健康診断で『要精密検査』と書かれた方へ|次にすべきことは?
- くりた内科・内視鏡クリニック
- 7月22日
- 読了時間: 14分
更新日:7月24日

I. はじめに:健康診断の結果に「要精密検査」とあったら
健康診断の結果を受け取った際、多くの方が「異常なし」という文字を期待されることでしょう。しかし、もしそこに「要精密検査」という言葉があったら、誰しもが少なからず動揺し、不安を感じるものです。何か重大な病気なのではないか、と心配になるのは当然の感情です。しかし、この「要精密検査」という通知は、決して「病気が確定した」という意味ではありません。むしろ、ご自身の健康を守るための大切な「体からのメッセージ」であり、健康をより積極的に管理するための貴重な機会と捉えることができます。
人間ドックや健康診断は、異常の有無を確認するための「スクリーニング検査」です。「要精密検査」とは、健診で検出された異常値が、どのような原因(病気)によって引き起こされたのか、そして治療が必要なのかを、さらに詳しく確認するための検査を指します。これは、病気の早期発見や、まだ自覚症状がない段階での健康リスクの特定に向けた、非常に重要な一歩です。この通知は、ご自身の体の変化に気づき、より詳細な検査を通じて、将来の健康を守るための行動を起こすための合図なのです。
「特に自覚症状がないから」「忙しくて時間が取れないから」といった理由で、精密検査を先延ばしにしたり、放置してしまったりする方が少なくありません。しかし、これは非常に危険な選択です。2019年の統計では、がんの罹患率上位には5大がんが占めており、多くのがんは初期段階では自覚症状がほとんどないことが知られています。もし病気が進行してから見つかった場合、治療の選択肢が限られたり、身体的・経済的な負担が大きくなったりする可能性が高まります。厚生労働省の報告によると、健康診断で何らかの「所見あり」と指摘される方の割合は年々上昇しており、2021年には約6割に達しています。そして、そのうち約43%が再検査・精密検査を必要としています。このように、精密検査の指摘を受けることは決して珍しいことではありません。多くの方が経験する一般的な状況であり、決して一人で抱え込む必要はありません。しかし、「時間がない」ことが精密検査を受けない最大の理由とされていますが、早期発見こそが完治への最も確実な道であることを忘れてはなりません。この機会を逃さず、ご自身の健康を守るための行動を起こすことが、将来の安心へと繋がるのです。
II. 「要精密検査」と「再検査」の正しい知識
健康診断の結果には、「要再検査」と「要精密検査」という二つの異なる指示が記載されることがあります。これらは混同されがちですが、その意味合いと目的は大きく異なります。
「再検査」とは、健診当日の体調や前日までの食事などの一時的な影響で数値が悪く出た可能性がある場合や、測定誤差の確認のために、同じ検査をもう一度行うことを指します。これは、数値が一時的なものか、持続的なものかを確認するためのものです。例えば、血圧が一時的に高かった場合などに行われます。
一方、「精密検査」は、健康診断で検出された異常値の原因をより深く探り、それがどのような病気によって引き起こされているのか、そして治療が必要なのかを判断するために行われる、より専門的で詳細な検査です。例えば、胃のX線検査で異常が見つかった場合、再検査ではなく胃内視鏡検査(胃カメラ)という精密検査が推奨されるのは、直接粘膜を観察し、必要に応じて組織を採取することで、より正確な診断が可能になるためです。精密検査は、単に「念のためもう一度調べる」というレベルを超えた、根本的な原因究明と治療方針決定のための重要なステップです。健診では見つからないような微細な病変の発見や、病気の進行度合いの正確な評価、さらには将来的なリスクの予測にも繋がります。特に、がんなどの重篤な疾患は、精密検査によって早期に発見されれば、治療の選択肢が広がり、完治の可能性が飛躍的に高まります。精密検査を受けることで、漠然とした不安を解消し、もし病気が見つかったとしても、適切なタイミングで治療を開始できるという大きなメリットがあります。
「すでに持病があってかかりつけ医に通院しているから、精密検査は不要ではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは誤解です。普段の通院で行われる検査は、現在治療中の特定の病気や症状に特化したものであることがほとんどです。例えば、血糖値の治療で通院していても、他の臓器や全身の健康状態を包括的にチェックしているわけではありません。かかりつけ医での検査は、既存の病状の管理や治療効果の確認が主目的であり、全身のスクリーニングを目的とした健康診断とは異なる性質を持っています。健康診断の精密検査は、全身の健康状態を俯瞰し、普段の診療では見落とされがちな新たな異常や、異なる種類の病気を発見するために不可欠です。かかりつけ医の治療と健診後の精密検査は、それぞれ異なる目的を持つ「別物」と認識し、両方を適切に受けることが、ご自身の健康を多角的に守る上で極めて重要です。この違いを理解することは、適切な医療を受けるための第一歩となります。
III. 「要精密検査」の項目別解説と具体的な次のステップ
健康診断で「要精密検査」と指摘される項目は多岐にわたりますが、特にくりた内科・内視鏡クリニックでフォローアップが推奨される主な項目とその背景には、以下のようなものがあります。
例えば、便潜血検査で陽性の場合、大腸がんや大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、痔などが疑われます。**胃部X線検査(バリウム検査)**で異常が指摘された場合は、胃がん、胃ポリープ、胃潰瘍、胃炎などが考えられます。腹部超音波検査では、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓などの臓器に異常が見つかることがあり、脂肪肝、胆石、膵炎、腎嚢胞などが疑われるケースがあります。また、血液検査では肝機能異常(肝炎、脂肪肝など)、脂質異常(高コレステロール、高中性脂肪)、血糖値異常(糖尿病)、貧血など、尿検査では腎機能異常や膀胱炎などが指摘されることがあります。
指摘された項目によって、推奨される精密検査の種類や受診すべき診療科は異なります。くりた内科・内視鏡クリニックでは、特に内科および消化器内視鏡の専門性を活かし、以下の精密検査に対応しています。
健康診断項目 | 異常が指摘された場合に疑われる疾患例 | 推奨される精密検査 | 対応する診療科 |
便潜血検査 | 大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎など | 大腸内視鏡検査 | 消化器内視鏡科、内科 |
胃部X線検査 | 胃がん、胃ポリープ、胃潰瘍、胃炎など | 胃内視鏡検査(胃カメラ) | 消化器内視鏡科、内科 |
腹部超音波検査 | 脂肪肝、胆石、膵炎、腎嚢胞など | 腹部超音波検査(再検査)、CT検査、MRI検査など | 内科、消化器内科 |
血液検査 | 肝機能異常、脂質異常、糖尿病、貧血など | 追加血液検査、超音波検査など | 内科 |
尿検査 | 腎機能異常、膀胱炎など | 追加尿検査、超音波検査など | 内科、泌尿器科 |
胸部X線検査 | 肺炎、肺がん、心肥大など | 胸部CT検査 | 呼吸器科、循環器科 |
便潜血検査陽性: 大腸内視鏡検査が推奨されます。大腸の粘膜を直接観察し、ポリープやがんの有無を確認します。必要に応じて、その場で組織を採取(生検)したり、ポリープを切除したりすることも可能です。
胃部X線検査異常: 胃内視鏡検査(胃カメラ)が推奨されます。食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察し、病変の有無や状態を詳細に確認します。バリウム検査では見落とされがちな早期がんや微細な変化も発見しやすくなります。
腹部超音波検査異常: 腹部超音波検査の再検査や、必要に応じてCT検査、MRI検査などが検討されます。当院では超音波検査に対応しており、必要に応じて外部医療機関との連携によりCT・MRI検査も可能です。
血液・尿検査異常: 内科での詳しい診察と追加の血液・尿検査、必要に応じて超音波検査などが行われます。生活習慣病関連の項目は、内科でのフォローアップが特に重要です。
胸部X線検査異常: 呼吸器科や循環器科での診察、胸部CT検査などが推奨されます。
精密検査を受ける際は、以下の準備をしていただくとスムーズです。
健診結果表の確認: まず、健康診断の結果表を必ず確認し、「要精密検査」と記載された具体的な項目と内容を把握してください。
紹介状の持参: 健康診断の結果に「診療情報提供書(紹介状)」が同封されている場合は、必ずご持参ください。これにより、これまでの検査データがスムーズに共有され、より適切な診断に繋がります。
保険証の持参: 精密検査は保険診療となる場合が多いため、健康保険証を忘れずにご持参ください。
予約: くりた内科・内視鏡クリニックでは、お電話またはWEBからご予約いただけます。ご自身の都合の良い日時をお選びください。
これらの具体的なステップを事前に把握することで、患者様が抱える「どうすれば良いのか分からない」という不安や、「時間がかかるのではないか」という懸念を軽減し、スムーズに次の行動へ移る助けとなります。
IV. くりた内科・内視鏡クリニックが選ばれる理由:安心の健診後フォローアップ
くりた内科・内視鏡クリニックは、健康診断後の「要精密検査」のフォローアップにおいて、患者様に最高の安心と質の高い医療を提供することをお約束します。
当院の内科・消化器内視鏡における専門性と実績
当院の医師は、日本消化器内視鏡学会が定める厳しい研修・検査・治療数をクリアし、試験に合格した医師のみに与えられる「日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医」の資格を所有しています。この専門医資格は、正確な技術と豊富な経験を持つ医師であることの客観的な指標であり、5年ごとの更新制であるため、常に最新の知識と技術を研鑽し続けている証でもあります。内視鏡検査は「誰がやっても同じ」ではありません。医師の経験と技術が、患者様の苦痛の軽減や、小さな病変の見逃し防止に大きく影響します。当院では、長年の経験を持つ専門医が全ての検査を担当し、質の高い診断と治療を提供します。
患者様の負担を最小限に抑える検査体制
精密検査に対する不安の多くは「苦痛への懸念」と「時間的制約」に起因します。当院では、これらの負担を最大限軽減するための体制を整えています。
苦痛に最大限配慮した内視鏡検査
「胃カメラや大腸カメラは苦しい」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。当院では、患者様がリラックスし、まるで「ウトウト眠っているような状態」で検査を受けられるよう、適切な量の鎮静剤を使用しています。これにより、検査中の不快感や痛みはほとんど感じられず、「もう検査が終わったの?」「こんなに楽ならもっと早く受ければよかった」といったお声を多数いただいています。鎮静剤を使用することで、胃や大腸の粘膜をしっかりと広げ、微細な病変も見逃さずに詳細に観察することが可能になります。
また、大腸内視鏡検査後によくあるお腹の張りや不快感を軽減するため、当院では「炭酸ガス送気システム」を導入しています。通常の空気と比較して、炭酸ガスは体内への吸収速度が約200倍も速いため、検査後のお腹の張りがほとんどなく、快適に過ごしていただけます。
最新鋭の医療機器による高精度な診断と早期発見への貢献
当院では、高精度なハイビジョンスコープや世界最大サイズの内視鏡モニターを導入し、全ての検査をハイビジョン画質で行っています。さらに、NBI(狭帯域光観察)や100倍拡大観察機能といった特殊な光や拡大技術を駆使することで、肉眼では見えにくい微細な血管の変化や粘膜の凹凸も鮮明に捉え、より正確な診断と早期発見に繋げています。また、医療ICTの進歩によりAIシステムが病気の早期発見や診断補助に役立てられていることにも注目し、常に最先端の医療を提供できるよう努めています。
患者様に安心して検査を受けていただくため、内視鏡スコープや検査機器の洗浄・消毒、そして洗浄履歴の管理をフルデジタルで厳格に行い、徹底した衛生管理を実践しています。
患者様の利便性を追求したサービス
「時間がない」という理由で精密検査をためらわれる方が多いことを踏まえ、当院では患者様のライフスタイルに合わせた柔軟なサービスを提供しています。
通院回数や検査前の食事制限などの負担を軽減するため、胃カメラと大腸カメラの同日検査に対応しています。また、大腸内視鏡検査中にポリープが発見された場合、大きさや数にもよりますが、基本的にその場で切除手術を行う「
日帰り大腸ポリープ切除」を基本としています。これにより、再度の来院や追加の準備の手間を省き、患者様の負担を大幅に軽減します。
大腸カメラ検査に必須の下剤については、患者様一人ひとりの体質や好みに合わせて最適なものを選べるよう、複数の種類を取り揃えています。また、ご自宅での服用に不安がある方や、医師・看護師が近くにいる環境で安心して服用したい方のために、院内での下剤服用にも対応しています。
平日お忙しい方でも検査を受けやすいよう、土曜日・日曜日も検査に対応しており、24時間WEB予約も可能です。当日検査のご相談も承るなど、患者様の「時間がない」という課題を解決し、受診へのハードルを下げています。さらに、「男性医師による検査は抵抗がある」と感じる女性患者様のために、
女性医師による内視鏡検査も選択可能です。これらの取り組みは、患者様の不安や物理的な障壁を軽減し、より快適でアクセスしやすい医療体験を提供することを目的としています。
検査後の丁寧な説明と、患者様に寄り添うアフターフォロー
当院では、検査後の説明を最も大切な診療の一つと位置づけています。撮影したハイビジョン内視鏡画像を専用システムで瞬時に表示し、一枚一枚丁寧にお見せしながら、検査結果を分かりやすくご説明します。気になる症状の原因や、今後の生活で気を付けるべき点、経過観察の必要性などについて、患者様が十分に理解できるよう努めます。私たちは、患者様が納得し、安心して次のステップに進めるよう、患者中心の医療を実践しています。温かい表情やアイコンタクト、患者様の背景に寄り添った対話を通じて、単なる検査結果の伝達に留まらず、患者様の不安に寄り添い、心のケアも大切にしています。健診後のフォローアップは、病気の早期発見だけでなく、その後の健康維持にも繋がる重要なプロセスです。くりた内科・内視鏡クリニックは、検査前から検査後まで、患者様の不安を安心へと変えるための包括的なサポートを提供することを目指しています。
V. よくある質問(FAQ)
「要精密検査」は必ず病気が見つかるのか?
いいえ、必ずしも病気が見つかるわけではありません。健康診断の数値は、その日の体調やストレス、食事内容などによって一時的に変動することもあります。精密検査の結果、異常なしと判断されたり、経過観察で十分とされたりするケースも多くあります。大切なのは、自己判断で放置せず、専門医による詳しい検査を受けて、ご自身の体の状態を正確に把握することです。何もなければ、それが一番の安心に繋がります。
忙しくてなかなか時間が取れない場合の対処法は?
お仕事や子育てなどで忙しく、検査のためにまとまった時間を取るのが難しいというお声はよく聞かれます。くりた内科・内視鏡クリニックでは、そのような患者様のために、土曜日・日曜日も検査に対応しており、24時間WEB予約も可能です。また、胃カメラと大腸カメラの
同日検査や、大腸ポリープの日帰り切除にも対応しており、来院回数や検査準備の負担を最小限に抑える工夫を凝らしています。これらの柔軟な対応は、患者様が「時間がない」という理由で大切な検査を先延ばしにすることなく、自身の健康を優先できるよう設計されています。
胃カメラ・大腸カメラは本当に苦痛なく受けられるのか?
「胃カメラや大腸カメラは苦しい」という過去の経験やイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、近年の内視鏡技術は大きく進歩しています。当院では、鎮静剤の使用により、ほとんど眠ったような状態で検査を受けていただけるため、苦痛を最小限に抑えることができます。また、大腸カメラでは
炭酸ガス送気システムを導入しており、検査後のお腹の張りを大幅に軽減します。経験豊富な専門医の確かな技術と最新機器の組み合わせにより、「こんなに楽ならもっと早く受ければよかった」というお声を多くいただいています。
精密検査の費用について
精密検査は、通常、健康保険が適用される保険診療となります。検査の内容や処置の有無によって費用は異なりますが、ご不明な点があれば、ご予約時やお電話にてお気軽にお問い合わせください。
VI. 不安を安心に変える一歩を:くりた内科・内視鏡クリニックへご相談ください
健康診断で「要精密検査」と指摘されたことは、決してネガティブなことではありません。むしろ、ご自身の健康と真剣に向き合い、将来の健康を守るための大切な「気づき」であり、行動を起こす絶好の機会です。この一歩を踏み出すことで、漠然とした不安を「安心」へと変えることができます。もし何も異常が見つからなければ、それが何よりの安心です。万が一、何かが見つかったとしても、早期に発見し、適切な治療を開始できることは、ご自身の未来の健康にとって最も価値のあることです。
くりた内科・内視鏡クリニックは、患者様一人ひとりの健康を第一に考え、温かく、そして質の高い医療を提供することをお約束します。健診後のフォローアップに関するご相談や精密検査のご予約は、お気軽にお問い合わせください。
私たちは、患者様が安心して、そして快適に医療を受けられる環境を整え、皆様の健康を全力でサポートいたします。ご自身の「不安を安心に変える一歩」を、くりた内科・内視鏡クリニックが共に歩ませていただきます。