心センター事業(#7119): 急なケガや病気で迷った時に、医師、看護師、トレーニングを受けた相談員が電話で症状を聞き取り、救急車を呼ぶべきか、急いで病院を受診すべきか、受診できる医療機関はどこかなどを案内してくれます。これは、特に緊急性の判断に迷う若年層やその親世代にとっての「セーフティネット」として機能します。不要な救急車利用を抑制し、医療機関の負担軽減にも繋がるため、社会全体にとってのメリットも大きいと言えます。
子ども医療電話相談センター(#8000): 子どもの体調不良時に、小児科医や看護師が電話でアドバイスしてくれます。特に小さなお子さんを持つ親世代にとって、夜間の急な発熱や体調変化の際に、専門家からの具体的なアドバイスが得られることは、大きな安心感に繋がります。
これらの電話相談窓口は、「かかりつけ医」の機能を補完し、患者の「手遅れになることへの不安」を解消する上で非常に重要な役割を担っています 37。
3. 医療情報ネットなどの活用
「かかりつけ医」をこれから見つけたい方や、特定の医療機関の情報を詳しく知りたい場合には、厚生労働省が運営する「医療情報ネット」を活用するのが便利です。このサイトでは、診療科目、診療日、診療時間、対応可能な疾患・治療内容など、医療機関の詳細な情報を調べることができます。
また、健康診断や予防接種の機会に、身近な医療機関を受診してみることも、「かかりつけ医」を見つける良いきっかけとなります。職場の産業医との面談や、地域の保健センター、市区町村のホームページ、地域医師会のホームページなども、信頼できる医療機関を探す上で役立つ情報源です。自分に合った「かかりつけ医」を見つけるためには、医師とのコミュニケーションの取りやすさや、説明の分かりやすさ、そして自宅や職場からの通いやすさも重要な選択基準となります。
まとめ:生涯の健康を支えるパートナーとして
「かかりつけ医」は、単に病気を治すだけでなく、あなたの健康を生涯にわたってサポートする、かけがえのないパートナーです。特に、健康であると感じがちな若年層こそ、その重要性を認識し、日頃から信頼できる「かかりつけ医」を持つことが、将来の健康寿命を大きく左右します。
「サイレントキラー」と呼ばれる生活習慣病の早期発見、メンタルヘルスの問題への初期対応、正しい医療情報の理解と適切な受診行動、そして専門医療へのスムーズな連携。これら全ては、「かかりつけ医」が提供する継続的で包括的なケアによって実現されます。体調に不安を感じた時、誰に相談すれば良いか迷う必要はありません。まずは、あなたの健康状態を最もよく理解している「かかりつけ医」にご相談ください。
くりた内科・内視鏡クリニックは、地域の皆様の「かかりつけ医」として、日々の健康相談から、専門的な内視鏡検査、そして必要に応じた高度医療機関への連携まで、一貫した質の高い医療を提供しています。あなたの健康を未来にわたって守るため、ぜひ私たちを「生涯の健康パートナー」としてご活用ください。