2025年最新解説:コロナとインフルエンザ、この秋打つべきワクチンとは?
- くりた内科・内視鏡クリニック
- 9月8日
- 読了時間: 11分
更新日:9月9日

2025年夏、新たな健康の季節を迎えるにあたって
くりた内科・内視鏡クリニック院長の栗田です。当院は、長年培ってきた大学病院や大病院での臨床経験に基づき、「地域住民の皆さまに気軽に相談できるかかりつけ医」となることを目指しています。パンデミックを経て、私たちは感染症とどう向き合うかという新たな課題に直面しています。インターネット上にはさまざまな情報が溢れていますが、その中には根拠が不明確なものも少なくありません。
本レポートでは、2025年8月現在の最新のエビデンスに基づき、多くの方が抱える疑問、「新型コロナとインフルエンザ、今年のワクチンは打つべきか?」にお答えします。単なる情報提供に留まらず、皆様ご自身の健康管理の一助となるような、深く信頼できる解説をお届けすることをお約束します。
私自身が責任著者として、米国消化器病学会誌「American Journal of Gastroenterology」に論文を掲載していることは、当院が最先端の科学的知見に基づいた医療を実践していることの証明です。この専門性は、消化器疾患だけでなく、全身の健康を科学的にサポートするという当院の揺るぎない姿勢に通じています。
新型コロナウイルス感染症、その「今」と「これから」
2025年夏の現状:収束ではなく、新たな局面に備える
新型コロナウイルス感染症は、「終わった病気」ではありません。2025年夏も再び流行の兆しが見られており、特に感染力が強い新たな変異株の出現によって、今後も警戒を続ける必要があります。これまでと同様、重症化しやすいとされる高齢者や基礎疾患をお持ちの方は、引き続き最大限の注意と対策が求められます。
今冬の主流株「ニンバス株(NB.1.8.1)」の特徴と症状
2025年夏に日本で主流株に置き換わったとされる「ニンバス株(NB.1.8.1)」は、その症状にいくつかの特徴があります。
一般的に「風邪に類似した症状」と表現されることが多いものの、ニンバス株では特に強烈な喉の痛みを伴うケースが多いことが分かっています。この痛みは「カミソリで切られるような」と形容されることもあり、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。
従来の株で多く見られた味覚・嗅覚障害は、ニンバス株ではごくわずか(1%)しか報告されていません。このため、「味覚がおかしくないからコロナではない」と自己判断してしまうのは危険であり、注意が必要です。
以下に、ニンバス株の主な症状とその頻度をまとめます。
(出典:複数クリニックの分析結果より)
感染力や免疫回避能力が高い一方で、現時点での重症化リスクは従来の株と大きく変わらないとされています。しかし、感染者数が増加すれば、必然的に重症者の絶対数も増え、医療体制への負荷が高まる懸念があります。
最新知見に基づく新型コロナワクチンの効果と意義
新型コロナワクチンの最大の意義は、「重症化の予防」にあります。mRNAワクチンは、単に抗体(液性免疫)を誘導するだけでなく、重症化を防ぐ上で特に重要とされる
細胞性免疫も同時に誘導する作用を持っていることが分かっています。このため、たとえ感染したとしても、肺炎の進行や命に関わる事態を避ける確率を高めることができるのです。
海外では、高齢者や重度の免疫不全者には年2回の接種が推奨されており、その他の高リスク者には年1回の接種が推奨されています。これは、ワクチン接種後180日以上で効果が大幅に減少するとの報告があるため、定期的な接種が重症化予防に不可欠であるという考えに基づいています。
ワクチン副反応への冷静な向き合い方:心筋炎リスクの真実
「ワクチン接種後の心筋炎」を懸念される声は依然として聞かれます。しかし、英国の報告によれば、ファイザーワクチン接種後の心筋炎は100万回あたり約1.5件、心膜炎は約1.0件と、非常に低い頻度で報告されています。
さらに重要なのは、新型コロナウイルスに罹患した場合、心筋炎を発症するリスクはワクチン接種後よりも高いという事実です。ある研究では、ワクチン接種後の心筋炎による全死因死亡が0.2%であったのに対し、新型コロナウイルス罹患後の心筋炎による全死因死亡は1.3%であったというデータが示されています。この事実は、単にワクチンの副反応の少なさを語るだけでなく、感染症そのものが持つリスクとワクチンによるリスクを比較し、より広い視点から健康を守るための判断材料を提供しています。これは、個別の副反応への不安を、感染症全体のリスク管理という、より本質的な視点へと転換させる上で極めて重要な知見です。
インフルエンザワクチン、2025年秋冬シーズンの動向
毎年接種が推奨される理由:軽視できない重症化リスク
インフルエンザは、決して軽視できる病気ではありません。特に高齢者や、喘息、心臓病、糖尿病といった慢性疾患を持つ方々にとっては、肺炎などの重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。日本ワクチン学会は、インフルエンザによる罹患や死亡を減らすため、生後6ヶ月以上のすべての人にインフルエンザワクチンの接種を強く推奨しています。
知っておくべき2025年の大きな変更点:4価から3価ワクチンへの切り替え
2025年秋冬シーズンに向け、インフルエンザワクチンに大きな変化があります。世界保健機関(WHO)の推奨に基づき、これまで主流だった4価ワクチンから3価ワクチンへの切り替えが行われています。これは、ワクチンの効果が弱まることを意味するものではありません。
この変更の背景には、新型コロナウイルス感染症のパンデミックがもたらした、公衆衛生上の予期せぬ影響があります。マスク着用や手洗い、ソーシャルディスタンスといった感染対策が世界的に徹底された結果、ワクチンに含まれていたB型山形系統のウイルスが、事実上ほとんど検出されなくなりました。このため、対応する必要がなくなり、より効果的で効率的な3価ワクチンが推奨されることになったのです。この事実は、パンデミック中の私たちの行動が、長期的に別の感染症の流行パターンにまで影響を及ぼしたという、専門家ならではの深い洞察を示しています。
高齢者の新たな選択肢:高用量ワクチン「エフルエルダ®」の登場
2025年1月、60歳以上の成人を対象とした新しい高用量インフルエンザワクチン「エフルエルダ®筋注」が国内で承認されました。このワクチンは、従来のワクチンよりも多くの抗原量を含んでおり、免疫応答が低下しやすい高齢者層において、より強力な免疫反応を引き出すことが期待されています。高齢者の皆様にとって、インフルエンザを予防するための新たな、そしてより効果的な選択肢となるでしょう。
コロナとインフルエンザ、同時接種は「安全」で「効率的」な選択

同時接種の安全性と有効性に関する最新エビデンス
新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種については、これまで多くの研究や試験が行われてきました。その結果、単独で接種した場合と比較して、安全性や有効性が劣らないという報告が多数寄せられています。また、副反応のリスクもほとんど変わらないことが示されています。これらの知見に基づき、厚生科学審議会での議論を経て、両ワクチンの同時接種が正式に可能となりました。
なぜ同時接種が賢明な選択なのか?
同時接種は、単に安全なだけでなく、多忙な現代人にとって非常に効率的な選択です。何度も来院する手間が省け、限られた時間の中で両方の感染症に対する備えを一度に済ませることができます。
ただし、注意が必要なのは、インフルエンザ以外のワクチンとの同時接種については、現時点では十分な知見が得られていないため、安全のために2週間の間隔を空けることが推奨されているという点です。この事実は、当院が個々のワクチンの特性を深く理解し、科学的根拠に基づいて患者様の安全と利便性を追求していることの証でもあります。同時接種という効率的な手段を提供する一方で、安全な接種戦略を患者様に提供することが、当院の重要な役割であると考えています。
エビデンスに基づく「接種の判断」:あなたのための個別アドバイス
接種が強く推奨される方:重症化リスクと社会的責任
以下に該当する方は、重症化リスクが高いとされており、ワクチン接種が強く推奨されます。
特に、当院が専門とする脂肪肝や糖尿病などの生活習慣病をお持ちの方は、感染症が重症化するリスクがより高いことが分かっています。こうした背景からも、ワクチン接種はご自身の健康を守るための重要なステップとなります。
若年層・健康な方も検討すべき理由
「健康だから自分は大丈夫」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ニンバス株が引き起こす激しい喉の痛みや倦怠感は、たとえ軽症でも日常生活の質(QOL)を著しく低下させます。自身の健康を守るための予防策として、ワクチン接種を検討することは非常に賢明な選択です。また、ワクチン接種は、自身の健康を守るだけでなく、社会全体での感染拡大を防ぐための社会的責任の一環でもあります。
専門医に相談する重要性:迷った時は「かかりつけ医」へ
ご自身の健康状態やアレルギー歴など、個別の状況によっては、ワクチン接種の判断が難しい場合もあるでしょう。そうした場合は、自己判断せずに、信頼できる専門医に相談することが最も重要です。当院では、ワクチン接種に関する疑問や不安について、無料でご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
ワクチン接種を超えた総合的な健康管理のすすめ
感染症と生活習慣病のつながり
新型コロナウイルスやインフルエンザのワクチンを最も必要としている人々は、実は脂肪肝や糖尿病といった基礎疾患をお持ちの方々です。これらの疾患は、自覚症状がないまま進行し、感染症をきっかけに重症化するリスクを高めてしまいます。ワクチン接種を検討するこの機会に、ご自身の健康状態を改めて見つめ直し、総合的な健康管理を始めることが重要です。
これは、予防から診断、そして治療へと続く、健康管理の好循環を作り出すための重要なステップです。ワクチン接種という予防医療の入り口から、当院の強みである専門的な診断・治療サービスへと、皆様の健康意識を自然に導くことができます。
なぜ「くりた内科・内視鏡クリニック」が選ばれるのか
当院は、内視鏡専門医である院長が、質の高い検査と治療を提供しています。患者様の苦痛を最小限に抑えるため、鎮静剤を使用し、うとうとした状態で検査を受けていただけます。最新の内視鏡システム
EVIS X1 を導入しており、小さな病変も見逃さない正確な診断を可能にしています。さらに、大腸ポリープが見つかった場合、その場で切除することも可能です。
また、最新の超音波診断装置 Aplio me を導入しており、従来の画像診断では難しかった脂肪肝の程度を SWE(肝臓の硬さ)や ATI(脂肪量)という数値で客観的に評価できます。これにより、患者様ご自身がご自身の体の状態をより具体的に理解し、健康管理へのモチベーションを高めることができます。
当院では、ワクチン接種と並行して、下記のような各種健康診断や人間ドックを提供しております。
*料金は概算です。詳細はお問い合わせください。
健康の未来は、今日の選択から

2025年8月現在、新型コロナウイルスとインフルエンザのワクチン接種は、ご自身の健康、そして大切なご家族や社会全体の健康を守るために、引き続き重要な予防策です。
当院は、ワクチン接種という予防の入り口から、人間ドックや各種内視鏡検査による専門的な診断、そして病気の治療まで、皆様の健康をトータルでサポートできる体制を整えています。
この機会に、今年のワクチン接種について、そしてご自身の健康状態について、ぜひ一度当院にご相談ください。皆様の健康の未来は、今日の一歩から始まります。
